スイッチング&インバータ
スイッチング回路は、オン状態では低い電圧で大きい電流を流し、オフ状態では高い電圧と低い電流値を期待する回路である。
バイポーラトランジスタでは、必然的にエミッタ接地回路形式となる。ベース接地回路は制御電圧より高い電圧を扱えるが、電流増幅率は1、コレクタ接地回路(エミッタフォロワ)は、電流増幅率は大きいが、電圧増幅率は1弱。
したがって、制御電圧より大きい電圧が扱えて、電流増幅率が大きい回路形式:エミッタ接地増幅回路であり、必然的に反転増幅器:インバータになる。うまく使えば、増幅器として機能するが、スイッチング用途では、リニア動作時間をできるだけ少なくし、オン、オフの状態を素早く切り替える。
多くの場合、負荷は相対的に大きな電力を消費するので、制御電圧がアクティブのときオン状態になり、制御電圧または電流がないときにはオフを保つノーマリ・オフのデバイスでないと、主電源より先に制御電源が入り、主電源オフ後まで制御電源を維持することが必要である。ノーマリ・オンのデバイスを使って電力制御を行うことは、安全性工学的に難しいし、その必然性はない。
静電誘導型トランジスタは、ノーマリ・オンの素子しか作れなかったので、今は存在しないと言ってよいだろう。
サイリスタなどは、制御電圧でトリガを掛けると、ターンオフを自力ではできない保持作用があるので、主回路側でオフさせなければならない。
原子炉は、制御棒がなければノーマリ・オンのシステムである。一度オンになれば、オフした後も電力に数か月にわたり、熱除去が出来なければ制御できない。ノーマリ・オンのパワーシステムには本質安全(intrinsic safty)性はない。
しかし、小電力回路や、システムの起動装置ではノーマリ・オンの素子も重要な役割を果たす。J-FETはその典型例である。
MOS-FETは、現在の技術で、ノーマリ・オンの素子も、ノーマリ・オフの素子も作れるはずである。事実、0V付近の制御電圧で動作し始めるリニア増幅用パワーMOS-FETもずっと前から存在した。
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