オシロスコープ
アナログエンジニアが自宅に保有しているオシロスコープは25MHz帯域のアナログオシロスコープである。この仕様のオシロで十分なのだ。
帯域が広すぎると急激に高価になる。ノイズも多くなる。K社の最後の製品でもある。多分、今は国産品ではアナログオシロスコープは手に入らないだろう。
プリント基板上で簡単に集中定数として扱える周波数の限界はほぼ20MHz、センサ絡みの回路を扱う際には、なるべく静かに(ノイズのすくない)測定をしたい。時には、オフセット調整を最大限かけて、DCから目的とする周波数まで波形を測定することもある。
記録はコンパクトデジカメで撮影して残すこともある。
一方、デジタルオシロの振幅軸は基本的に256分解能であり、時間軸は高速サンプリングせざるを得ないので、その入力段のプリアンプと高速AD変換器の部分がキー回路となるが、高価すぎるので余計な機能を付加して値段を稼ぐ。その結果、さらに高価になる。プリアンプと高速AD の部分は著名なメーカーだと自作している。
アナログオシロの使い方は共通性が高いが、デジタルオシロはそうではない。±1bitの変動が常にあるので、ノイズの存在を見逃すこともある。もちろん、大きなオフセットを掛けて信号を見ることもできない。
センサ信号を観測することはその信号処理を念頭に置いて計測しなければならないが、励起回路や信号のプリアンプを自作して、はじめて測定できる場合も少なくない。
デジタルオシロの普及は、逆の見方をすれば、センサ技術の衰退大げさに言えば工業技術の基本力の低下の表れと見ることができるだろう。
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コメント
この記事へのコメントは終了しました。
アナログエンジニアさん、お早うございます。
我が家の机の上にも、T社のオシロスコープがあります。もちろん、アナログです。アナログとデジタル、これは、対極に位置するというより、別物ですね。楽器でいうと、普通のピアノと電子ピアノ。これは、全く別物として扱わないと、お互いの良さが生きませんね。それでも、「デジタルオシロの普及は、逆の見方をすれば、センサ技術の衰退大げさに言えば工業技術の基本力の低下の表れと見ることができるだろう。」には、頷くところがあります。
投稿: uA709 | 2012年4月22日 (日) 08時44分
uA709さん こんにちは
日本から工業力を取ったら、今日のエントリーにあるようになにもできません。今の日本の状態はギリシアよりひどい状態だと思います。隣国の韓国より早く身動きできないときが来るような気がします。その必然は揃って来ています。
投稿: 5513 | 2012年4月22日 (日) 10時54分
私もアナログオシロが好きですね。 わずかな発振などアナログオシロの方が発見しやすいと思っています。
なんだか波形の線が太いなぁ・・・ というのはデジタルオシロの画面からは感じ取れません。
でも、会社にはデジタルしか置いていないのが現状です。 一介の会社員には選択権がないのです。
投稿: たかじん | 2012年6月21日 (木) 10時17分