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    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

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  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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2011年6月

2011年6月30日 (木)

デザインレビュー

デザインレビュー(DR)は日本語で言えば設計審査だろう。DRはレビュワーがどのようにして選ばれるかが非常に重要である。

レビュワーの資質が伴わなければ、DRはいとも簡単に形骸化し意味のない書類が無数に必要になる。しかし、レビュワーを選ぶのは基本的に組織である。最初に結論ありきの人選をしてしまえば、仔細な議論ばかりで大きな過ちを犯しやすい。組織内にいて有益な討議を行える人は極めて少ない筈である。

アナログエンジニアはセンサ・アクチュエータ・回路に絡む種々の工学分野について、相手の専門用語で議論できる程度までの自己訓練を行ってきたつもりである。レビュワーは少なくとも複数の分野において、「複数」が重要なのだが、専門性を持っていなければ用をなさないと考える。装置や機器・システムの高度化に伴い、一人では全体を俯瞰することが難しくなってきているので、分野の違う種々の専門家が得意分野をオーバーラップさせながらの協調作業が必要だからだ。

また、設計的に危ない部分を短時間で直視、検討できる資質も必要だ。だが、そのような人間は組織にとってうるさい存在になりやすい。それでも意図的に設計数値を改ざんされた場合には見抜くのは容易でない。設計審査は設計段階よりも短時間での作業となる。

また、レビュワーは少なくともその組織でその分野で第一人者としての成功率を上げていることも大切である。高い成功率は普段の努力、知識欲と分野を超えて前人の知恵を生かす工学者としての感性あるいは倫理観により実現されるのではないか。

装置や機器の複雑化に伴い、全体を概観できる人材がどの組織でも枯渇しつつあるような気がしてならない。判らないことを単純に「割り切る」ことをしないで、リスク対策を怠らない姿勢も必要と思う。同時に一人では技術全体を詳しく見ることはできないから、種々の分野の基本的スタンスを理解し協調しつつ議論を交わせる場と能力も必要である。

重要なのはDR資料に記された以外の部分、暗黙の設計条件を見破る才覚だろう。

DRを意味のあるものにする風土は、単一分野の専門集団、組織からは生まれえないと私は考える。

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2011年6月29日 (水)

ブートストラップ回路

高入力抵抗の交流増幅器をOPアンプで構成する回路方式は、そう多くない。交流のみを扱うことは、漏れ電流の極めて少ない入力コンデンサC1で直流カットする。直流カットした正相増幅器は+入力端子のバイアス電流を流す経路がないから、そのままでは動かない。

OPアンプの-入力端子は負帰還経路があるが、+入力端子とGND間に、バイアス電流を流すための抵抗RBを挿入する必要がある。すると、高入力抵抗が実現できない。

このジレンマを解決する手段がブートストラップだ。

具体的には、RBをR1とR2に分割し、その分割点にOPアンプの出力から同相でかつ利得1以下で1に近い信号をコンデンサC2を経由して分割点とC1の間の抵抗R1の電位差を交流的にほとんど同じにしてしまうのだ。R1の交流的電位差はないから、交流電流は流れず、極めて高入力交流増幅器となるのだ。

アナログエンジニアは工業計測の分野でこの回路方式を使ったことがある。

あとで判ったことだが、C1、C2、R1、R2の定数選択は周波数特性に影響するのだ。しかも、OPアンプは一次遅れの上、C1,C2の作る時定数があって、解くと3次の系になり見通しが悪いのだ。

私の実力では、解析的に一部の定数を決め、後はシミュレーションで定数を追い込んでいくしかない。

正帰還の代償として、電圧増幅率は1、かつ信号源インピーダンスに依存して周波数特性が変化する。高入力特性は正帰還の結果得られたものだからやむをえない。

それでも低周波でギガΩレベルの交流増幅が出来ることはとてもありがたいことなのだ。

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2011年6月28日 (火)

センサの熱歪み

センサは種々の材料で構成される。そして、最終的には基板あるいは鉄系合金に固定される。異種材料の組み合わせは、線膨張係数の不一致による熱膨張ひずみと、異種材料の接合部の存在を意味する。

したがって、センサ開発は多くの場合、できるだけ対称的な構造が選ばれるとともに、軽用途でない限り、熱歪みや接合部の信頼性との戦いになる。

異種材料の接合部はクリープし易い箇所であり、経年ドリフトの一因となりえる。異なる線膨張係数の材料に負担を掛けないようにするには、主要部を同一材料で作り、しかも大きな寸法比を使って、センシングする構造物をつくる手段がある。

オールシリコンで作られるセンサも多く存在するが、固定の方法で性能・コストは大きく異なってくる。

MEMSでは、シリコンとパイレックスガラスを組みあわせ、陽極接合と呼ばれる手法(鏡面、温度・電界による接着剤を使わない接合法)がしばしば使われる。

しかし、工業用途では鉄系合金の土台に最終的に固定しなければならないので、シリコン‐特殊ガラス-低膨張合金‐鉄系合金などのように寸法比を種々変えながら何段階にもわたって熱歪みの影響を軽減する構造が取られる。

軽用途では、柔らかい固定方法で実用化される場合も少なくない。

学術論文ではセンサの主要部のみが話題になることが多いが、実用化に際しては固定手段がかなり重要な技術要素となってくる。

隠れたセンサ技術、それは熱歪みとの戦いでもある。工業用途では熱歪みをはじめとする環境に配慮したセンサ構造と使い方がなされる。

きちんと作られて、それなりの考慮された某原発の水位計不調のような都合の悪いあるいは都合のよい故障は、工業用途の水位計では考えにくい。きちんとした説明がなされるべきだろう。

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2011年6月27日 (月)

感温金属抵抗

ふつうの抵抗器は温度係数のゼロを目標に製作されるが、一般の金属材料/金属合金は正の大きな(≒+40%/100℃)をもつ。ゼロ温度係数の抵抗材料にはマンガニンなどの名称が付いていることもある。

センサブリッジなどでは、その温度補償に感温抵抗器が必要になるが、一般に得られる抵抗値の範囲は低く、かつ狭い。

例えば、高精度ひずみ測定では、室温と他の温度点の2点でブリッジの平衡をとるゼロ点線形温度補償が行われる。

具体的には、金属箔ひずみゲージでは全抵抗値(多くは120Ω)の0.1%よりかなり小さい値まで補正する。従って、ゲージブリッジでは、直列に抵抗を挿入して、各辺の抵抗値を変えようとすると、100m~1mΩの非感温抵抗が必要になる。これでは現実的でないので、1辺の2つのゲージに同時に接続することにより、その差分が平衡に効くように構成する。

ブリッジに並列に接続する場合は、数100kΩから無限大までの抵抗が必要になるので、やはり2箇所に並列抵抗を挿入し、差分が平衡に影響するように構成するが、感温抵抗では実用性のない高抵抗群が必要になる。

センサのばらつきやその温度係数の補正では、現実に作りやすい抵抗範囲に収まるように2個以上の異なる場所に挿入することで、ゼロとゼロ温度変化および御精抵抗値の調整を行わなければならない。しかも、感温抵抗はセンサと同一温度環境にある必要がある。

最近では、温度を測りデジタル的に補正する手段も実用化されているが、補正量が大きいと必要な精度が得られないこともある。

抵抗はふつう感温抵抗となる。コイルやトランスなどでは銅の温度係数を利用して、抵抗測定により温度上昇を計測する場合もある。(抵抗法)

「補償」というとネガティブなイメージで捉えがちだが、センサの世界では通常の手段である。そして、温度補償の程度により価格は大きく変わる。多くの物理現象は温度依存であり、ばらつきがあると、実測に基づく補償が必要になってくる。

温度補償の前提には、センサの再現性が大前提で、再現性に乏しいと、温度補償での計算精度、測定精度に限界が生じる。

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2011年6月24日 (金)

L負荷の定電流回路

電流一定制御は電磁石を用いる装置・機器によく使われる。磁場は基本的に電流に比例するからだ。

静的に駆動するには(インダクタンスの抵抗成分×最大電流)の駆動能力があればよい。しかし、動的に定電流制御をするにはもう少し細かい検討が必要である。

方形波に近い交流定電流波形の発生にリニア回路を使うと著しく消費電力が増える。転流時には、V=LdI/dtで決まる電圧と抵抗成分での損失電圧が必要で、平坦部では抵抗損だけになる。そのため、転流時間を短縮するには、高い電圧が必要であるが、定常状態では低い電圧しか要しない。したがって、発熱・放熱が大きい。

この対策には、Hブリッジにより、インダクタンスエネルギーを小容量のコンデンサに回生し、高電圧に充電されたコンデンサの電圧を用いて、Hブリッジを元とは逆向きに流れるように4個の電子SWを操作する。100%回生できるわけではないので、回生中にSW電源を最大出力状態にすることにより不足分を補い、定常状態ではドロッパ式定電流回路で精密に電流を制御する。このハイブリッド方式は電磁流量計などで、実用され大きな効果をあげている。

インダクタンス負荷を鋸波で駆動する場合はもっと厳しい。許される帰線時間が回路の最大出力電圧を決める。しかも、負荷が追従できるスリュー時間より短いと駆動回路は飽和するから、飽和状態からの回復性能も問題になる。このようなケースでは、負荷と駆動回路がケーブルで接続されることが多いから、ケーブル容量が負荷と並列に入り、制御電流とインダクタンス電流が一致しなくなる。また、回路の安定性と整定時間の両立には工夫が必要である。

インダクタンス負荷の定電流回路はセンサや理化学機器では重要な要素であるが、系が3次以上になるので、動特性のチューニングの方策が難しのもまたいやらしい。

しかし、回路的に難しければ、それなりに設計法が生まれる余地があるのだ。

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2011年6月23日 (木)

電源突入電流

電子回路用電源回路の多くは整流後コンデンサ平滑を行ってDC電源を得る。

したがって、起動時に平滑コンデンサに大きな電流が流れ、商用電源に悪影響を及ぼすとともに、回路部品に過渡的に大きな負担をかける。

この突入電源は一次側で30-40A程度に抑制する必要がある。小容量のトランス‐整流平滑方式なら、トランスの巻き線抵抗で制限されて問題になる値に達しない。しかし、数100Wクラスになると、整流・平滑の前段で制限抵抗を挿入、起動後にその制限抵抗を短絡する手段が必要になる。

力率補正/高調波電流対策を行っているSW電源ならほぼ問題は生じないが、十分対策されていないSW電源を複数使う場合には慎重に対応する必要がある。

単体で突入電流を抑制していても、1個の電源スイッチでON-OFFする場合にはSW電源数だけ厳しくなる。

SW電源は商用ライン直整流がほとんどなので、商用電源のインピーダンスに応じ充電電流が流れる。投入タイミングと状況に依存して変化する電源インピーダンスに依存するので、擬似電源回路網を経由し多数回の実験をやることになる。

突入電流が大きく継続時間の長い大容量回路では、フューズの選定が難しい。定常電流を大きく超える電流でフューズがブローしないように、スローブロータイプを使うのが常套手段であるが、この手段だけで対応しきれないケースもある。悩ましい限りである。

フューズの選定に係わる突入電流の問題はコンデンサ平滑の宿命である。

電子回路の負荷は、ほとんどが大きく変動するので、チョークコイルやLCフィルタは非常に使いにくいのである。

コストが許されれば、力率補正回路の付いたSW電源が安直な解になるのだが、コストに厳しい用途ではいつも悩ましい基本的な課題となるのも突入電流の問題である。

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2011年6月22日 (水)

震災商売

茨城県は屋根瓦とくに棟瓦(ぐし)の損傷を受けた家屋が多い。もっと北の地方では雪対策のため本瓦の家屋そのものが少なく、南では揺れが小さく損傷のある家屋は千葉県ではかなり少なくなる。

つまり、茨城では屋根の修理で困っている人が多い。ニーズあるところには商機ありとばかり、各地から屋根修理の業者が茨城に入り込んでいるらしい。

屋根の損傷は応急措置のブルーシートをかけて土嚢で押さえてあるから、外から見てすぐわかる。

わが家も応急措置は済んでいるが棟瓦が2列崩壊している。

いろんなルートを経由して、電話が入り、通りすがりの業者の声もかかる。

中には資材代金を前受けして工事をやらない業者や高額な工事代金を請求された話も結構ある。

応急措置をやってもらった見知らぬ業者、応急措置の対応は良かったので、修理の見積もりを取ろうとしたら、資材代相当の前金がいるとの話。前金がないと工事をやれないという。見積もりに来た下請の方に事務所の所在地を聞くと、連れ合いが貰った名刺の地区とは異なる。携帯は途中で繋がらず、家電で連絡、携帯はトイレに落として壊れたとのこと(相撲疑惑を連想)

ここまで来ると、リスクを冒してまで、その業者に依頼する気にならなくなった。これが震災商売か。

当方も、瓦や粘土などがひっ迫していることは承知している。本来なら自宅を建てた工務店経由で依頼するか、古くからある地元業者に頼むのが筋なのだが、そのルートは今の私にはない。

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2011年6月21日 (火)

10万馬力

漫画の鉄腕アトムの出力は10万馬力≒7万5000kWである。人間の子供サイズでこの出力という設定になっている。(英馬力HPと仏馬力では少し換算係数が違う)

この出力はLNG火力の単機容量あるいは超大型旅客機の最大出力に相当する。

この機械的出力を得るには、最新鋭火力で熱効率は2/3以下だから4万KW程度の放熱が必要となる。ガソリンエンジンなら15万KWの放熱能力がないと、10万馬力を出すことはできない。

大雑把な話、1秒間で体重相当の水が蒸気になるほどの廃熱がでる。今までの原動機とは次元の違う熱効率が必要だ。

動力を伝える軸も最高強度の材料を用いても、子供の腕の太さでは到底足りない。

動かすのは腕だけではないから、あちこちに現状ではモーターが必要になる。体に収容できるサイズのモータはせいぜい5馬力。しかも、電気の形で分散モータに送電するなら、電線の太さや絶縁性能が問題になる。

それでも個々の項目だけを考えれば、今のロボット技術で実現できていることは多々ある。

ジャンプは困難だが2足歩行は実現できている。顔の表情は多くの小型モータを使ってそれなりに表現できる技術もある。

視覚はかなり良い線を行っているが、触覚・圧覚・温覚など分布的センサは研究はされているが、体表全体に分布させ情報を脳(CPU)に伝達する手段がない。神経のように高密度で信号伝達の手段はまだ確立されていないだろう。

夢に水を差すようで悪いが、鉄腕アトムの10万馬力の実現を工学的にちょっと検討してみるだけで、多くの課題しかも長らくかかっても進歩が少ない本質的な課題が浮かび上がってくる。

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2011年6月20日 (月)

失敗学のあり方

チームでの仕事の成否は、取りまとめ役(リーダー)の資質・技量に大きく左右される。失敗仕事の再構築には私なりの考え方がある。

決してチームメンバーに失敗の理由を聞くことはしない。そこでは真実が語られることはまずないと考えているからだ。不具合事項なら現在の事実なので、秘匿されることは少ないし、隠しても無駄だ。そこに真実に迫る真の原因が存在する可能性がある。

アナログエンジニアは失敗開発の再構築ややり直しのできない開発を幾度か経験している。

このような場合、当然失敗の当事者のリーダーは代えるし、上長のコメントには拘泥しない方が良い。チームを組むことは、それなりのいくつかの分野の専門家が入る。

専門家はそれぞれの経験・知見を持っている。これを生かさない道はないだろう。ただし、成功率の低い技術者の意見は割り引く必要があるが、現状の問題・課題に関しては口を開くのが常である。

私は失敗学を肯定も否定もしない。こと工学的な問題に関しては、専門家の意見、見方、・知見や把握した事実は失敗の原因を探り、それを教訓として生かすための必要条件と考える。

失敗は属人的、属組織体質的なものが普通だ。物が言える環境がないと、次の改良・開発での課題・問題の把握漏れの確率が増加する。誰もどの組織もふつう自己否定することはない。責めてはならないのだ。

センサ開発でも、今、話題の原子力事故でも同様であると私は思う。

しかし、報道によると事故調査は原子力の専門家を排除した形で行われるらしい。専門家を排除すれば、設計情報やシステムの構築思想が希薄にしか判らない筈だ。

真実は少なくとも事実の上に論理的にそして人間や組織の論理を勘案して、矛盾を解消する作業となるべきだと思う。

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2011年6月17日 (金)

リターンパス

個別部品で組む精密アナログ回路は多くの場合、外来ノイズに対し被害者側となる。例えば、オペアンプ回路では、電源およびGNDラインの高周波変動に対して十分な配慮が必要だ。PSRR(電源除去比)は利得帯域幅積に近い高周波になると著しく低くなる。

電源変動もGNDの変動もほぼ同様に悪影響を及ぼす。

電源バイパスコンデンサからは、バイパス交流がGNDラインを通るから有限のGNDラインのインピーダンスを介して変動要因となる。

デジタル回路ではべたアースを良く使うが、アナログでは結構、危ないやり方と思う。べたアースでは意外にGNDパターンが1ターンのループを作り、そのループがアンテナになってしまうことがあるからだ。

アナログエンジニアは基本的にべたアースは嫌いである。アナログ回路は信号レベルが前段ほど低い。一方デジタルは同一レベルの信号を扱う。

机上で考えやすいのは1点接地であるが、重要なGNDが多いときには現実的ではない。

私の戦略は信号レベルの低い部分を給電点から遠く離した梯子形布線を中心に考える。

信号レベルの高いアナログ部は逆に給電点に近い部分に配置する。これにより、後段の電流変動が初段回路に影響しにくくなる。

パスコンを効果的に働かせるには電源インピーダンスを上げる必要もある。コストはかかるが数100μH程度のインダクタを挿入することもある。

パスコンの電流のリターンパスを考えた時、現実的には梯子形GNDパターンとスター布線が効果的になる。

もっと高周波に対してはこの手はあまり有効ではない。貫通コンデンサを使うことすらあり得るのだ。

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2011年6月16日 (木)

複素インピーダンス

抵抗の電圧Vと電流Iの関係はV=RIで、Rは正の実数である。

では、インダクタンスLとコンデンサCではどうなるか。

正弦波を入力して十分時間が経過した結果を知りたければ、V=ZI、ここでインピーダンスZが出てくる。インピーダンスZは複素数で、jωL、1/(jωC)で回路を解く。電子回路、電気回路では、虚数単位にjを用いる慣例だ。

L,Cに対し、複素インピーダンンスの概念を使わないと、純インダクタンスや純容量しか扱えない。共振の問題も暗記問題となる。

周波数特性を検討するなら、複素インピーダンスを導入しておいて、角周波数2πω=f、時定数Tを導入しておいて、回路をキルヒホッフの法則を使って解く。ω=1/Tである。

「十分時間が経過し」の十分の尺度は時定数Tである。

複素計算を行い、絶対値をとりωまたは周波数fの関数として両対数グラフに描けば周波数特性を計算できる。このグラフはボード線図の振幅特性そのものだ。

なぜjωL、1/(jωC)が許されるかと言えば、発散しない系ではラプラスの演算子sの特別な場合として微分はs=jω 積分は1/s=1/(jωC)が許されるからだ。ラプラス変換は複素関数か畳み込み積分(インパルス応答と深い関連がある)がその背景にある。

大学に入る以前に複素数の扱いは誰もが習っている筈なので、それを前提にすれば最初から複素インピーダンスを導入するのが最善だと思う。

過渡応答に関しては、微分方程式を直接解くか、ラプラス変換で微分方程式を解く必要が生じる。そして複素インピーダンスでの解はその一般解である。

制御理論を学んでいるなら、ラプラス変換で微分方程式との対応も付く。

とは、言いながら、アナログエンジニアはラプラス変換で過渡応答を計算したのは数回しかない。

jωの3次式になると、私は簡単には扱えない。ボード線図上で考えて合成するの一点張り。

大学の学科によっては、複素関数やラプラス変換を学ばない工学もあるだろうから、せめて複素インピーダンスの概念に習熟させるような教育は必須だろう。

今の世の中、電子システム中心の世界だから、センサ(物理現象/材料)と制御とその実現法(回路)を必須としなければ「システム」をきちんと扱うことは難しい。しかし、名ばかりシステム工学科も数多くあるのが現実だ。

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2011年6月15日 (水)

反転加算器回路

オペアンプを用いた反転加算器は複数の電圧入力の和を反転し出力する回路である。+入力端子は接地、-入力端子と、各入力端子および出力の間に抵抗を接続する。

簡単には各抵抗を数10k~数kΩの同一抵抗値にするが、重みづけ(各入力の寄与度を変える)ことも加算しながら増幅することもできる。

反転増幅器と同様に、信号源抵抗の影響を受ける。n入力の回路ではバイアス電流の影響は1/(n+1)で効き、オフセット電圧の影響は(n+1)倍される。加算入力数が多く、信号レベルが低いときには要チェック項目である。

一挙に多数の入力電圧を扱う際には、出力ダイナミックレンジの制約上、加算結果が出力電圧範囲内に収まるように設計するか、入力の組み合わせによっては出力飽和を覚悟して使う必要がある。

オフセット付き精密整流回路を反転加算器に入力すると、折れ線近似任意関数発生回路を構成できる。

オフセット電圧が十分小さければ、一つの信号がゼロ入力の時にはゼロ電流が加算されるのみであるから、アナログSWを使い、オフ状態(入力開放)にしても演算結果は変わらない。すなわち、開放=ゼロ入力となる。

加算器は、しばしば、回路全体のゼロ点調整回路に使う。この場合、正負信号入力が必要なことがある。

ゼロ点調整を前段で行い、後段で利得(スパン)調整を行うと、調整が非干渉となり、操作性が向上する。

回路構成上は原則として1回路に1個の加算器があれば十分だが、信号レベルによっては複数の加算器を使い操作性と安定性を向上させることもある。

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2011年6月14日 (火)

オペアンプ回路は易しいか

オペアンプを使う回路では、オペアンプはブラックスボックス化され、ほぼ共通化された仕様項目でその特性が表現されている。基本的な回路構成も共通である。

したがって、初学者にはオペアンプ回路はトランジスタ回路に比べ扱いやすいし、実用レベルの回路も一通り組むことができる。心臓部がブラックスボックス化されているので、DC解析、周波数特性、過渡応答、ダイナミックレンジなど、キルヒホッフの法則と複素数の扱い方を知っているならある程度は見通しがつく。個々の品種に固有の注意点はデーターシートに付属する情報を忠実に守ればよい。

極論すれば、バイアス電流、オフセット電圧、出力ダイナミックレンジ、GB積を理解しているなら、そこそこの回路を組め、回路定数も決まる。だから、易しいと感じる人が多いのだ。

しかし、一旦オペアンプの内部回路に立ち入ると、オペアンプそのものを作ろうとすると幾多の困難が立ちはだかる。オペアンプそのものの設計は、優秀なアナログ回路設計者が種々の場面を想定し、時間を掛けてプロセス屋とともに作り上げた回路システムである。そこにはトランジスタの2次特性や種々のトランジスタ回路手法が多く盛り込まれている。

未だに、1970年前後に開発された741形オペアンプとその互換品は健在である。

オペアンプ回路は理論的にも整然とした形で教授されるので、学ぶ側にとっても入りやすい。

比較的少ない経験で、理想的でないオペアンプ特性を扱い定数設計ができるのだ。基本回路は真似れば済むことが多い。しかし、オペアンプ回路といえども、2次特性=非理想的アンプを扱わない教本でしか学んだことのない回路屋さんは、基本的に自分で回路定数を決める技量は持ちえない。

トランジスタ回路では、総ての部品がブラックボックスとして扱われることはない。同じ機能を実現するにも、複数の道がある。回路製作に際して行う回路仕様を決めることも回路屋の仕事である。ほとんど回路としては「無」の状態からの出発、それがトランジスタ回路の世界だ。難しいが、可能性は極めて広い。

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2011年6月13日 (月)

定電圧ダイオード

定電圧ダイオードは電子回路ではツェナーダイオードと呼ばれ、一定電圧を得るために使われる2端子素子である。しかし、定電圧ダイオードは温度に対し、特別な条件以外では一定電圧を保たない。

5V以下のツェナー電圧の品種は負の温度係数をもち、5.7V付近でゼロ温度係数、それ以上では正の温度係数となり、35V付近では+30mV/℃程度になる。100℃変化で3Vも高くなる。

通常、低電圧ダイオードは温度に対し、一定電圧を保たず負の温度係数となる。

定電圧ダイオードの主な使用目的は、非安定な電源から抵抗を介しダイオードを逆降伏させてほぼ一定の電圧を得ること、回路に並列に接続して不測のサージ電圧の制限を行うことである。降伏を前提に製作されているので、逆降伏させても降伏電圧の経年変化は少ない。

単体ダイオードで温度係数が小さくなる点は5-6V付近にあるので、温度影響を少なく、回路を簡単にするためには、この電圧の定電圧ダイオードが良く使われる。

定電圧ダイオードの電圧は電流変化に対しても一定ではなく、電流の増加とともに電圧は上昇する。動作抵抗はこの電圧上昇/電流変化であるが、低電圧では動作抵抗が大きく、9V付近でもっとも小さくなり、さらに高い電圧では接合に至る基板抵抗が影響して動作抵抗は再び高くなる。

低電圧側では、動作抵抗は電流にほぼ反比例するので、元電源の大きさと定電圧値が決まると、元電源に接続した抵抗にあまり依存せず定電圧性は決まる。

以前は、温度係数の低さと動作抵抗を低減した温度補償形ツェナーダイオードが広く使われていたが、現在では次第に使われなくなっている。温度補償形ダイオードは、順ダイオードの負の温度係数とツェナーダイオードの+の温度係数が打ち消しあうようにして、動作抵抗をある程度低減した低温度係数定電圧ダイオードで、補償ダイオードの個数で6.4Vが最小である。

現在では、集積回路を用いたバンドギャップ形2端子定電圧ICが使われることも多いが、コスト要求の厳しい用途では、今も定電圧ダイオードが使われる。

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2011年6月10日 (金)

電池力船

自動車のEVからの連想だろうが、電池を動力とする水上船は技術的に素姓が良くないと思う。

車は慣性負荷が主体で、かつ、加速・減速・停止の激しい乗り物であるから運動量の回収やアイドリングストップなどの効果が大きい。一方、船は、頻繁には、このような運動はしないしし、減速時はエネルギーの回生どころか、プロペラの逆回転による運転も行われる。一般の水上船では、長距離・長時間の航行が普通だし、走行性能・効率もよい。

エンジンをモーターに代えて航続距離が短く速度も遅い実船を作って何を目指すのか、難の意義があるのか判らない。世界初かも知れないが、実用性に乏しいから誰もやらなかったのだろう。だが、世界初なら素姓が悪くとも、悪い意味での学術研究には成るだろう。

電池力船は通常型潜水艦として第2次世界大戦では実用化されている。電池性能の海洋環境での試験なら、電池動力の必然性のある潜水艦用として研究すべきだろう。いや、公表されていないだけで当然研究されていることだろう。

電磁推進船はもっと必然性がない。強力な超電導磁石を使っても、海水程度の伝導度では十分な推力は得られない。電極間に大電流を流せば海水の電気分解が生じるだろうから、磁場と電場を反転する必要がある。これらのことは、部分実験や数値解析で確認できよう。

電磁推進船も実船が作られたと聞く。

いかし、同じ原理で条件が整えばポンプも作れる。環境が悪く機械式ポンプの使えない場所で、高伝導率の液体を対象に実用化されている。

物つくりを考え実用化するためには、定量的に性能予測するとともに、その技術がどのような条件下で優位性をもつか実用性を持つかを考えるのは、新しい技術に挑戦する工学者として当然のプロセスだろう。

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2011年6月 9日 (木)

有効数字

測定結果には必ず測定誤差がつきまとう。真の値からのずれの度合いを不確かさと称するが、これを測定値で割ったものが%単位などで表示したものが、相対誤差の目安となる。

近年のデジタル計測器の普及、電卓などの利用の普及につれ、測定誤差を考慮しないで多くの桁数を実験記録に残し、あるいは論文に記載する例を多く見かけるようになった。

しかし、誤差の存在を考慮すれば5桁や6桁の測定記録は無意味で、せいぜい相対誤差より一桁高い数値までが意味がある。有効数字は計測誤差の存在を前提に、意味のある細かさまで表示する習慣だ。読み取れることと、有効な数値の桁数とは別問題である。さらに、少ない有効桁のデーターを処理する過程で出てくる計算結果をそのまま記載する方も存在する。

0.1%の不確からしさで測定することは結構難しい。環境が変われば計器の不確かさはさらに増す。そして、測定対象の測定量も変化する。例えば、長さの測定を考えると、多くの金属では1℃の変化で10-5以上変化する。プラスティックなど1-2桁、金属より線膨張率がおおきい。温度の測定値を併記しなければ0.1%以上の数値はプラスティックでは怪しいのである。

半導体の原版を焼き付ける縮小露光装置の位置決めは、高度な空調下で干渉光を使い、温度はもちろん、気圧・湿度まで補正すると聞いている。

測定原理を知り、計測器の誤差をきちんと把握していなければ、得られた結果の数値は結構怪しい。

アナログエンジニアは一般計量士の資格を持っているので、種々の量の扱いには気を配る方だ。

近年、大学で「計測概論」「計測工学」など測定に関する講義が少なくなってきているような気がする。工学的に数値を扱う際には、常に測定誤差を考えておく必要がある。

科学は測定に始まり測定に終わる。

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2011年6月 8日 (水)

導体抵抗

35μm銅箔パターンを使う基板では0.5mm幅、長さ10cmで導体抵抗は約0.1Ωである。従って、よほどの低抵抗を含まない限り回路屋は導体抵抗を無視して考える。

しかし、セラミック基板上の導体抵抗は通常幅の導体で長さ10cmで数Ωもあり、かつ温度係数も大きい。

導体抵抗が大きい回路では、いたるところに寄生抵抗が存在し、抵抗の絶対値やその温度係数も変わってくる。素子間の共通配線を介し、クロストークも大きくなる。精密回路では、抵抗の絶対値やその温度係数に対する要求水準が高くなるので、導体抵抗の許容水準が高くなる。

