SPICEのマクロモデル
回路シミュレータSPICEのマクロモデルは細心の注意を払ってアナログエンジニアは使っている。マクロモデルは集積回路の一部の機能を、トランジスタや数式を組み合わせたものだから、通常の使い方以外の要素が表現されていない場合が多い。
例えば、オペアンプのマクロモデル:
オフセット電圧やオフセット電流は大抵、典型値typ.で表現されている。したがって、複数個の同種オペアンプを使った回路では、誤差が相殺される場合もある。
電源除去比PSRRはまずマクロモデルでは表現されていない。したがって、電源から入ってくるノイズの評価には使えない。
出力電圧範囲も、(電源電圧)引く(一定値)で計算されている場合が多く、しかも、正側と負側の出力電圧範囲が同じ(実際には、内部回路の関係で異なる)。
この場合は、オペアンプを飽和させて使うヒステリシスコンパレータの2つの閾値の計算結果が少し現実と異なってくる。
温度特性は当然、考慮されない。内部のノイズはまず表現されていなし。
汎用オペアンプの出力制限電流の値も結構現実に合わないこともある。
個別部品で組むアナログ回路では、常には自分の欲する素子のSPICEパラメータは手に入るとは限らない。むしろ、手に入らないと考えるべきだろう。
必要に応じて、試験回路を組み、そのシミュレーション結果とデーターシートとを照合する程度の事が出来ないと、個別部品で組む回路の信ぴょう性に不確実さがつきまとう。
試験回路をシミュレータ上で組みテストする技術は、回路設計技術そのものである。
とくに素子の2次的特性がどのような形で観測されるのかの知識が必要になる。回路設計の良否は、半導体デバイスの2次的特性の把握の程度でほぼ決定される。
理想で無いデバイスを扱うことは、実用回路シミュレーションの第一歩である。
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