ブートストラップ回路
図はAC超高入力抵抗を実現する回路例で、ブートストラップ回路と呼ばれている。(と思う)
J-FETトップの汎用オペアンプを用いても、数GΩの入力抵抗のバッファアンプを構成できる。
原理は簡単で、電圧フォロワ回路A1で利得1未満で1に極めて近い電圧をC2を経由して、バイアス電流を流すための抵抗R1にかかる電圧をほぼ0にするのだ。バイアス電流を流す直流経路は、R1とR2である。
コンデンサが嫌な部分に2個、オペアンプの周波数特性は一次遅れ回路だから、解析的に解こうとすると3次以上の複素数の関数になり、見通しが悪い。
図の定数は最適化していないので、低域側にピーキングが出るバンドパスフィルタになっている。
超高入力抵抗は正帰還により実現されているので、どこまで系の帰還利得が高いかで帯域が決まる。Rzは解析のための信号源抵抗である。
設計式が見通しの良い形で得られず、モデルが明白なので回路シミュレーションによる最適化を行うことが好都合である。
種々の定数で試してみたが、この回路は数GΩの入力抵抗をもち、帯域は信号源抵抗に依存する。
こんな回路の用途はAC変調されたセンサのハイインピーダンス・微小信号の増幅などであろう。
アナログエンジニアは工業計器の分野で、一度だけ実用品の類似回路をみた記憶がある。
自宅で実験したことがあるが、出力しか観測できないので信号源抵抗10MΩまでしか、誘導ノイズのため測定できなかったが、シミュレーションの妥当性を検証することはできた。
この回路の性能を発揮させるには、厳重なノイズ対策が必要だろう。
オペアンプ回路で正帰還リニア増幅はあまりやらないが、電圧フォロワが利得1未満で、利得が1に極めて近いことを実感させる回路である。
『人気Blogランキング』の「自然科学」部門に参加しています。今日も貴重な応援の1票をよろしくお願いします。【押す】
« 単機能電子レンジ | トップページ | 放射性廃棄物処理 »
「電子回路」カテゴリの記事
- 電流増幅器(2012.04.18)
- 高電圧回路(2012.04.10)
- 金属箔抵抗(2012.04.07)
- SW電源(2012.04.06)
- アナログ回路の信頼性(2012.04.05)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント