交流の実効値とピーク値
通常の交流の電圧波形は、ほぼ正弦波であるが、ときには波形が正弦波でないことがある。
実効値制御の無停電装置(CVCF/UPS)を電源とする機器で実効値制御を行っている電源系でほぼ三角波が出力されていた事例がある。
精密アナログ機器はコンデンサインプット形整流システムを使っている場合が多いので、ピーク検波に近い。
実効値制御のUPSで波形が三角波が出力されていると、アナログ機器では通常のAC100V±10%入力の設計値をかなり上回る電圧が内部的には発生することになる。これでは、アナログ機器は過負荷に晒され続けることになる。
UPSを多数使っているサイトで、特定の系統に接続されたアナログ電子回路で短寿命不良が発生した経験がある。その1系統が実効値は100Vだが波形は三角波に近かった。
過電圧&熱的裕度はそこまでないので、数か月で故障に至った訳である。
アナログエンジニアはこの類のトラブルを一度だけ経験しているが、珍しい事例であるが忘れることはない。
供給される電源の状態を正確に把握するには、波形まで確認しなければ十分とは言えない。瞬停もあり得る。
電源事情の悪い場所の例としては、発電所や鉄鋼プラントなどが有名である。
-30%の電圧降下などざらにある。これが数サイクルから数10サイクル継続する場合もあるのだ。
元電源は電子回路の要である。
電子回路は安定な電源によって動作し、その信頼性を確保しているのだ。
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コメント
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鉄道会社の波形もかなりひどい。自分のところで発電しているから、そりゃ品質が悪くても文句をいうのは社内の人間だからね。三角波どころか矩形波なんてのもあるらしい。無停電電源の出力にフィルタとかがないのかもしれない。
ある船の運航会社が製品を送り返してきたことがある。動作がおかしいとのこと。そこで新品を送ったら、また送り返してきた。それで調査したところ、船の末端に装置が取り付けられていて、その間に大電力を消費する機械があり、電圧が全然足りない。大型船なので、電源線の配線距離が長かったのと、電圧を確認していなかったのが原因だ。
その点、電力会社はさすがだね。特に日本の電力会社の電気の品質は良い。特に100V系は電気事業法施工規則で101Vで上下6Vを超えないという規制がある。こんなに厳しい規制は外国ではたぶん無理だろう。
投稿: 非国民 | 2011年9月 9日 (金) 07時17分