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    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

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  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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2011年2月

2011年2月28日 (月)

「単振子」に思う

長さLのしなやかな糸に質量Mを吊るした単振子の周期Tは、高校物理では公式として与えられ、T=2π√(L/g)である。gは重力加速度。

だが、周期2秒の単振子は、5円玉の中心までの糸の長さを1.00mにすることで得られる。誤差は1%もない。この方法を用いてアナログエンジニアは、物差しさえあれば、いつでも1秒のクロックを得ることができる。1m覚えやすい数値だ。

長さL、重力加速度gを与えて周期Tを求める問題は、9.8=7^2×2/10であることを利用してLを例えば0.2mなどのように開平しやすい形で出題するのが普通だ。

しかし、例えば上記公式をT,Lを与えてgを求める計算(電卓可)をさせると1/3程度が誤算する。というのが私の認識だ。実社会では、計算チェックは基本的に技術者本人の責任であると私は考えている。誤算を自分自身が発見できるように自己訓練し、数値感覚を身につける、途中経過を総て書きとめることが大切だ。

大学になると、Md2x/dt2=-Mgsin(θ)、で質量Mが消え、sinθ≒θ=x/Lの近似を得て、初等2回微分方程式を解き、高校時代に習った公式が導けるようになる。そして、振子の等時性に対する納得がいく。そして、近似が成立しない大振幅では、θ^2に比例する(実際には主要項がθ^2/4のオーダー)誤差が生じ、等時性が崩れることもわかる。厳密解はもっと高等数学か数値積分が必要になるが・・・・。

電子回路でも、数値感覚と近似式の知識などは必要だ。Xが微小項のとき1/(1+x)≒(1-X)などの近似も良く使う。

一に大胆な近似で大局的挙動と数値を手早く把握する。そして、1m振子の周期のように定点での数値を覚えておくことは、工学者としては必要なスタイルであろう。このスタイルで幾度となく誤算を免れた。

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2011年2月26日 (土)

風邪?ノロウィルス?

先日から胃の不快感、胸やけが続いていたので、今日は朝から町のクリニックへ。

診察開始前に到着、このクリニックは予定診察時間がモニタに表示されている。ほぼ、予定時間に診察を受けた。症状から見てノロウィルス感染の可能性もあるとのことで、血液検査、最近は町医者でも簡便な血液検査装置を保有していて、その場で結果が出る。

大病院などでは吸光度測定による大掛かりな血液検査装置を使うのだが、ここでは、デスクトップPC位の装置でやっていた。

幸い、ウィルス性ではなく単なる風邪。私は風邪を引くと多くの場合、胃の不快感が伴う。

結果が出たら、急に気分が改善した。現金なもんだ・・・・。

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金曜日のエントリーの補足:エンハンスメント形半導体は例えば、FETならゲート・ソース間が0Vなら、ドレイン・ソース間にはほとんど電流が流れない。制御端子に電圧を掛けて初めて能動状態になる。バイポーラトランジスタはベース電流を流さなければ、コレクタ・エミッタ間に電流は流れないので、エンハンスメント形半導体と考えることができる。

接合型FETは、ほとんどがデプレッション形で、ゲート電圧が0でも、ドレイン・ソース間に電流が流れ、制御はゲート端子に逆電圧を掛け、出力を抑制する形になる。

0電圧で出力がオープンか短絡かで、電源投入時の状態が違うのだ。それで、パワー回路では、素子が制御入力が0の時、出力が開放か短絡かを問題にするのである。

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2011年2月25日 (金)

エンハンスメント形素子

電力用半導体の多くは「エンハンスメント形」で、制御入力がないときOFFの状態にある。バイポーラトランジスタ、パワーFET、IGBTなどはノーマリーオープン(NO)である。

制御回路あるいは駆動回路に電源が入っていなければ、主回路はOFF状態であるから電流は流れない。制御回路は主回路の電源のパワー系の電源と別系統である。しかし、主回路がエンハンスメント素子であれば、通常は制御信号が確定する以前にパワー電源を短絡することはない。

逆にディプレッション形素子では、駆動電源が遮断すると、パワー系が無制御状態でアクティブになる。従って、主電源を投入する前に制御用電源が確定していなければならない。停止の際には主電源がOFFされた後、しばらくの間、制御用電源は生きていなければならない。

不慮の制御電源の瞬断に際してもフェールセーフシステムにならないから、制御電源の信頼性、立ち上げ順序に厳しい工学的課題になりやすい。

日本発の静電誘導型トランジスタ(SIT)はディプレッション形であったと聞く。パワー素子としては上記のように小規模システムでは使いずらいので主流の素子にならなかったと理解している。

