シート抵抗
シート抵抗は、薄膜・厚膜(拡散抵抗、ポリシリコン膜を含む)などの縦横比の等しい抵抗パターンの抵抗値:Rs=Ω/□として定義される。
シート抵抗が判明していると、4端子法などの方法で測定でき、かつ任意の縦横比を持つパターンの抵抗値をR=Rs*L/W L:長さ W:幅 で速算できる。
シート抵抗は成膜プロセスと材料で決まるので、それらが同じであれば同一シート抵抗で作る抵抗体の抵抗値には現実的な数値がある。LとWには最小寸法があるからである。
広い抵抗値を実現するために厚膜集積回路では、数種の抵抗ペーストを印刷・焼成して作成する。抵抗体の面積はほぼ許容電力に比例し、かつ、極端な寸法比の抵抗は大きくなるか精度が低くなる。厚膜抵抗でトリミングする場合には、プロービングする端子を設けるとともに、トリミング前の抵抗値は希望値より常に低くなるように設計する必要がある。
厚膜集積回路プロセスのシート抵抗調整は、抵抗ペーストとガラス質の基材の比率で主に変化させているので、焼成後の光沢を見れば、何種類=何回のペースト印刷が行われているか目視で判ることが多い。
バイポーラ半導体集積プロセスでは、10kΩ以上のベース拡散抵抗は場所をとることが多い。
薄膜、厚膜プロセスでは、導体と称するパターンも無視できないシート抵抗を持つので、抵抗体には微小抵抗が寄生することになる。しかし、抵抗体の形状や厚膜抵抗の印刷方向(薄膜では基板の結晶方位)を同じにし接近させると、温度係数の揃った抵抗ペアが得られる。
厚膜・薄膜ともに数ppm/℃程度のマッチングが得られるとされる。個別部品の薄膜抵抗や金属箔抵抗ではジグザグパターンも使われるので、L/Wの取り得る範囲が広くなるが、材料の取り得る抵抗範囲や厚みの選択幅は狭くなる。
抵抗パターンも回路設計者が設計する世界、それが集積回路の世界でもある。
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