昔はよかった
現在の個別半導体のデータシートは電子化されていて、紙ベース時代のように簡単にはデーターブックの最初にある解説や注意事項、測定条件などの重要で勉強になる情報に触れることが難しくなった。
アナログエンジニアは紙ベースの各社のデータブックで、データーシートの読み方を学習した。
これが、プロとしての基本的知識の一つになっている。その意味で、昔は良かったと思っている。今も、20年前のいくつかの捨てられる運命だった紙ベースのデータブックを大切に保管している。
半導体のデータシートを読みこなすためには、どうしても紙ベースのデーターブックに記載されている、それもかなりの分量の用語解説、注意事項、測定条件、信頼性試験情報などが含まれてる内容が必要になる。
最近、個別半導体のデータシートが読めない回路エンジニアが増えている。これも電子化の弊害の一つかもしれない。
回路テクニックはもちろん必要だが、データシートの定義の意味を学べなければ、データシートを読みこなせる訳はない。
特に最近のICのデータシートには、例えばオペアンンプの内部等価回路図の記載が少なくなっている。これでは、半導体メーカーの指定する使い方以外の使い方は不可能である。次第にICがブラックボックス化してきている。
今の私にとっては、形式記号さえ分かれば簡単にインターネットでデータシートを入手できるよい時代なのだが、若い人にとっては、内容を理解するにはデータシートのはるか前にある、用語の読み方へのアクセスはハードルが高いと思う。
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コメント
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はじめまして。
細々とアマチュア無線をやっている者です。
まったくおっしゃるとおりだと思います。
最近のデバイスのデータシートはインターネットで容易に入手できるのは便利だと思っていました。小生はアマチュアですので古いデバイスを使うこともあり、何冊か古いデータブックを入手しましたが、その一番最初の部分に書かれている色々な注意書きのようなところに、非常に大切なことが書かれているのをひしひしと実感しております。この部分を読むことができない現代は、その点に関しては悪い時代になったものだと思います。
投稿: JR2WZQ | 2012年1月 7日 (土) 14時44分
JRW2Qさん おはようございます。
ひょっとして、HNはコールサインの一部かな。
古いデータブックの最初の部分を読むことは最近できなかった。私だけではないのですね。
アマ無線をなさっている方には、総てのリスクを背負いながら自作する人もいます。そのような方でもインターネットでは、古いデータブックには普通にあるデーターシートの読み方の解説が見えない時代になったのだと思います。
お互い古いデータブックは大切に保存しましょう。
投稿: 5513 | 2012年1月 8日 (日) 06時55分