簡易容量測定
CR発振器で発振条件が判明している場合、コンデンサの不明の容量値Cを発振条件と発振周波数から容量値を実測できます。
アナログエンジニアが最近良く使う手段はCMOSシュミットトリガインバータの74HC14を使った弛緩発振器による容量測定です。
回路は極めて簡単で、既知の抵抗Rを入力と出力の間に接続し、未知のコンデンサをゲートの入力とGNDの間に接続するだけです。これだけで、弛緩発振器が作れます。
弛緩発振は「弛張」発振と称する場合もありますが、英文ではリラクゼーションオシレータなので、私は弛緩発振器と呼ぶことにしています。
まず、性能は100μF~30pF程度までの容量測定ができ、コンデンサに掛ける電圧は片極性なので有極性コンデンサも測定できます。
測定機材はアナログオシロスコープ、必要に応じてストップウォッチも併用します。
この回路は、ヒステリシス幅の擬似三角波と方形波を出力します。
出力振幅はCMOSなので、レールツウレールの方形波が得られますが、念のため実条件で方形波のHとLの振幅VHとVLを測定します。
三角波からは、シュミットトリガの閾値VTH、VTLが判明します。
後は、発振周期Tを測定するだけです。
VTH、VTL、VH、VLおよびTが判明すれば、簡単な一次遅れ回路の充電放電時間の計算から発振時定数が判るので、Rが既知ならCが判明します。
この方法のポイントは、シュミットトリガの出力抵抗より十分高い抵抗値を使用することと、アナログオシロの入力容量を低減するため1:10プローブで測定します。
こんな簡単な手段でも意外に正確な測定が出来る、なにも高価なインピーダンス計を使わなくとも実用になるのです。アナログエンジニア流かな。
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コメント
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アナログエンジニアさん、こんばんは。
周波数は精度がでる分野ですね。確度はともかく、何桁も簡単に表示がでるのは周波数、すなわち時間です。なにか精度がほしいときは時間関数すなわち周波数にして計測できないかを考えます。
投稿: 非国民 | 2011年11月 9日 (水) 21時38分
非国民さん おはようございます。
時間計測はタイミングトリガ部分が重要ですね。場合によっては超音波流量計のように受信波形の周波数よりはるかに高精度での時間計測のトリガが必要になります。
投稿: 5513 | 2011年11月10日 (木) 05時50分