微小電流増幅器
図は電流増幅器の基本形。反転増幅器の入力側の抵抗のない形と同じ。
入出力関係式は Vo=R1*I である。
図の矢印を辿れば負帰還が掛ることはすぐ判る。
この回路、点aが仮想短絡になるので、電流源Iの短絡電流を測定していることになる。
アナログエンジニアが経験した最小の電流は実験室レベルでは10fA(10^-15A)、帯域は極めて絞った。もちろん、それなりのオペアンプと実装は必要だ。
信号源の電流源は、例えば、フォトセンサだとかなりの寄生容量を伴うので、短絡電流を測定しなければ、極端に周波数特性が低下するとともに、ステップ応答が次第に振動的になる。
高速オペアンプを使えば、ビデオ帯域をもつ微小電流を、低インピーダンス、高電圧レベルまで一気に増幅することが出来る。
このような電流増幅器は、案外計測、特に理化学機器のフロントエンドに多く使われている。しかし、この回路形式を紹介している本は多くない。
図は自著の原稿の一部である。
本は、
http://pub.nikkan.co.jp/books/detail/00001210
で、各章末ごとに猫のイラストがある。
オペアンプの本は多数あるが、この本は、アナログエンジニアが、オペアンプ回路の基本から、設計までを伝えるため、敢えて激戦分野であるオペアンプの本に挑戦して著作したものである。
私の年齢になると、伝えるべきことは世に公開することも、その役割だろう。
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コメント
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アナログエンジアさん、お早うございます。
「私の年齢になると、伝えるべきことは世に公開することも、その役割だろう。」この言葉、良く理解できます。誰か有名な登山家が言ってました。「知った以上は、それを背負わなくはいけない」と。その通りだと思います。私も、アナログエンジニアさんに近い年齢です。若い人たちに、出きるだけアナログセンスを伝えることが出来ればなと思っています。
因みに、電流増幅器、弊社ではイオンチャンバのプリアンプとして使っています。確かに例示の少ない回路ですね。アナログエンジニアさんの本、一度、拝見してみます。
投稿: uA709 | 2012年3月 8日 (木) 08時39分
UA709さん おはようございます。
知ることは、その予測される未来を背負うことを意味すると思います。
電流増幅器:電離真空計かイオン加速の電流測定用途かな。
今日のブログに書きましたが、アナログの神髄は、自然界とコンピュータのインタフェースにあると思います。
投稿: 5513 | 2012年3月 9日 (金) 06時40分