部品の製作範囲限界
個別部品で組む回路は時としてその種の部品の製作範囲の上限や下限を使いたくなるケースに出会うことがある。
アナログエンジニアは製作範囲の限界を使うことには多少の抵抗感がある。一歩引いて、製作範囲限界より少し狭い領域で使おうとすることが多い。
製作限界は時代時代により変遷するが、部品メーカーがプロセス的種々の理由から製作範囲の上限と下限を決めているからである。
他に理由がなければ、製作範囲の上限、下限のほぼ中間辺りが作りやすく性能も出しやすいからである。
例えば、金属皮膜抵抗なら、蒸着膜の厚み、幅、長さ、材質、外形寸法などのプロセス条件があるが、相対的に高抵抗なら、蒸着膜を薄く、抵抗パターンは細く長く形成し、かつ蒸着膜の組成も高比抵抗になるだろう。これらの要因は経時変化や温度係数に影響しないとは考えにくい。部品の製作範囲の設定は、それぞれの部品メーカーの知恵の結集したものだと理解している。
ユーザーである回路設計者は技術情報から自分の要求する信頼度、特性などが保たれているかある程度は判断するが、それでも、部品の製作範囲の上限や下限の定数を使うことには一抹のリスクを伴うと考えている。
1970年代の高度成長期には玉石混合の部品メーカーがあり、部品メーカーの選定をユーザー各社が社内試験で行っていたが、今では、ユーザーが部品試験できるサンプル数と時間で優劣が出るような低いレベルではないだろう。
精密アナログ回路設計は、部品の製作範囲や信頼性の影響を強く受ける。そして、今やそのことを自力で確かめることはよほどのことがない限り意味をなさない。
『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】
« 増幅器の周波数特性 | トップページ | ダイオードの定格 »
「電子回路」カテゴリの記事
- 電流増幅器(2012.04.18)
- 高電圧回路(2012.04.10)
- 金属箔抵抗(2012.04.07)
- SW電源(2012.04.06)
- アナログ回路の信頼性(2012.04.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント