電源突入電流
電子回路用電源回路の多くは整流後コンデンサ平滑を行ってDC電源を得る。
したがって、起動時に平滑コンデンサに大きな電流が流れ、商用電源に悪影響を及ぼすとともに、回路部品に過渡的に大きな負担をかける。
この突入電源は一次側で30-40A程度に抑制する必要がある。小容量のトランス‐整流平滑方式なら、トランスの巻き線抵抗で制限されて問題になる値に達しない。しかし、数100Wクラスになると、整流・平滑の前段で制限抵抗を挿入、起動後にその制限抵抗を短絡する手段が必要になる。
力率補正/高調波電流対策を行っているSW電源ならほぼ問題は生じないが、十分対策されていないSW電源を複数使う場合には慎重に対応する必要がある。
単体で突入電流を抑制していても、1個の電源スイッチでON-OFFする場合にはSW電源数だけ厳しくなる。
SW電源は商用ライン直整流がほとんどなので、商用電源のインピーダンスに応じ充電電流が流れる。投入タイミングと状況に依存して変化する電源インピーダンスに依存するので、擬似電源回路網を経由し多数回の実験をやることになる。
突入電流が大きく継続時間の長い大容量回路では、フューズの選定が難しい。定常電流を大きく超える電流でフューズがブローしないように、スローブロータイプを使うのが常套手段であるが、この手段だけで対応しきれないケースもある。悩ましい限りである。
フューズの選定に係わる突入電流の問題はコンデンサ平滑の宿命である。
電子回路の負荷は、ほとんどが大きく変動するので、チョークコイルやLCフィルタは非常に使いにくいのである。
コストが許されれば、力率補正回路の付いたSW電源が安直な解になるのだが、コストに厳しい用途ではいつも悩ましい基本的な課題となるのも突入電流の問題である。
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