新人にアナログ回路を教える
新入社員や学生に回路を教えるとき、いつも気をつけていることがある。
高校物理・高校数学は前提としたいが、その前提が往々にして成立しなことがある。
V=RI オームの法則だが、まず電圧の向きと流れの向きを逆方向にとった時、抵抗の両端子の電圧VとIの関係が常に正である係数Rで結ばれている点が重要である。
Vが負の値をとれば、Iも負の値をとる。
上式は抵抗が常にエネルギーの消費者であることも意識する必要がある。
その次に来るのが、キルヒホッフの法則だ。オームの法則をきちんと理解していなければ、立式過程で、電圧の向きと電流の向きを同一方向にとらざるを得ない場合がある。この時にはオームの法則はV=-RIとなる。
定数を与えて回路を解く方が、結果を与えて定数を求める問題の方が難度が高い。
電子回路の動きは計器を介してしか把握できない。計器の扱い方、原理もきちんと教えておく必要がある。
通常のデジタルテスターでオートレンジ機能が付いていると、レンジで小数点位置が変わっても見落とし、グラフが不連続となるケースも少なからずある。
簡単な回路の設計問題、これは教える側の周到な準備がいる。そして、時間も膨大にかかる。卒研並みの時間がかかる。
大変なのは、トラブルシューティングだ。どこまでヒントをあげて解決させるかが教える側の技量だ。
パソコン時代の今、その場でデータ処理を行わず、後でエクセルでグラフ化という手順が普通だ。しかし、本当はデーターを取りながらデータのチェック&グラフ化をすることが望ましい。これは、ワンチャンンスを物にする眼力を養うのに有効だ。
アナログエンジニアは常に次のデータの数値を概算しながら実験を行うのが習慣だ。
『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】
「電子回路基礎」カテゴリの記事
- アナログ電子回路の基礎と入門(2012.03.17)
- 電池と電圧源(2012.02.19)
- オペアンプのバイアス電流(2012.02.07)
- オペアンプの仮想短絡(2012.02.06)
- 電子回路の虚数単位(2012.02.04)
コメント
この記事へのコメントは終了しました。
ノートパソコンは便利。あらかじめ予測値を入れておいて、差異をみることをやってみた。実験中、予測値よりだいぶずれた。原因を探ると、予測よりインダクタンスがでかかったことが判明。差異はあるが、原因はわかっているので、そのまま続行。昔は手書きでグラフを作成していたが、いまやエクセルで書けるのでだいぶ楽になった。
投稿: 非国民 | 2011年8月29日 (月) 21時22分
確かにノートパソコンを実験室に持ちこむと便利です。しかし、その反面、概算能力が低下するような気がします。ワープロばかりで文章を書いていると、多くの漢字が書けなくなる。頭の構造がリードオンリーになってしまう。暗算能力はエンジニアにとって必須の能力だが、昔は計算尺で鍛えることが出来た。
投稿: 5513 | 2011年8月31日 (水) 10時24分