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  • 単独著
    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

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  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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  • 岡山 努: アナログ電子回路の基礎と入門!これ1冊

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2011年6月 6日 (月)

アナログ部品

アナログICはデジタルICほどではないが、時代とともに進化を遂げている。さきがけの部品はその時代なりに新しい設計を可能にする。

マイクロパワーOPアンプは40年前の新部品だった。50μA、数Vで動作するOPアンプは当時の私の仕事に不可欠の要素であった。トランジスタ回路では規模が大きくなりすぎ、増幅の線形性と温度特性の仕様を達成する手段を見出すことができなかった。

新製品を初めて使うとき、アナログエンジニアは社内試験とは別に、その経年安定性と温度特性を数100サンプル・数1000時間フォローした。民生用の80℃定格の部品であったが、メーカーからもっと高温での「動作」保証を何とか取り付けて、産業用に使うつもりだった。

エポキシガラス基板が焦げ茶色になるような時間と温度を掛けて試験した。

温度特性とくにオフセットドリフトは規定外の条件での使用だし、もともと規格が1桁以上オーバーしている状態であった。そこで、対称回路で主要部を設計し、ICのオフセットドリフトペアを作る作戦に出た。10倍以上の性能を選別だけですると、歩留まりは著しく悪いが、組みペアなら大きなロスなくペアが組める。

出現率は低かったが、オフセットの温度ドリフトが非線形なものも混入していたので、3点の温度点での選別・ペア組みを行い、0.1μV/℃の温度ドリフトを達成できた。この数値は現在の低ドリフトアンプの最高レベルと同等である。このような方策により、自分のミッションを達成できたが、その時代にそのICに出逢わなかったら、製品はもっと低レベルに物になっていたと考えている。

時代とともに部品は進化する。その時代を物にすることは、一つの製品の盛衰を左右するのだ。

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コメント

最近このブログを発見したのですが、大変勉強になる内容で毎日拝見しております。

質問ですが、
>、ICのオフセットドリフトペアを作る作戦に出た。
設計段階では、手作業でペアを見つけるのだと思うのですが、製造段階ではどうするのでしょうか?出荷数が少ないから、製造段階でも手作業で大丈夫ということでしょうか?出荷数が多い場合でも、この作戦は使えるのでしょうか?

エンジニ屋さん おはようございます。

生涯生産台数は約20万、恒温槽とある程度の自動化でこなしました。
産業用センサはどこのメーカーでも大規模な温度試験/補償をやっていますので、その延長でやりました。

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