高同相電圧加減算器
例えば200Vの同相電圧の中で、1Vを直接検出する手段が回路的に存在する。
回路構成は、加減算器の負入力端子とGND間に1本の抵抗を挿入した形である。基本的には、それぞれの入力電圧を分圧して、OPアンプのダイナミックレンジ内に入るようにし、その電圧を再び増幅して総合利得を1にする。
正入力側の分圧比を20:1とすれば、200Vを扱ってもOPアンプの入力は10V以内で済む。
負入力端子とGND間に挿入した抵抗は中途半端な値となるうえに、素子感度が高くなるので、抵抗群の必要精度は高くOPアンプの直流性能も厳しく要求される。したがって、個別部品で組むには若干厳しい設計となるが、IC化されたものも入手可能である。
しかし、変圧器などを使わず直接的にハイサイドの電圧をGND基準の電圧に変換できるので、精密なハイサイド電流検出には便利な回路である。
アナログエンジニアはこの回路形式を一度だけ使用した経験がある。D級ハイパワーアンプの制御のため、ハイサイド電流をGND基準の電圧に変換する目的で使用した。
たった1本の抵抗と回路定数の選択の違いで、新たな使用法が生まれるのも、演算増幅器設計の醍醐味である。
なお、高速の信号が入力されるとOPアンプの仮想接地が成立しない瞬間が存在するが、寄生容量の少ない抵抗を使用しているなら、OPアンプ入力には過電圧が印加される可能性はほとんどない。
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コメント
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非国民には難しくて理解不能。高いCMRRはたしか絶縁アンプ方式があったな~というくらいなもんだ。アナログ回路は奥が深い。しかし、アナログ回路屋さんはほとんどいなくなった。古き良き時代、風と共に去りぬだね。
投稿: 非国民 | 2011年9月17日 (土) 00時05分
最近では、アナログ回路屋さんはICメーカー中に囲い込まれているようだ。一般のアナログ屋は半導体メーカーのだす、回路事例集を参考に回路を組めるようになっている。
投稿: 5513 | 2011年9月19日 (月) 07時07分