エンハンスメント形素子の駆動回路でも、複数電源を含み、かつ極性反転している場合が存在する。このような場合には、主電源を含む電源が立ちあがっていく途中で主回路が無制御状態になる魔の時間帯が存在し得る。

パワー系を駆動する回路は、各電源の立ち上がりのタイミングがずれても問題を生じないように工夫する必要がある。当然、このような解析は通常の解析に比べて難しいので、回路システムの挙動を把握しやすい構成にしておく必要も生じる。

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2011年2月24日 (木)

アナログ信号絶縁法

対地電位の異なる回路ブロック間では何らかの手段で、異なる電位を基準ラインとする信号を伝送する必要が生じる。

この回路機能はアイソレータあるいは絶縁アンプなどと呼ばれる。

200Vの同相電圧に埋もれた例えば1V以下の信号を主回路のGND基準の信号に変換する方法の一つに、加減算器を改良したOPアンプ回路がある。この手法では、分圧抵抗でOPアンプが扱えるレベルに減衰させ、再び増幅、差を取る手法だ。補助電源が不要だが、素子感度が高いので、極めて高精度の5個の抵抗群と優秀なOPアンプが必要だ。

トランスを使った絶縁アンプでは、変調を掛け元信号を復調する手段があり、種々の回路方式が実用化されている。多くの場合、絶縁された電源も同時に必要になる。

微小なキャパシタを介し、変復調を行う方式も実用化されている。

光絶縁は高電圧絶縁が可能だが、双極性信号化するにはオフセットをかけ、振幅変調は使いにくいので、例えばV-Fコンバータで周波数の変化として絶縁信号を送る。

いずれにしても、アナログ信号を絶縁するには途中に電気以外の要素に一度変換する必要がある。この過程において、種々の外乱、非線形性が入る可能性があるので、回路としては案外難しい。

注意しなければならない事項の一つに、寄生容量による結合があり、絶縁アンプと称しても商用周波数程度までしか十分な性能を発揮しないものも存在する。

信号絶縁はアナログ回路のなかでは比較的難しい回路の一つであるとアナログエンジニアは考えている。

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2011年2月23日 (水)

極端な昇降圧比の変圧器

100倍以上の大きい昇圧比で出力電力の小さいパルストランスは寄生容量や寄生インダクタンスの制御が難しい。微小電力かつ高電圧なので、絶縁性能を上げようとすれば対コアおよび1次・2次間の誘電体層が厚くなる。巻き線同士の距離が増えれば、漏れインダクタンスが増えるので理想的なトランスにはならない。

2次側整流平滑回路には、さらに昇圧するためコッククロフト回路などピーク検波形のものが使われる場合も少なくない。小電力でありながらピーク電流が大きくなるのだ。

コアの窓面積は大きくないと、2次側コイルが巻けない。コア形状も通常のSW電源と異なる形が欲しくなる。小電力コアでは、それでなくとも2次側コイルの巻き数は多く、線間容量が無視できないので自己共振周波数近くでのSW周波数とならざるを得ない。高電圧だと、数pFの寄生容量も無視できない。

逆に、降圧比の大きい大電力パルストランス/SW電源回路も案外難しい。コアの使用磁束密度を下げても、2次側巻き線数が小さくなりすぎるのである。コイルには0.5ターンなどという巻き線数はあり得ない。複数回の巻き線がないと形状が保てない。もちろん、巻き線可能なように、並列巻きをするとして作業性を確保するが・・・・

降圧比の大きいトランスでは、SW周波数を上げてもあまり意味がない。2次側の最小巻き数で1次側巻き数が決まってしまうので、使用磁束密度は自動的に下げざるを得ない。

通常のSWトランスでは、500W、5V出力辺りから急激に設計が難しくなるというのがアナログエンジニアの実感である。奥の手は2次側の並列運転だが、電流を均等に配分するにはそれなりのノウハウが必要となる。整流ダイオードの損失も相対的に増加し、同期整流も有効になってくる。1次側の突入電流抑制も厳しくなってくる。

極端な設計条件は両極端ともに難しいが、改めて設計プロセスを見直す良い機会にもなりえる。

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2011年2月22日 (火)

アンペア・ターン

広い意味での電磁石の解析では、実電流ではなく、コイルの形状(窓面積)とその窓面積の断面を流れる電流の総和=[A]・ターンで正規化して計算されることが頻繁に生じる。

