強制風冷
強制風冷は電子機器の発熱量が大きいとき、風速を上げて冷却効果を高める手法である。密閉容器・開放容器+放熱フィン・強制風冷・水冷の順に冷却能力は高くなる。重電の半導体では沸騰冷却も使用される。
強制風冷では、大別してダクトを使うものと使わない2種類がある。
ダクトを使う方法では、流路が明確であり、放熱フィンはダクトの内側に向けて設置しダクトの端部でファンにより空気流速を増し冷却効果を高める。これで自然空冷の数倍の冷却効果を期待できる。
強制空冷用のフィンでは風速と熱抵抗の関係がデーターシートにあるから、ファンの特性とフィンのデーターを参考に流速を推定し、冷却能力を予測することになる。
ダクトを使わない強制風冷では、空気流量は狭いところ(密集しているところ)ほど少なく、広いところでは多くなる。つまり、発熱密度の高い部分ほど冷却効果がでにくい。これを回避するため、必要に応じて邪魔板などを使い、なるべく発熱量の多いところに風が流れるように工夫する。
配置も問題だ。熱に敏感な回路部分は上流側に通常は配置する。風は揺らぐ。従って、低レベル電圧を扱う部分には風除けを設けることもある。まずい設計例としては、ファンの近くに空隙があり、ファンの近くで風が循環しているものも少なからず見受ける。そして、強制風冷では当然空気の流入口と出口が必要だ。
強制風冷に伴う課題は、ファンモータの停止あるいは故障時の保守である。最近のファンモータには風速センサが付いているものがあるから、センサ出力でアラームを出し、発熱量低減あるいはシャットダウンの施策をとる。
強制風冷のもう一つの課題は塵埃の付着である。付着すると著しく冷却効果が損なわれる。定期的に清掃する必要があり、怠ると異臭に繋がる。
強制風冷では、風速と熱伝達が命である。これを前提に高い発熱量を処理しているのだから、塵埃やファン停止時の温度上昇に対応できなければならない。高い発熱密度に対応した代償である。
保守されていない埃まみれの強制風冷機器は、その信頼性を疑わせる。
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