私の信頼性工学
「私の」と形容詞をつけたのは、信頼性工学の意味が人によりかなり異なるためである。
そして、一部の「専門家」が称する信頼性、安全性とは異なる視点をアナログエンジニアは持っているからである。
信頼性工学は極めて学際的な技術領域である。統計学の数理、故障物理、電気化学、寿命診断、応力、疲労破壊、電気接点の導電機構、材料物性、熱応力そして、その解析技術であるフラクトグラフィーや、電子顕微鏡によるミクロ領域の定性/定量分析、応力腐食割れ、電気化学的な分析、テストピースの作成技術、応力集中、共振、加震力、固体中での部分放電、雷撃など。
アナログエンジニアは、これらの機器の多くを操作でき、かつ、現状を保存して、専門家に相手の言葉で状況を説明できる程度には学際的知識はある。専門家が何が出来て、何が出来ないか。機器分析技術のいくつかも見ている。
そして、過去40年以上にわたり、自分の製品の行く末をフォローしてきた。過酷な環境で数Fit単位での自分の設計したものの信頼性を肌で感じ定量化に努めた。成書では得られない実物の故障モードを体験してきた。
自宅内でも同じである。回路エンジニアとして、45年過ごした。そして、電解コンデンサの破損のさまざまなモードによる損傷の結果を見てきた。
一度だけ、電解コンデンサが火を噴く瞬間を見たことがある。保証期間は過ぎていたが、現状を保存し、相手メーカーに淡々と電話連絡。相手は、こちらの音声を記録している筈。それを承知、利用して、責任者を出させ、修理させた。某D社のPCである。自分のPCは直ったが、その後、リコールされたとの情報には接していない。
繰り返して言う。信頼性を上げるには、学際的な技術が必要で、実物でのたゆまない情報収集が必須である。そして、製品化前の温度依存性、熱歪加える温度試験、耐蝕性などなどの確認試験が必要である。場合によっては、未知の破壊モードを知るためのステップストレステストを実機で行う。計算機上でのストレステストなどは複合要因を含む複雑な連成系では現在は正確な計算にはなりえない。蟻の一穴から堤防は崩れ得る!
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今日から私の回路の著作、[アナログエンジニア」によるアナログ電子回路の基礎と入門 これ1冊 Introduction to Basic Design and Analog Circui by the Analog Engineer が書店に並び始める予定だ。
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