この理由は、コイル形状とアンペア・ターンが決まれば、起磁力が決まり、磁路が同じならば生じる磁場も同一になるからである。

窓面積とアンペア・ターンが決まっても、設計の自由度はまだ一つある。巻き数を如何に決めるかだ。抵抗分による必要電圧は巻き数に比例し、必要電流は巻き数に反比例する。従って、励磁回路の駆動電圧が自由に選べる余地が残る。

電源電圧の制約がなければ、回路側の都合で決めることができる。電源が決まっているなら、選択の余地はなく、回路側がコイル抵抗値と巻き数を指定のアンペアターンになるよう定めるだけの話だ。

回路側で駆動電圧を決められる場合、駆動段の耐電圧と定格電流を勘案して決める。半導体素子の場合、バイポーラトランジスタ、FETともに単体で扱える電力は100Vを超える辺りから少なくなるとともに、直列駆動より並列駆動の方が容易であろう。従って、電圧が高すぎず、電流検出が容易な適度な電流値の方が設計しやすい。複数のコイル電流をリニア制御するには、所要コイル電圧を揃えた方が電源効率があがる。アナログエンジニアが調整すべき事項となる。

この議論が成立するには、巻き線作業が困難になるほど線径が太くなく、巻き方が同じであり、エナメル線の絶縁層が無視できることが必要になる。

電流密度を上げれば狭い場所にコイルを巻くことができるが、今度は熱との戦いになる。銅の抵抗率は約40%/100℃の温度係数を持つので、高温側で駆動電圧不足に十分注意する必要がある。

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2011年2月21日 (月)

負荷線

多くの電子回路教本で記載される負荷線を使った説明/図解法をアナログエンジニアは実務で使った経験は皆無である。

負荷線は1石エミッタ接地増幅器の説明において、トランジスタのコレクタ電圧VCE-コレクタ電流Icの図上に電源電圧Vcc-IcRL(RL:コレクタ抵抗)の直線を重ね合わせて、ベース電流IBをサブパラメータとしたVCE-Ic曲線群との交点から、IBを求めることが多い。

少し親切なものでは、VBE-IB曲線が書き添えられる。この場合は、ベース電圧ΔVBEからΔIBを求め、VCE-IC曲線上で対応するIBから増幅する説明になっているものが多い。

しかし、1石エミッタ接地増幅器の最大関心事はその増幅率で、Vccが10V付近で、その1/2にVCEのバイアスを掛けると、電圧増幅率は-RL・Ic/VT程度(VTは熱電圧=常温で26mV)となり、100数10倍になる。図の表示能力の限界から、現実に使える図解方法にはならない。

エミッタ抵抗が入れば、負荷線を描くのは厄介である。オームの法則とキルヒホッフの法則を文字式で表現できなければ、応用が効かない。実務では、負荷線を使う事は稀であろう。

電源電圧がVccで負荷RLにICが流れれば、VCE=VCC-RL・Icになるだけのことである。能動領域ではIcはhFEを介しIB・hFEとなるが、図はアーリー効果が入ったVCE-Ic曲線がほとんどであるから、図はhFEを定数と考えたものではないにも拘わらず、説明の流れとしてはhFEを定数と考えていることになる。

そして、増幅率A=ΔVo/ΔVi=-hFE・RL/Riの結果が導かれるが、実際にはRi=VT/IBで表現されるから、ほぼIBの逆数で動作条件に強く依存する。Riの求め方に関する記述は、負荷線を使った説明には普通出てこない。

なぜ、実務で使わない、使えない負荷線に固執して一見簡単そうに見えて表現力のない説明法を使うのか。日本では伝統的であるが、良心的な書物や、洋書の専門書には出てこない。このような説明の不親切さは工学的センスを育てるものではないだろう。

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2011年2月18日 (金)

動かない回路

書物に時々見かける動かない回路、アナログエンジニアは嫌いである。

例えば、パルストランスを使った絶縁型フォワードコンバータでトランスのリセット用の素子あるいは回生巻き線とダイオードの記載されていない回路を複数見かけることがある。

私なら、パルストランスを見れば、真っ先に無負荷状態でトランスの励磁が定常的に行われるかどうかチェックする。リセット回路は種々あるが、無しで動く回路形式と動かない形式がある。

動く方の回路は、フライバック形式の絶縁形DC-DCコンバータが代表的なものであろう。フライバック形はON期間に1次コイルに磁気エネルギーを蓄積し、OFF期間にのみ2次コイルからそのエネルギーを出力に伝達する。2次コイルが回生巻き線と同じように、トランスの磁気状態をリセットしている。

