ブートストラップ回路
高入力抵抗の交流増幅器をOPアンプで構成する回路方式は、そう多くない。交流のみを扱うことは、漏れ電流の極めて少ない入力コンデンサC1で直流カットする。直流カットした正相増幅器は+入力端子のバイアス電流を流す経路がないから、そのままでは動かない。
OPアンプの-入力端子は負帰還経路があるが、+入力端子とGND間に、バイアス電流を流すための抵抗RBを挿入する必要がある。すると、高入力抵抗が実現できない。
このジレンマを解決する手段がブートストラップだ。
具体的には、RBをR1とR2に分割し、その分割点にOPアンプの出力から同相でかつ利得1以下で1に近い信号をコンデンサC2を経由して分割点とC1の間の抵抗R1の電位差を交流的にほとんど同じにしてしまうのだ。R1の交流的電位差はないから、交流電流は流れず、極めて高入力交流増幅器となるのだ。
アナログエンジニアは工業計測の分野でこの回路方式を使ったことがある。
あとで判ったことだが、C1、C2、R1、R2の定数選択は周波数特性に影響するのだ。しかも、OPアンプは一次遅れの上、C1,C2の作る時定数があって、解くと3次の系になり見通しが悪いのだ。
私の実力では、解析的に一部の定数を決め、後はシミュレーションで定数を追い込んでいくしかない。
正帰還の代償として、電圧増幅率は1、かつ信号源インピーダンスに依存して周波数特性が変化する。高入力特性は正帰還の結果得られたものだからやむをえない。
それでも低周波でギガΩレベルの交流増幅が出来ることはとてもありがたいことなのだ。
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