加速試験
電子部品では特定の環境を悪くして、多くは温度を上げて加速試験を行ってその信頼度を推定する。
しかし、加速試験は基本的に外挿であるから、以前に知られていなかった現象が生じるとたちまち大きな誤りを犯す。
電解コンデンサの電解液が各社一斉に変更された時期がかって存在した。結果は実使用条件では短寿命やその他の問題が発生し、その種の電解液は今は使われていない。
実使用において、細かな不具合の芽を発見し、それを一つ一つ丹念に対策していくことが信頼性を向上させる。
最近、原発のストレステストなるものがシミュレーションベースで行うとの報道がある。もちろんやらないよりは良いことであるが、前提と結果は公表して頂かないと何の意味もないだろう。
アナログエンジニアはシミュレーション/数値解析の限界を身にしみて感じている。
10数年前、高速炉もんじゅで生じた火災事故は、熱電対の鞘管の断面形状の不連続部による応力集中とカルマン渦による加振および共振による疲労破断であったと記憶している。そして漏れた金属Naによる「想定外」の波及により被害が拡大した。
単純なモデルによるシミュレーションで生じうることは現実世界でも生じる。しかし、種々の複合要因、経年変化を考慮した解析、人的ミスを考慮した弱点までは追求できないのではないか。
ストレステストは必要条件であって十分条件ではないだろう。
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