多少回路が複雑になっても、本質的に動作に必要な部品は省いた略図/原理図を記載すべきではないだろう。

他の例としては、npn差動増幅器にエミッタフォロワを付加しただけで、OPアンプ動作(反転増幅器)している図もある。こちらの回路は、DC的にうまく帰還がかからない筈である。

2個の1次コイルを交互にON-OFFするプッシュプルコンバータ(フォワード回路)では、SWに並列ダイオードが必須であり、SWが寄生ダイオードがあるFETであっても、このダイオードは明示すべきだろう。別の文献だが、この回路は動作が不安定であるとの記述も見たことがある。しかし、実際には、SWの同時ONさえ確実に回避すれば、安定に動作する。

原理図といえども、その動作に必要な要素はきちんと記載すべきだろう。必要な素子が省略された回路図は正確な理解の障害となる。

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2011年2月17日 (木)

OPアンプの負帰還効果

オペアンプを負帰還をかけて使用すると仮想短絡がほぼ成立する。しかし、負帰還の効果はこれだけではない。

電流制限機構を備えたオペアンプは通常出力段に数10Ωの抵抗が挿入されるが、オペアンプの出力抵抗はほぼ0Ω、すなわち、負荷電流の影響で出力電圧が変化しない。次の段の負荷効果を無視できる。

バイポーラトランジスタの差動段を入力段とするオペアンプでは、その入力抵抗は1MΩ程度の場合が多いが、負帰還の効果により無視できる程度まで改善される。

以上、3つの効果はオペアンプの裸ゲイン/実ゲイン程度の改善幅であるが、周波数が高くなると裸ゲインが下がるので、仮想短絡は不完全に、出力抵抗は有限になり、入力抵抗は下がる。

位相補償されたオペアンプのゲイン特性は、数Hz~数10Hzに折れ点周波数を持ち、数万から数100万倍の最大利得を持つ一次遅れ特性を示すので、意外に低い周波数(汎用オペアンプなら数10kHz)でも、有限利得の状態を考える必要が生じる。

一方、バイアス電流や、オフセット電圧、およびそれらの温度依存性は負帰還によって改善されない。入出力ダイナミックレンジ(同相入力範囲、出力範囲)を超えるると、負帰還は正常に機能せず、種々の副次的効果が生じる。

多くのオペアンプ回路では、仮想短絡、入力抵抗、負荷効果を無視して概念設計を行うが、この第1段階の設計を支えるのが大量の負帰還で得られる効果である。

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2011年2月16日 (水)

角周波数

角周波数ωと周波数fの関係は、2πf=ωである。角周波数の概念を取り入れると、正弦波の微分、積分に余計な係数がついてこないので、間違いが少なくなる。

さらに、演算子法が使える相手であれば、インダクタンスはjωL、コンデンサは1/(jωC)なる複素数で説明すると、「位相の進み」、「位相の遅れ」を複素平面で簡単に説明できる。

RC回路、RL回路の周波数特性などもjωを使って、ベクトルの絶対値を計算するだけでよい。

ヘビサイドのこのような手法は、複素関数論で数学的根拠を得てラプラス変換として特に制御理論の世界で広く使われている。

電子回路では、普段は発散する問題を扱うことは少ないので、s=jωと置き換えて計算すれば正弦波定常解を比較的簡単に得ることができ、キルヒホッフの法則との相性も良い。

電子回路では実数である抵抗Rだけではなく、複素数であるjωLや1/(jωC)も多く扱うので、少なくとも高校数学の範囲である複素計算までは取り入れて教えた方がやりやすいだろう。

過渡応答となると、方法はともかく、微分方程式や積分方程式を解く必要があるだろう。解析的に簡単に解ける形はあまり多くないが、それでも十分、実用性がある。いざとなれば、数値計算をすればよい。

大学入試の多様化と入学後の選択科目の増加に伴い、教科間の連携が希薄になっている現在、とくに、数学と物理の進度を勘案して電子・電気工学を教えてもらいたいものだ。

一つの工学分野で関連する素養を最初から再教育できるほど企業は余裕はないし、教師を務められる人材も少ないのだ。

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2011年2月15日 (火)

回路のデフォルト

安定に動作する電子回路は、回路定数の比がほぼ一定の多次元空間の線上近傍にあるとアナログエンジニアは考えている。

自分の手掛けた回路を自分なりの定数セットと回路構成を標準化して思考する。

例えばOPアンプ回路なら、目的に応じた汎用OPアンプと回路構成の組み合わせで、頭の中にデフォルト値を持っている。それをベースに回路図を読む。自分のデフォルト回路と比較しながら、差分を見ているのだ。

回路デフォルトのライブラリはかなり蓄積した。

技術指導をする場合などでは、かなり短時間で問題個所を見出さなくては商売にならない。そこで、自分ならこの場合はこうするというデフォルト値から出発して、検討すべき個所をピックアップするのだ。

回路のデフォルトセットを持つことにより、無駄な検討、過去に行って結果の出た課題を排除して行く。残った部分は未知のアイデアによる回路か、量産に耐えない回路定数あるいは部品なのである。そこが私にとっての急所である。

勿論、初心者が犯しやすい間違いパターンも承知したうえである。

問題は受け手のレベル把握だが、受け手の出す情報の揃い具合などが鍵になる。

情報が不完全で実験手法が論理的でない場合には、データーそのものも疑うことを忘れてはならない。

工学として初歩的かつ重大な誤りは、矛盾の中に見出すことができる可能性が高い。

しかし、本当に面白い仕事はフィージビリティを評価しきれない課題に出会ったときである。場合によっては、数か月は楽しめる。

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2011年2月14日 (月)

ゼロ点とスパン

伝送器と呼ばれる産業用の計測器では、出力信号の0%点に対応する被測定量の値は「ゼロ点」、出力信号の100%変化を与える被測定量を「スパン」と呼んでいる。

「ゼロ点」は普通測定量の0%に相当するが、ゼロ点を移動させる機能(ゼロ点遷移)を普通備えているので、必ずしもゼロ点=0%ではない。

この呼び方は差圧/圧力伝送器では普通に使われているが、一般の計測器では少しなじみが少ないだろう。

工業計測では、4-20mADCの電流信号が広く使われている。電流信号でオフセット付きだと、片電源で0%を確実に出力でき、かつ、途中の線路抵抗の影響を受けないメリットがある。

250Ωの抵抗で終端すれば、1-5Vの電圧信号になる。伝送信号にオフセットをもたせているので、基本的に単電源で動作でき、受信した信号もそのままで負の値を扱うことができる。

信号形態が0電流までしか扱えない場合を考えれば、オフセットを付けることの意味がはっきりする。この場合は、無信号と0出力の区別がつかなくなり、校正や伝送路の異常と区別つかなくなる。

差圧/圧力伝送器で扱う圧力範囲は2000気圧から100Paスパン程度まで、かなり広範囲にわたる。スパンは圧力レンジにも依存するが、100を超える可変範囲の製品も存在する。

圧力差で計測できる項目には、比重、液面、界面などもあり、この場合には、圧力ベースで考えると、大きなオフセットのある圧力計測になるが、読みやすく上記の目盛にすることができるのが特徴である。

他の分野でも、出力がオフセット付きのものや、電源電圧比例のゼロ、スパンをもつ信号形態も珍しくはない。

使われ方と分野の伝統的信号形態ともいえよう。そして、その信号出力形態は深く計測器内部の信号処理にもかかわっている。

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2011年2月11日 (金)

矢軸の疲労寿命

アーチェリーの矢軸の材料は超超ジュラルミンのパイプにカーボン繊維を被覆したものが使われている。ジュラルミン層もカーボン層も肉厚は0.2mmにも満たない。

この構造の矢の寿命は、アーチェリー仲間の話では大雑把に3000射程度らしい。

私の矢もこの数年で累計3000射位になる。

最近、固めの的面に当たった矢が座屈破損した。ジュラルミン層とカーボン層の剥離による破損で、場所はポイント近く(矢先)である。矢は着弾の際に、初速約70m/sで数cm刺さって停止するから、減加速度は数1000Gに達する。

さて、残りの矢を点検してみると、どの矢にも、矢筈近くの軸にカーボン層に数本の亀裂が生じていた。矢筈は緩んでいないので、ジュラルミン層の損傷はまだ無いらしい。しかし、安全のため、即、予備矢に交換した。

異種材料の接着は難しいのが常である。まして、軸方向に繊維が揃った矢軸では周方向の力に弱いから、このような壊れ方、破壊の進行が起こるのは私には納得できる。

結果として数1000サイクルまでもつ強度設計は見事なものだろう。

趣味の世界だから、低サイクル疲労破壊の実例を具体的に挙げる事ができるが、製品ならそうはいかないだろう。

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2011年2月10日 (木)

添削指導

追加の文章を入れて論旨を明確化、理解を容易にする。これが「添」だ。不要な文章を削除して、文の流れをすべらかにする。これが「削」だ。追加の文章ばかり挿入することを求める添削者も存在するが、これは被添削者にとってあまり指導的ではないだろう。

