フロントエンドアンプ
センサなどが関連する回路では、もっともセンサ側のアンプ構成が総合特性に影響する。
このようなフロントエンドアンプは高入力抵抗・高利得での設計例が多く、正相増幅器(非反転増幅)形式が主に使われる。センサからの電気信号は微弱かつ信号源抵抗が変動する場合が多いので、バイアス電流のみが信号増幅に必要になる正相増幅器が使いやすいのである。
使用するOPアンプの選択に際しては、信号電圧レベルに応じてオフセットドリフトの小さい品種が選ばれる。現在の一般的な入力換算オフセットドリフトは、バイポーラトランジスタタイプの品種から0.1μV/℃typ.のものが入手できる。さらに、低ドリフトのものはチョッパ安定化OPアンプ方式が存在するが一般的ではない。
信号源抵抗が高い場合にはバイアス電流に着目して選択する。ノイズレベルおよびバイアス電流値は常温で1pA前後のものまで容易に手に入る。おもに接合型FET入力のOPアンプが使われ、ノイズを気にしなければCMOS OPアンプも選択肢となりえる。
一般的には初段でなるべく高電圧レベルまで増幅するが、周波数帯域を広げる目的で多段増幅をおこなう場合がある。
電流性信号を扱う際には、信号を-入力端子に直接接続し、出力と-入力端子間に高抵抗を接続した反転電流アンプが使われる。多くのセンサではケーブル容量や寄生容量がOPアンプの入力間に入るので、安定性確保のためRCを挿入して応答性を制御する。
特殊な例としては、ブートストラッピング(正帰還)を使用した利得1の交流専用アンプが使われる。
いずれにしてもフロントエンドアンプはセンサエレクトロニクスでは重要な回路部分である。
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