正確な波形図
アナログ電子回路では、説明を判りやすくするには波形図が不可欠である。波形図を目的に沿う形で正確に表現することは案外難しい。
アナログエンジニアの本では、原理説明の場合には寄生素子を少なくしたモデルを使って元図をSPICEで作成する。その波形を加工して作図している。
寄生素子の影響を示す場合には、過去に自分が見た特徴点が明瞭になるような定数、寄生素子を入れて、若干強調した波形図を同様に作図する。
場合によっては、回路を実際に作成しオシロスコープ画面を写真として示すこともある。
正確な波形図はそれなりの環境をもち、手間をかけなければ作成できないものである。
波形図が不正確な本は、正確に図が書ける環境がなく、努力もしていないことをうかがわせる。自分が著者になった現在、不正確な図がもつ意味をしみじみ感じている。
きちんとそれなりの計算をしなければ、その図はどこかで矛盾をもつ。定量的検討に耐えないのだ。
私はまず回路図を作成し、意図する波形図や入出力関係図を計算で生成している。そして、本の原稿とは別に、詳細な解析条件を別ファイルで残すのが常である。無断流用すれば、細部の波形などから、どの図を流用したかはすぐわかる。これも著作権管理の一環である。
逆に、類似の図を参考に見たときには、できるだけ、その図と違う条件で作図するように心がけている。他人の著作権を侵害しないためである。
回路本の良否はまず図表や波形図の正確性・見やすさがポイントであろう。文章はそのあとについて来る。
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