技術文章はまず論理的に書きあげねばならない。多くの場合、字数制限もある。

添削する機会は近年減少したが、パソコンの普及のおかげで、材料となるトピックスや図表を思いつくままキーボードから打ち込み、その順番を入れ替えて何とか技術文章に仕上げているのが最近の傾向と感じる。このように作った文章は論旨の展開がうまく流れない傾向にある。

文章は少なくとも、日本語になっている必要がある。だらだら書かれた文章を添削するとき、アナログエンジニアはまず、副詞句や形容詞、接続詞を無視して主語と述語の受け係りをチェックする。接続詞を多用した1文が長いものは要注意で、主語がいつの間にか変化している例が多い。

技術文章は文学ではないので、事実に基づいて得た結果を示すことができればよい。できる限り定量的に記載すべきだろう。

インターネット時代だから、中には、検索した記事をカット&ペーストでもぐりこませている文章も少なからず見受ける。

一般向けの技術文章なら、企業勤務の人間としては著作権と守秘義務に配慮することは当然である。学術関連なら、引用の適切さも重要事項である。

実務書であれば、対象とする読者のレベルから切れ目なく基本的知識、視点を補充しながら、飛躍のない構成としたいものである。

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2011年2月 9日 (水)

可修理性

電化製品、OA機器それに車など身近な製品が壊れ修理すると、ユニット交換で修理?するから、高額な修理費を要求されることが最近はしばしば生じている。

ひどいものは、買値の90%を要求されたこともある。これでは、修理とは言えないだろう。新規買い直しの要求、修理拒否と同じようなものだ。しかも、数ある機能の一部が動作しないだけなのに。

電子機器で、基板がまだ高価な頃、修理後の補償期間内に再度故障、修理するたびに完結性のより深刻な故障が発生する。このようなタイプの修理は、出戻り基板を簡単なチェックで交換部品に使いまわしていた証左だろう。

近年の小型・多機能化に伴い、電子機器にはLSIやカスタムICそして多層基板が使われいるので、手作業での組み立て、分解が想定されていないものが普通となってきている。低コスト生産システムは後戻り工程や接続コストなど極限まで排除される。

その結果、ユニット単位での故障部位切り分けも専用ツールか、交換してみて直ったらその部位が故障個所と見なし、作業を終了する。

たぶん、部品レベルでの故障部位の特定は行われないだろう。

製品は部品レベルからの故障のデータを利用して、信頼性を高める術を取得して行くものだ、と、思っているアナログエンジニアにとっては設計改良の機会を逃し、徐々に自社の信頼度レベルの低下に繋がる工学としての自殺行為に近いと考えている。

コスト低減、開発のスピードアップ、技術の囲い込みにはブラックボックス化が有効であることは間違いない。しかし、それは、故障解析をより困難にする要因とほぼ同じである。

会社の風土と製品ジャンルによって状況は異なるが、買いたくないメーカーも私にはいくつか存在する。こんなとき、家電品、OA機器なら長期保障契約がものを言うのだ。

いまや、技術の囲い込みと同時に可修理性の低い製品の氾濫となってきているような気がする。

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2011年2月 8日 (火)

非対称OPアンプ電源

汎用OPアンプ電源は±15Vとすることが多いが、アナログエンジニアは例えば、+24V、-5Vなどの非対称電源を必要に応じて使うことがある。

その利点の一つは、片極性だけ大振幅が必要なときに20V以上の出力が可能な品種が多く、通常の使い方では出力振幅が不足する場合にもICが使える点にある。

負電源を少し残しておくと、反転増幅形式での演算ができ、0Vでの吸い込み、吐き出し電流負荷でも動作することも利点である。

0V出力を必要とする場合の多くは、0を確実に出力することが要求される。安直な方法は、ほんの少しで良いから負電圧の出力を残しておくことだ。

OPアンプの電源は相対的だから、試験条件が±15Vで規定されているなら、入力端子は同相入力範囲内、出力端子は電源から見て2V程度内側にあれば動作する。

(CMOSレイルtoレイルのOPアンプもあるが、大抵の場合、ちょっと負出力まで必要となる場合が多かったので、CMOS回路はあまり使ったことがない。)

