計測増幅器
別名インスツルメンテーションアンプ。オペアンプ2個でも高入力抵抗・差動増幅機能は実現できるが、現在は3オペアンプ形が主流である。
主な用途は、大きい同相電圧Vcに埋もれた差動信号ΔVを高い同相除去比でGND基準の電圧に変換することである。具体的には抵抗ブリッジの差電圧を直流増幅する場合など。
3オペアンプ形の計測増幅器はA1~A3のオペアンプ、A1とA2のー入力端子間の抵抗Rs、A1出力およびA2出力とそれぞれの-入力端子に接続された2本の抵抗Rf1、Rf2が主要部で、A3周辺の加減算器で最終的に差動信号をシングルエンドに変換する。
A1、A2部はRsの中点(VCM)を増幅の基準点と考えれば、+ΔV/2、‐ΔV/2を入力とする正相増幅器に見える。従って、同相信号VCMはそのままで、信号差動成分ΔVが増幅される形となる。A1,A2の出力の差をA3で取れば、VCMは消去される。
A1、A2周辺部は抵抗の比精度に鈍感で、抵抗比精度が悪くとも、高い同相除去比を維持できる。高精度化が実現しやすい性質である。回路は対称形なので、数Vに埋もれた数mVを誤差0.1%で増幅することも可能である。2つのオペアンプの同相電圧影響が相殺される方向なので、注意深く設計すれば低周波では140dBの同相除去比を得ることも可能である。
正相増幅器なので、2つの入力端子であるA1,A2の+入力端子からはバイアス電流以上の電流は信号源からとらないので、信号源抵抗の影響を受けにくい。
意図的に同相電圧を+の適当な値に維持し、VCM±AΔVをオペアンプの同相入力範囲内に設計すればA1、A2部は単電源でも動作する。
この説明は計測増幅器の特徴の一部であるが、それでも計測増幅器のメリット・使い分けの理解の一助になると思う。
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