計測無くして科学は無い
この言葉は眞島正市先生の本の冒頭に書かれている言葉である。科学者ならこの言葉の意味をかみしめて、肝に銘じて行動、あるいは研究・開発をするべきだとアナログエンジニアは考えている。
序文の3行だけを、引用させていただく。出典(1950)「計測法概論」、眞嶋、磯部著
「計測無くして科学は無い」と言われている。計測が科学特に工学上如何に重要であるかは上の一句に盡きていると思う.計測は内容的には計測方法,使用機器,結果の整理を含む.
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私の工学技術の原点はこの言葉に尽きる。そして、恩師、磯部孝先生の講義をむさぼるように聞きいった。44年まえの事である。当時は出来の悪い学生であったが、この言葉通りに技術者としての道を、その後、私は歩んできた。
現在の研究者・科学者には、この視点が欠落している人も少なからず存在する。アナログエンジニアは、その様な方の発信する情報やデータを信用することは無い。
一例を挙げよう。ホットな話題である放射線計測。
ガイガーカウンター:放射線によるフォトンによる気体の電離パルスを測るもっとも簡単な計器。
フォトダイオード:特殊な構造をもつSiのpn接合を利用して、簡易的に被曝線量シーベルト/hを測ることのできる計器。接合の深さなどに依存して、吸収線量換算の指示が変わると私は認識している。いまや、大型の工具類を扱うお店で1万円以下で売っている。
NaIプラスティックシンチレータと光電子増倍管(フォトマル)を組み合わせて吸収線量を測定する。
Geセンサ:より高精度に吸収線量を測ることができると言われている。他にも測定方法は有るかも知れない。
科学者なら、測定機材を明示して議論あるいはデータを示すべきであろう。
当然、マスコミで測定法に由来する誤差以上の有効数字で報道されている。
冒頭の言葉をかみしめて、計測器が何を測っているか、どのような原理で動作し、その特徴は何か?と理解し、データを解釈しなければならない。
そして、計測の基本を学徒に教授すべきであるが、その感性をもつ教育者、教授者はあまりにも少ない。
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