トランジスタの静特性
ベース電流をパラメーターとしたVCE-IC曲線はどのように採られているのだろうか?
接合温度一定のデータか、周囲温度一定のデータか、それともカーブトレーサでのデータなのか、よくわからない。
アナログエンジニアの欲しいデータは、接合温度一定の特性曲線であることが多い。
接合温度一定のデータは、トランジスタの2次的特性を率直に表現するだろう、との視点からである。
そこで、自分がVCE-IC曲線を実測するときには、ベース電流を固定しておき、VCEを投入した直後のコレクタ電流を読み、すぐ電源を落とし、データをノートに記載する。そして数10秒後次の点を取得する。いわば、パルス測定のまねごとだ。
小信号用トランジスタの場合、許容電力は数100mWであるから、約2mWで1℃接合温度が上昇する。hFEの温度係数は大略1%/℃である。従って、接合温度が高くなる高電圧側で特性曲線が上に曲がりやすい。
また、能動負荷回路などでは、アーリー電圧を知りたいこともある。このようなときには、あらかじめ、VCE-IC曲線が直線部として得られる電圧、電流の組み合わせを調べておき、手早く必要な3組のデータを取得すると、ほぼ3組のデータを外挿すると一点で交わる。
その他、低電圧の飽和領域での特性図も、十分な表現力がない場合が多いので、サンプル実測をする。
パワーFETなどでは「パルス測定」の記述がある特性図も見かける。こんな時には、気持ちが休まる。
トランジスタの静特性のデータは基本的であるが故に、新しい素子を使うたびに実測してみるのが、アナログエンジニア流である。こんな基本的なこと回路設計者でやっている人は少数派だろう。
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