絶縁スイッチングトランス
絶縁形DC-DCコンバータでは、パルストランスを使用する。トランスには漏れインダクタンスがあるので、1次コイル(2次コイル開放)インダクタンスに対し、普通0.1%から0.5%程度の直列寄生インダクタンスが存在する。
一方SW素子であるトランジスタには、C-E間あるいはD-S間に数100pFオーダーの寄生容量が存在する。
ON期間に寄生インダクタンスに蓄えられたエネルギーはこのSW素子の寄生容量とOFF期間に共振を起こし、SW素子の電圧Hの前縁に減衰振動を生じさせる。
寄生容量の概略値はデーターシートで判るので、その共振周波数から主トランスの漏れインダクタンスの概略値が判り、トランスの結合率kの見当がつく。絶縁型DC-DCコンバータ用トランスのkは1にかなり近いが、また、そのように製作するのがふつうであるが、無視できない波形への影響がある。
RCスナバ回路は、この共振によるピーク電圧を抑制し、不要輻射を減らすために使用する。RCの時定数は概略、共振周波数に対応するが、Cの大きさは共振回路のエネルギー量に関連する。
漏れインダクタンスとSW素子の寄生容量による共振を抑えた波形は、回路形式により異なる。
2次側がフローティングされる場合には、トランスの1次‐2次間容量や1次‐コア間容量などが2次側のSWノイズとなりえる。
寄生容量を減らすことと、寄生インダクタンスを減らすことは基本的にトレードオフ関係にあり、非絶縁DC-DCコンバータ回路よりSW周波数を上げにくいとアナログエンジニアは感じている。
回路における複雑に絡み合うトレードオフ関係の調和もSW電源設計の重要な課題であろう。
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