両電源の和が30Vを超える辺りから、そろそろ選択枝がなくなり、最終的にはOPアンプもどきを自作することになるようだ。

扱う電圧が150Vくらいになると、自作するとなると結構トランジスタの選択が厳しい。

OPアンプの両電源は基本的に相対的なものである。そして、単電源で0出力を出すのも大変である。完全な0出力を要求されないのであれば、いくつかの回路手段があるのだが、0=GND=基準電位とする回路は厳しい。

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2011年2月 7日 (月)

起動ドリフト

大抵のアナログ電子機器は電源投入後、しばらくの間、出力がドリフトする。理化学機器などでは、ウォームアップ時間が数時間に及ぶものもある。

このドリフトは主に電子部品の温度変化により生じる。

秒単位の早い変化は電子部品の自己加熱による温度分布の変動とみられる。数分単位の変化は、放熱フィンや変圧器など熱容量の大きな部品やユニット内の温度変化が主因であろう。数10分のオーダーのものは、筐体内の温度分布の変動に起因するだろう。

ウォームアップ時間の短縮には、各部品を温度依存性の小さな品種に置き換えることだ。しかし、この方法はコスト上昇とのトレードオフである。

起動ドリフトは機械的要因でも生じる。発熱体が起動すると熱分布が変わり、同一材料の構造物でもアライメントが微妙に変化する。

起動ドリフト要因を切り分けることは、案外難しい。回路だけではなく、機器の構造を熟知していることは必須条件だが、定量化するには、狙いを定めた測定が不可欠である。時には、機器そのものの特徴を利用しての計測法を考えなければならない。

起動ドリフトは数多くの時定数の異なる要因が組み合わさっているので、例えば、一旦、+方向に変化し、時間が経過するとともに逆方向の変化するものもあれば、揺らぎが指数関数的に徐々に減衰していくものもある。

起動ドリフトが大きい機器は電源が急変したり、機器内の回路ブロック、アクチュエータの出力変動時にも、少しは小さいが変動要因になる。

ウォームアップ時間の長い機器には、求められる性能に対しシステムの温度依存性が相対的に大きい場合に、良く生じる。

起動ドリフトの低減は、使い勝手をはじめ、さまざまなところに波及するのが常である。

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2011年2月 4日 (金)

ダイオードの順逆特性

多くの電子回路本では最初の方にダイオードのV-I特性の図が挿入されている。ダイオードの順逆特性の図が案外不正確なものが見受けられる。

その最たるものは、原点付近で逆方向の漏れ電流が急増し、不連続になっているものである。大抵、電圧軸、電流軸とも方眼目盛であるが、尺度の記入はまずない。半導体メーカーの出しているデーターシートにもこのような図は存在するが、順方向の電圧目盛は0-2V程度であり、逆方向の電圧目盛は数10Vから数100Vである。

電流の尺度はダイオードの品種により異なるが、逆電流の目盛は順方向より3-4桁程度小さい尺度となっている。

第1象限と第3象限で異なる軸尺度を使用しているので、原点でダイオード特性の不連続が生じる。軸尺度を省略し、原点付近で漏れ電流が急増する図を解説なしに使えば、少なくとも初心者に誤解を与える不親切な表現だろう。

降伏点付近の丸みも問題である。一般のダイオードの降伏電圧は数10V以上あるので、実際の降伏特性は鋭く、方眼目盛なら丸みはほとんど見えない。何故にそのような図を書くのか?疑問を感じる。

順方向のV-I特性の曲線も不正確なものが多い。実ダイオードは放物線のような曲線には決してならない。小信号用ダイオードなら、普通、寄生直列抵抗が無視できる領域で使用するので、120mV/桁程度の強い指数関数となる。整流用ダイオードなら、直列抵抗が寄与する領域まで使うので、指数関数的に電流が流れ始め、大電流領域でほぼ直線となる。

たかが、ダイオードの特性図であるが、そこには著者の見識が現れる。図をなるべく正確に表現し、その後のモデル化に繋げていく。これがアナログエンジニアの意地、拘りである。

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2011年2月 3日 (木)

カレントミラー

カレントミラー回路はアナログ集積回路中で良く使用される。その代表的な回路形式はWidler形(2石式、基準側はダイオード接続、他方はエミッタ接地)である。

この回路は2石のトランジスタが揃っていることを前提に、基準側の電流を吸い込み電流(npnの場合)に変換する。ベース電流は無視され、2個のトランジスタのVCEは異なるのでアーリー効果の影響を直接受ける。ミラー側の動作電圧範囲はVCE(SAT)程度と低い。

