回路のデバッグ
基板化された回路でも、アナログエンジニアの若かりし時代には様々な理由で動かないユニットが存在した。
当時は、まだ、部品が手挿入であり、しかも、基板のスルーホールも不完全なものが稀に存在した。
数1000基板を製作すると、いくつかの基板不動作は確率的に存在する。
作業員は経験則から基板修理を行うが、100%完動とまではいかない。
残りは設計者自らが直すのである。今では考えられないだろう。
修理は、異常部品の特定から始まる。
電源が入るような状態なら、あとは理詰めで追いかけていく。入力と出力の関係が矛盾していないか、配線の途中で短絡・開放が起きていないか調べるのである。
例えば、トランジスタのVBEが+0.6Vで出力がOFF状態なら、そのトランジスタは死んでいる。
リニア回路では、中途半端な不具合もある。このような場合には部品の定数間違いもあり得る。1部品の異常であればカット&トライでも直せるが、複数個所でのトラブルは論理的に推理してチェックする能力が必要で、まず、作業員では直せない。
不具合アナログ回路の手直しは、開発設計者並みの技量が必要である。
10部品程度の簡単な回路でも、プロトボードを使って回路定数を決めさせ特性を確認させる学生実験/新人研修でも同様なことが生じる。
直すことは、表の論理だけではなく、部品異常、接続異常も視野に入れた予測能力が必要で、指導者の技量が試される。
今は、ユニット交換の時代であるが、それ故に部品レベルの信頼性データの蓄積が難しい時代でもある。
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