電流リミッタ
安定化電源は、ドロッパ電源、SW電源を含めて電流制限機構をもつものが多い。不慮の短絡を想定し電源回路の連鎖故障を避けるためだ。
もっとも単純な保護手段は、電流検出抵抗にかかる電圧をシリコンバイポーラトランジスタのVBEと比較し、VBEより電流検出電圧が高ければ、電流リミッタのコレクタ電流を増加させ、電源の主トランジスタのベース電流を吸い取ることである。
制限特性は通常、出力電流一定Imaxの電流垂下特性になる。
この際、VBEの値をいくらと考えるかが課題となる。
VBE=Imax・Rs だから、電流検出抵抗Rsの値はVBEに比例する。通常、最大出力電流が仕様で決められるから、環境温度の最大値で、元電圧が最低の時、VBEは最も低くなる。
逆に主トランジスタの電力負担は元電源が最大、温度が最低の時に最も多くなる。
仕様の出力電流以上を確保し、かつ主トランジスタの電力定格とASOを確保を両立する必要がある。VBEの温度と電流依存性のため、案外悩ましい課題である。しかも、場所とコストに強く影響する主トランジスタの選定や放熱設計にも影響してくるのだ。
精密さを必要とするなら、温度に依存しない一定電圧とコンパレータを用意すればより正確に電流リミッタを構成できるが、電流リミッタは安全機構なのでシンプルでできるだけ信頼性を上げておきたい部分でもある。それで、1個のトランジスタと電流検出抵抗で構成できる手段が良く使われるのである。
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