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2011年2月23日 (水)

極端な昇降圧比の変圧器

100倍以上の大きい昇圧比で出力電力の小さいパルストランスは寄生容量や寄生インダクタンスの制御が難しい。微小電力かつ高電圧なので、絶縁性能を上げようとすれば対コアおよび1次・2次間の誘電体層が厚くなる。巻き線同士の距離が増えれば、漏れインダクタンスが増えるので理想的なトランスにはならない。

2次側整流平滑回路には、さらに昇圧するためコッククロフト回路などピーク検波形のものが使われる場合も少なくない。小電力でありながらピーク電流が大きくなるのだ。

コアの窓面積は大きくないと、2次側コイルが巻けない。コア形状も通常のSW電源と異なる形が欲しくなる。小電力コアでは、それでなくとも2次側コイルの巻き数は多く、線間容量が無視できないので自己共振周波数近くでのSW周波数とならざるを得ない。高電圧だと、数pFの寄生容量も無視できない。

逆に、降圧比の大きい大電力パルストランス/SW電源回路も案外難しい。コアの使用磁束密度を下げても、2次側巻き線数が小さくなりすぎるのである。コイルには0.5ターンなどという巻き線数はあり得ない。複数回の巻き線がないと形状が保てない。もちろん、巻き線可能なように、並列巻きをするとして作業性を確保するが・・・・

降圧比の大きいトランスでは、SW周波数を上げてもあまり意味がない。2次側の最小巻き数で1次側巻き数が決まってしまうので、使用磁束密度は自動的に下げざるを得ない。

通常のSWトランスでは、500W、5V出力辺りから急激に設計が難しくなるというのがアナログエンジニアの実感である。奥の手は2次側の並列運転だが、電流を均等に配分するにはそれなりのノウハウが必要となる。整流ダイオードの損失も相対的に増加し、同期整流も有効になってくる。1次側の突入電流抑制も厳しくなってくる。

極端な設計条件は両極端ともに難しいが、改めて設計プロセスを見直す良い機会にもなりえる。

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