スルーホールは孔サイズにも依るが20mΩ程度ある。セラミック基板上ならクロスオーバー、シリコンならエミッタ拡散を使ったクロスアンダー部分なども問題だ。

普段、導体抵抗を無視してレイアウトしている回路が、導体抵抗が大きくなると回路レイアウト技術が回路性能に大きく影響する。

このような状況下では、各抵抗性能の変化やコンデンサへの過渡電流など考慮する必要のある項目が激増する。

アナログエンジニアはセラミック基板上の混成集積回路設計の際に、無視できない導体抵抗の問題に出逢った。

導体抵抗を無視しない回路設計は、レイアウト設計まで回路設計者が責任を持つということだ。導体幅、導体の引きまわし、交差部の設け方など細かい注意と検討が必要になる。

一度、極端な事例に出会うと、導体抵抗あるいは導体インピーダンスの問題に敏感にならざるを得ない。そして、GNDライン、電源ラインの布線方法にも多くの示唆を与えてくれる。

多くのアナログ回路では、パスコンを使って高周波電流を流すループを局在させる戦略をとる。また、電源の給電点とGND位置も重要な課題となる。通常は大電流が流れる出力段周辺に給電点を設ける方式:梯子形レイアウトが有力だが、スター配置を取らざるを得ないこともある。べたアースは電流の流れを把握しにくいので案外効果を上げにくい。

導体抵抗をどこまで考慮するかは、扱う信号レベル(電圧、電流)や周辺回路のパワーにも依存する。

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2011年6月 7日 (火)

シート抵抗

シート抵抗は、薄膜・厚膜(拡散抵抗、ポリシリコン膜を含む)などの縦横比の等しい抵抗パターンの抵抗値:Rs=Ω/□として定義される。

シート抵抗が判明していると、4端子法などの方法で測定でき、かつ任意の縦横比を持つパターンの抵抗値をR=Rs*L/W L:長さ W:幅 で速算できる。

シート抵抗は成膜プロセスと材料で決まるので、それらが同じであれば同一シート抵抗で作る抵抗体の抵抗値には現実的な数値がある。LとWには最小寸法があるからである。

広い抵抗値を実現するために厚膜集積回路では、数種の抵抗ペーストを印刷・焼成して作成する。抵抗体の面積はほぼ許容電力に比例し、かつ、極端な寸法比の抵抗は大きくなるか精度が低くなる。厚膜抵抗でトリミングする場合には、プロービングする端子を設けるとともに、トリミング前の抵抗値は希望値より常に低くなるように設計する必要がある。

厚膜集積回路プロセスのシート抵抗調整は、抵抗ペーストとガラス質の基材の比率で主に変化させているので、焼成後の光沢を見れば、何種類=何回のペースト印刷が行われているか目視で判ることが多い。

バイポーラ半導体集積プロセスでは、10kΩ以上のベース拡散抵抗は場所をとることが多い。

薄膜、厚膜プロセスでは、導体と称するパターンも無視できないシート抵抗を持つので、抵抗体には微小抵抗が寄生することになる。しかし、抵抗体の形状や厚膜抵抗の印刷方向(薄膜では基板の結晶方位)を同じにし接近させると、温度係数の揃った抵抗ペアが得られる。

厚膜・薄膜ともに数ppm/℃程度のマッチングが得られるとされる。個別部品の薄膜抵抗や金属箔抵抗ではジグザグパターンも使われるので、L/Wの取り得る範囲が広くなるが、材料の取り得る抵抗範囲や厚みの選択幅は狭くなる。

抵抗パターンも回路設計者が設計する世界、それが集積回路の世界でもある。

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2011年6月 6日 (月)

アナログ部品

アナログICはデジタルICほどではないが、時代とともに進化を遂げている。さきがけの部品はその時代なりに新しい設計を可能にする。

マイクロパワーOPアンプは40年前の新部品だった。50μA、数Vで動作するOPアンプは当時の私の仕事に不可欠の要素であった。トランジスタ回路では規模が大きくなりすぎ、増幅の線形性と温度特性の仕様を達成する手段を見出すことができなかった。

新製品を初めて使うとき、アナログエンジニアは社内試験とは別に、その経年安定性と温度特性を数100サンプル・数1000時間フォローした。民生用の80℃定格の部品であったが、メーカーからもっと高温での「動作」保証を何とか取り付けて、産業用に使うつもりだった。

エポキシガラス基板が焦げ茶色になるような時間と温度を掛けて試験した。

温度特性とくにオフセットドリフトは規定外の条件での使用だし、もともと規格が1桁以上オーバーしている状態であった。そこで、対称回路で主要部を設計し、ICのオフセットドリフトペアを作る作戦に出た。10倍以上の性能を選別だけですると、歩留まりは著しく悪いが、組みペアなら大きなロスなくペアが組める。

出現率は低かったが、オフセットの温度ドリフトが非線形なものも混入していたので、3点の温度点での選別・ペア組みを行い、0.1μV/℃の温度ドリフトを達成できた。この数値は現在の低ドリフトアンプの最高レベルと同等である。このような方策により、自分のミッションを達成できたが、その時代にそのICに出逢わなかったら、製品はもっと低レベルに物になっていたと考えている。

