トランジスタの保護
バイポーラトランジスタは3端子素子である。したがって、過電流が流れるためにはベース、エミッタ、コレクタのいずれか2つの端子間を流れるしかない。
アナログエンジニアは、ほとんどの場合EMCの被害者の立場の回路設計を行う。
このとき、B、E、C端子のいずれか2つの端子に動作に支障のない限り、コスト制約が厳しくない場合、抵抗を挿入するのが、自己流のやり方である。
3端子のうち、2端子に抵抗が挿入されていると、瞬間的には外来サージにトランジスタの定格よりもかなり大きな電力、電流に耐えることが出来る。
この方法で、市場での原因不明の素子損傷が明らかに減少した事例も経験している。
屋外設置機器では、誘導雷を始めとする種々の外来サージを受ける可能性がある。この短い時間に耐えれば、フィールドでの故障率が下がる可能性が高い。
若い頃、必要があって種々の素子の破壊限界と時間の関係を系統的に調べた経験がある。基本的には、フューズなどと同様に、多くの素子での短時間破壊限界は、ジュール積分:電流の2乗×時間が一定のラインで破損する。しかも、半導体では中間破壊はめったに生じない。破損モードは半導体素子なら短絡モードである。開放故障に至るには、内部の接続部が溶断するだけの電力が必要と認識している。
ふつう、バイポーラトランジスタでは3端子のうち、1端子に抵抗が入る。アナログエンジニアはできる限り、もう1端子に抵抗を挿入するのだが、これをやると、継続的な過電流制限の手段が取れることも多いのだ。
たかが抵抗1本、されど抵抗は電流を制限してくれる。
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