温度特性はほぼ補償されているので、アーリー電圧の測定に都合が良い。温度が多少変動しても案外正確な測定ができる。

もっと精密なカレントミラー回路はWilson形(Q1、Q2のエミッタはGND、Q2はダイオード接続、Q3のベースはQ2のベース、Q3のベースはQ1のコレクタ、Q3のエミッタはQ1、2のベースに接続)である。Q3のベース接地回路の存在により、吸い込み電流の電圧依存性は1-2桁改善される。動作電圧はWidler形よりVBE1個分だけ高い。

他にも、種々の形式があり、マルチカレントシンクに適した回路構成など多様である。

アナログ集積回路設計の機会が少ないアナログエンジニアにとっても、個別トランジスタ回路設計の参考になる回路手法である。

カレントミラー回路は、回路ユニット中で多くの定電流源を大きなコストアップなく実効的に高い抵抗が使えることを意味する。そして、トランジスタ特性に起因する温度影響などの補償に関するより深い視点を与える。

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2011年2月 2日 (水)

マルチバイブレータの波形

2石無安定マルチバイブレータの発振周期は2ln2・CRとされることが多い。この計算の暗黙の前提は、コレクタ電圧がVcc~0まで変化し、ON時の値が0VでOFF側のトランジスタのコンデンサのベース電位初期値が-Vcc、充電電圧がVcc、OFF側のベース電流は0である。

この結果、発振の半周期は初期値-Vcc、+Vccでベース抵抗RBを介しCを一次遅れ系で充電し、再びベース電圧が0に達する時間として計算される。

1次遅れ系の過渡応答を計算するには、簡単な変数分離型の微分方程式を解かねばならない。

この回路の波形の第一の見どころは、当然、GND基準のベース電圧VBの変化である。

OFFの期間中、ほぼ一次遅れ系の特性に従ってVB電圧が上昇する。ON期間はほぼ一定である。

ON期間中のVBEを見ると一見約0.6Vで平坦に見える。しかし、拡大してみるとON期間の前縁に60mV前後の電圧上昇期間が存在する。この期間は、ONに転流した直後、コンデンサCからの電流が通常時の約10倍流れる結果である。

先ほどのVBの観測では、初期値が-Vcc+VBEでON時の平たん部はVBE程度である。

これを考慮して、微分方程式を解きなおしても結果はさほど変わらない。

もうひとつの見どころは、コレクタ電圧波形である。コレクタがOFFになるとき、コレクタ抵抗RcとタイミングコンデンサCの時定数でコレクタ電圧は上昇して行く。設計にも依るが、この時間はRCの1/10-30程度である。従って、一次遅れ系の完全なステップ応答にはならない。

しかし、Cの誤差は数%あるので、この辺の細かい事情は簡単には測定にかかってこない。結果オーライである。

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2011年2月 1日 (火)

アナログ回路の手解析

アナログ回路の手解析は、回路設計には不可欠のものだろう。詳細分野により対象とする項目は若干異なるだろうが、基本は大局から詳細へと手解析をすすめる。

最初の解析はOPアンプ回路なら、オフセット電圧とバイアス電流を無視した、いわゆる理想OPアンプモデルを使い、入出力関係を求める作業だろう。類似回路があれば、それを手本にして、結果を予測しながら式を整理して行く。

つぎに理想的な抵抗比でない場合の検討を行う。大きな引き算をしていなければ、素子感度は大きくならないが、期待する性能に対し、どの程度の抵抗精度を必要とするかのチェックは習熟過程では必須だろう。

オフセットやバイアス電流の影響を考慮して解けば、OPアンプに必要な性能が判り、その選択に役立つ。この際、同時にいくつかの要因を入れて解くと結果式の評価・整理が複雑になるので、1個づつ要因を入れて理想式との比較の上整理するのが破綻を来さないアナログエンジニア流の解析手順である。

周波数特性、ダイナミックレンジ、温度特性なども解析課題である。

初めて出会うあるいは考えた回路の検討には時間がかかる。最初に言葉で表現した回路動作が、解析で使うモデルで反映できるとは限らない。そんなとき、役立つのが回路シミュレータである。シミュレータで動作してくれれば、解析すべき要因やおよその解析対象の関数系がわかる。

異常時の解析は1段と難度が増すのは常である。そもそも、対象回路にとって何が厳しい異常時かを把握するのが案外難しいのだ。

しかし、手解析に習熟すると、回路の電圧が、電流が見えてくるような気がするものだ。逆に公式丸暗記の回路ライブラリを自分の頭にインプットしておいてもあまり役に立たないだろう。

手解析は時間がかかる。人によりできる解析レベルも大きく異なるが、それでも手解析で得た見通しは貴重なノウハウとなる。

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