時代とともに部品は進化する。その時代を物にすることは、一つの製品の盛衰を左右するのだ。

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2011年6月 3日 (金)

正負電源の保護

複数の電源を使用する場合、負荷短絡などの不慮のトラブルで連鎖故障しない工夫を行うことが好ましい。

±電源を共通接地で使用している場合には、電源・接地間に2つの逆ダイオードを挿入して電源の出力コンデンサにかかる逆電圧を防止する。

オペアンプ回路などでは、オペアンプ自体で正負電源の投入順序が異なっても、まず異常動作しないが、複数の電源を使用する回路では十分検証しておく必要がある。

電子回路では、強電回路と異なり、制御電源の投入順序、かい離順序を意識するすることは少ないが、それでも電源投入の順序が問題になる回路も存在する。

特に、電源保護回路にインバータを使っている場合は問題になりやすい。そこで、アナログエンジニアはこのような回路を個別部品で組み、電源投入順序に依存せず期待する動作が行われることを確認することもある。個別部品で組むのは、細かい動作を自分自身で規定できるように設計できるからだ。

何気なく使う複数電源システムでは、一系統の電源短絡で連鎖故障を生じないか、電源投入時の過渡的な誤動作は大丈夫かなど、検討・確認事項が多く増える。

電子回路ではふつう電源シーケンスを組むことは少ないが、それでも先入れ、後OFFなどを確実にする回路を設けることもある。

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2011年6月 2日 (木)

計測増幅器

別名インスツルメンテーションアンプ。オペアンプ2個でも高入力抵抗・差動増幅機能は実現できるが、現在は3オペアンプ形が主流である。

主な用途は、大きい同相電圧Vcに埋もれた差動信号ΔVを高い同相除去比でGND基準の電圧に変換することである。具体的には抵抗ブリッジの差電圧を直流増幅する場合など。

3オペアンプ形の計測増幅器はA1~A3のオペアンプ、A1とA2のー入力端子間の抵抗Rs、A1出力およびA2出力とそれぞれの-入力端子に接続された2本の抵抗Rf1、Rf2が主要部で、A3周辺の加減算器で最終的に差動信号をシングルエンドに変換する。

A1、A2部はRsの中点(VCM)を増幅の基準点と考えれば、+ΔV/2、‐ΔV/2を入力とする正相増幅器に見える。従って、同相信号VCMはそのままで、信号差動成分ΔVが増幅される形となる。A1,A2の出力の差をA3で取れば、VCMは消去される。

A1、A2周辺部は抵抗の比精度に鈍感で、抵抗比精度が悪くとも、高い同相除去比を維持できる。高精度化が実現しやすい性質である。回路は対称形なので、数Vに埋もれた数mVを誤差0.1%で増幅することも可能である。2つのオペアンプの同相電圧影響が相殺される方向なので、注意深く設計すれば低周波では140dBの同相除去比を得ることも可能である。

正相増幅器なので、2つの入力端子であるA1,A2の+入力端子からはバイアス電流以上の電流は信号源からとらないので、信号源抵抗の影響を受けにくい。

意図的に同相電圧を+の適当な値に維持し、VCM±AΔVをオペアンプの同相入力範囲内に設計すればA1、A2部は単電源でも動作する。

この説明は計測増幅器の特徴の一部であるが、それでも計測増幅器のメリット・使い分けの理解の一助になると思う。

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2011年6月 1日 (水)

接触部品

近年の電子機器では、さまざまな形状・材質のコネクタやスイッチなど金属接触を持つ電子部品が使われている。

組み立ての便宜や、モジュール交換・追加や人間の操作信号を伝達する目的や電力のON-OFFに使われる。

コネクタでは、形状が規格で細かく定められているものが多いが、スイッチ類では種々の選択肢がある。

コネクタ特性は大きく挿抜回数と扱う電流・電圧で異なる。

扱う電流・電圧が小さければ(ドライ接点)、絶縁性の被膜を作らないAuが表面材質に使われる。Auは高価なので、Au被膜を実用上差し支えない範囲で節約する。部分メッキ、小型化、膜厚の最小化など。Auはまた銅と金属化合物を作りやすいので通常は厚いNiメッキでこれを防止する。接触圧も重要な要素である。

スイッチでもドライ接点ならAuを少なくとも接触部に使わなければ、良好な導通は得られない。

大電流・高電圧となると接点の接触圧を大きくできるので、比較的材質の選択幅があるが、今度は溶着や接点材質の移行が生じやすい。

想定する開閉回数も大きな選択要素である。低い開閉回数なら接触圧を大きく取れるので卑金属でも良好な導通が得られる。その極端な例が圧着だろう。ミクロの導通部は大きな接触圧により気密状態になり保護されからである。

外観的には違いが判らなくとも、接触部品の信頼性はしつこく検証しておく必要がある。

上手に使えばコネクタ・SWは便利な電子部品であるが、一歩間違えば接触不良あるいは溶着などの機能不全が生じる。それ故、コネクタ・SW類の選定は、見かけは同じように見えてもその品質を見極めることは重要である。

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