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2011年1月 6日 (木)

pn接合のモデリング

pn接合のV-I特性は強くVの指数関数になっている。従って、通常の尺度でみると、ある電圧で急に電流が流れ始めるように見え、かつ、その電圧はほぼ一定である。この電圧はSiトランジスタやダイオードでは0.6~0.7Vであることが多い。

広い電流範囲で見ると、電流片対数グラフ上では直線部が数桁にわたり存在する。式で表わせば

Ij=Is・{exp(Vj/mVT)-1} である。VT:kT/q,熱電圧、k:ボルツマン定数、q:素電荷、m:エミッション係数、Is:飽和電流、Vj:接合電圧、Ij:接合電流 で、1は多くの場合省略される。

回路計算で最も簡便なのは、pn接合の電圧は高々1V程度であるから、これを無視し、0Vで順電流が流れ、逆方向には流れないと見なすのが最も計算量が少ない。数10Vを扱うならこれでよい。

数Vの回路電圧なら、Vj=0.6Vと見なせば、誤差は%オーダーとなる。これが定電圧近似である。

もっと、小さい電圧変化を扱うなら、(Vj,Ij)の点において接線を引き、一定電圧と微分抵抗:r=mVT/Ij で近似すればよい。

これが、ダイオード、トランジスタにおける各種DCモデルの成り立ちであって、Ij=Is・exp(Vj/VT)のグラフが回路解析の出発点であり、1個の式で全部のモデルを表現できるうえ、半導体理論に深入りしなくともよい。ただし、エミッション係数mは多くのダイオードで2程度、能動状態のトランジスタで1となる。重要なのは熱電圧VTが常温で約26mVであること、電源整流ダイオードなど高電流密度ではpn接合電圧+オーミック性の直列抵抗が存在することである。

実測データーとして、V-I特性の実測値を示し、後は、それを数式化、近似解法を示せば、より正確で一本道の説明ができる。回路本で半導体物理を持ちだすなら、その理論をpn接合のV-I特性に繋げて説明するのが筋だろう。

ただし、アナログエンジニア流の説明法は、高校数学の対数関数の理解を必要とする。現実にはこれができない回路屋さんの卵たちも大勢存在するのだ。

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