原子力発電のコスト
東電福島第一原発の事故以来、原子力発電のコスト算定が始まっている。
しかし、まだまだその前提は甘いと感じている。詳細な前提は判らない部分があるが、公表されている部分だけでも、原発の発電コストを低く算定している部分が明らかにある。
また、算定できない部分の見積もりもいい加減な部分がある。
原発の事故確率は東電福島第一原発3基/(稼働台数*稼働年数)とするべきだろう。
廃炉費用は、放射性物質のがれき処理費用、保管費用、そして最終処分(まだ確立されていない)を算入すべきだろう。
原発立地のための各種交付金や津波対策、安全強化などの費用も莫大な金額になる。
そして、各種独立法人が行っている研究・開発・人件費や安全審査のための費用も算入すべきだろう。
東電福島第一原発の事故では、チェルノブイリ事故のように、除染しても広大な土地が普通には使えなくなり、少なくとも若者・子供たちは住んででおれなくなるだろう。(国はまだ認めていない。)これらの土地は狭い日本の貴重な土地である。それら失われた価値は算入されているのどうか疑問だ。
原発がある限り、高濃度放射線廃棄物は数10万年安定な土地に、深い穴を掘り安全に収容しなければならないが、火山国日本ではそのような安定な土地はないだろうし、受け入れ先もないだろう。高濃度放射性棄物の永久保管を実際にやった国は場所は、私は1か所しか知らない。数億年以上安定な土地の地中深くにだ。
現時点では高濃度放射性物質のガラス固化体での安定化の設備が稼働し始まったばかりであろう。
再処理で発生するプルトニウムの処理はどうする?
もっとも問題なのは、安全を審査しその前提をチェックする機関・組織が機能しなかったことだ。今回の原発事故では保安院は事故原発に立ち入ることなく、東電発表を別な表現で公表していただけと感じている。
組織の意識改革には世代交代するほどの時間がかかる。失われた地域住民の原発への不信感も何10年と残るだろう。日本ではその対策費用も算入すべきだろう。
アナログエンジニアは反原発論者ではない。しかし、あまりにもずさんで機能していなかった原発関連組織を信頼し続けることは今はあり得ない。
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