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著作

  • 共著:「次世代センサハンドブック」培風館(2008)、「マイクロセンサ工学」技術評論社(2009.8)
  • 連絡先
    私への講演、セミナー、技術指導などのご依頼はこちらまで↓ okayamaproあっとまーくyahoo.co.jp  あっとまーくは半角の@にしてください
  • 単独著
    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

専門とする事項

  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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2009年7月 6日 (月)

回路屋の育ち方9

_2856_2 ←庭に咲いた雌しべの長い花。密集した花が咲く。様々な品種の物を植えたが、数年たつとその植物に適した環境のところに植えた植物だけが生き延びて、残りは自然に消えていく。

アナログエンジニアが最初に取得した大きな資格は「技術士」。当時は科学技術庁所管。あまり知名度はないが、エンジニアとしてのトップの資格である。

元上司の勧めで、準備に入ったのは申込3週間前。申込書が届いたのは、2週間前。過去の技術経歴を記載する欄がある。手元に残っていたメモや永久貸与の報告書類から、苦労して過去の履歴を復元した。H2年3月末のことである。

当時の試験方法は、1日で約13000字を手書きする字数制限付き論述問題群である。試しに過去問をいくつかやってみると、5分で問題に対応する文の起承転結を考え、20分、アウトラインイメージに沿ってひたすら書き、5分で「てにをは」や「接続詞」の修正をスr時間しかない。書き直しの時間はない。これが一日続く。

4月から準備に入った。会社での生活をまず変えた。出張報告や、技術報告などは、下書きなし、書きなおしなしでA4 1ページか2ページに起承転結を付けて1発で書く。誤字脱字の修正以外はやらない。高速手書きの練習である。このスピードで文章を作成すると自分の思考過程、論理能力、技術力などそのまま出る。

次に行ったのは、過去問の傾向調査。約2/3が過去3年間の類似問題であった。たぶん出題委員が3年任期で、毎年入れ替わっているからであろう。

いちばん困った問題は、自分の専門とする事項以外の関連分野について○○字以内でXXについて記載せよ、の問題である。技術分野レパートリが足らない。

日立評論や横河技評、東芝XXなど、アクセスできる企業の技術報告冊子をこれも過去3年分をメモを取りながら読んだ。

ごく最近の技術テーマに関する出題もある。工業新聞や経済紙を8月の筆記試験まで購読、気になる新技術について、そして、当時の最近の話題を手書きメモにまとめる自己訓練をした。

技術士なので、技術の光と影を把握するように心がけた。筆記試験を合格、12月の口頭試験は、筆記試験の自分の記述内容の概要をもとに描き切れていない部分の再調査程度しかできない。翌H3年、合格通知、即技術士登録。当時の科学技術庁長官は山東明子氏。

アナログエンジニアの人生の転機となった試験である。実に公平な試験である。字数を定めて長時間の記述、論述を行うことは、技術者としての能力がそのままでる。口述試験はコンサルティングの一場面に重なっている。

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2009年7月 1日 (水)

永久磁石界磁DCモータ

7004 ←私の知らない薄紫の花。許可を得て知人の庭で撮影。

永久磁石界磁型モータによるM-G(電動機-発電機)セットにおいて、双極性定電流電子負荷を発電機側に付けると様々なモータ特性を測定できる。

永久磁石型と断った理由は、特性が比較的単純な計算で予測できるからである。

小型のDCサーボモータ用の電子負荷なら、比較的容易に定電流負荷を電子回路的に実現できる。

電機子抵抗を無視すれば、DCモータは定電圧駆動すれば回転数一定、定電流駆動すればトルク一定の運転状態になる。実際には、電機子抵抗により、一定電圧駆動でも回転数一定にならない。起動時には、電機子抵抗で決まる電流が流れ、トルクは最大の状態になる。

M-Gセットを使用すれば、以下のような特性を測定できる。

電機子抵抗(Ω)、トルク-回転数特性(T-N曲線)、摩擦トルク、回転定数(rpm/V)、トルク定数(g・cm/A)、トルク対出力、効率、など。

実測結果とカタログ仕様は測定精度の範囲内でよく一致しているので、アナログエンジニアはメーカーも同様な手法で測定していると考えている。また、一部のカタログ仕様は、他の仕様項目群から計算できる項目も複数存在する。

模型用のモータは、摩擦トルクが大きく、最小起動電圧が相対的に大きい。

DCサーボモータは最大効率点よりも軽負荷で定常運転することが多い。また、負荷のロック時の保安措置を考慮しておく必要がある。

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昨日の午後、ブログサーバーの不調で「アナログエンジニア」にアクセスできない時間帯が数時間ありました。今後ともよろしくご訪問ください。

2009年6月30日 (火)

手製ミニ恒温槽

005 ←近所の家の庭に咲いた珍しい赤いユリの花。ご近所さんのところにも、珍しい花がたくさんある。{我が家のさち」達は、これはと思った花をお互いに交換し合っているようだ。もちろん、所有者の許可を得ています。

写真をダブルクリックすると拡大像が出ます。

手製で恒温槽を作ることができる。用途は半導体の温度試験用。模型店で買える材料と電子部品で製作できる。

ヒーター:パワーMOS FET、保護回路装備。到達温度 常温~100℃。

温度センサ:ダイオード 断熱材&構造材:軽量バルサ  

有効容量:30mmW、30mmH、80mmD 強制循環式、PI制御、 降温用ダンパ装備、上昇速度 80℃/5分。半導体の温度測定用。

難しかったのは、ファンの羽の製作。(出力1W程度の小型DCモーター使用)

各部の回路はすべてオリジナル設計。

ミニミニ恒温槽だけど、やっていることは本格的である。卒研としての特徴は、伝熱係数測定・熱容量なども実測しシステム同定を行った。そして、MatLabによるシミュレーションにも成功。

学生もアナログエンジニアも結構楽しんでミニミニ恒温槽を製作や、測定、シミュレーションを楽しんだ。10年ほど前のことである。実使用も行った。

アナログ電子回路としても、面白い回路となった。

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2009年6月27日 (土)

H-ⅡAロケットエンジン

1_2893 _2895 ←JAXA(宇宙航空研究開発機構)情報センターで撮影したH-ⅡAロケットLE-7Aの実物展示。撮影、ブログ掲載もOKでした。写真をクリックすると拡大像が出ます。

推力112トンのこのエンジンの展示は圧巻。地上燃焼試験に使用した実物の展示。(JSF081010T、JSF081020Tより)

美しい造形美であるとともに、意外にコンパクト。ただし、上部の燃料供給用ターボポンプは展示室の高さの制限により取り外しているとのことである。

独特の風合いを持った色調の材質が主体で、チタン合金の色合いに近いとアナログエンジニアは感じた。ノズル部は別材質?

こんな物の撮影がOKとは思わなかった。小学生のころ、糸川博士の講演を聞いた記憶がいま蘇る。当時、鉛筆の金属キャップとマッチ棒で作ったミニロケットを数m飛ばしたこともある。

iいただいた開発中のLNG推進系のパンフレット(JSF040910T)によると、エンジン失敗報道その後の開発状況とその利点にも触れられている。

日本は軍事ロケットとしては自前で開発しない。しかし、このロケットエンジンには明るい科学的夢と話題を日本の理系人間に提供する力があると私は考える。

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2009年6月26日 (金)

ペアガラス窓

_2845 ←生垣の下に咲いていた花。園芸品種ゼラニウムという名前だそうだ。コンパクトデジカメでの最大クローズアップ写真

念願のガラスサッシのペアガラス化工事が完了した。アナログエンジニア悲願の2重ガラス窓が,伝熱/放射冷却量の多いと考えられる部位に装着された。

装着の言葉を使ったのは,既存の1枚ガラス戸にアダプタを使用して,ペアガラス化できたからである。

「我家のさち」は2重ガラスの効果を信じていない。そこで,私の財布から勝手に工事を行った。

悲願と述べたのは,約30年前の新築時には,ペアガラスはとても高価で手の届く値段ではなかったので,諦めた家の装備であった。

推測では,雨戸の無い窓の冬場の冷え込み低減,防音効果そして,若干の防犯効果を期待している。隔離された2枚のガラス戸を1回で破壊できる工具はそう多くないはず。1分でも多く時間を稼げれば,役に立つ。しかも,断熱雨戸か格子のいずれかが存在している。

我家は,わざと高い塀は使っていない。しかも,センサライト他も使用している。準重要物は耐火金庫,最重要物は某所の高セキュリティの場所に存在する。アーチェリーの道具が組み立ててあれば,正当防衛権を行使できるかもしれない。

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2009年6月24日 (水)

NMR-CT/MRI

Nmr01 ←写真1:NMR-CTによる私の頭部の正中断,スピンエコー像

脳の構造,大脳,小脳,脳梁などがはっきり見える。

Nmr02 ←写真2:横断像,大脳の皺が明瞭に見える。

MRI(Magnetic Resonance Imaging)の名称はこの後出現した。理由はNMR-CT=核磁気共鳴コンピュータトモグラフィの「核」が連想させる悪いイメージを伴っていたためであると聞いている。

今回は,簡易シャーカステンを構成して撮影し,より鮮明な画像を掲載した。超伝導磁石を使用した初期の機械による像。現在では,種々の撮影シーケンスや補機類などの進歩により,梗塞や出血が生じやすい脳血管や腹部・心臓なども,より短時間で撮影できる。

なぜ,こんな写真をアナログエンジニアが持っているか?

それは,NMR-CTの複数の補機に関係し,転勤の際の記念に撮影して戴いたからである。この写真は記念品でもあり,十分な時間が経過しているので掲載は許されるであろう。

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2009年6月23日 (火)

戸車とタイル目地シール

_2918 ←破損した戸車。ホイールとは別材質のレールガイドが欠落している。反対側にも深いクラックが目視できた。

洗面所の引き戸が先日から不調だった。調べてみると戸車が破損。もう片方の戸車の磨耗も進行している。

この戸車を放置しておくと,レールの方も傷む。ネジ止めされていないので,規格寸法の戸車→大型店で同じ寸法のものを探す→交換(2種類あったので高い方を選択)→猫が引き戸を開ける→猫が風呂場のシリコンシーラントを破る。

この連想で,応急措置だった目地シールを修理する羽目になった。

選んだのは,白色セメント系のタイル目地用の品1kg。

最初に目地の下地処理。破損しかっかったセメント,応急措置のシリコンシーラントをマイナスドライバーで剥がす。狭い部分は,歯科用スケーラーを用いて除去。金たわしで清掃。この作業に1h消費。

次は,セメントに水を混ぜる。粘度が低すぎても高すぎても作業はやりにくい。

約600gに水を徐々に加える。かき混ぜには,油絵用パレットナイフを使用。蕎麦打ちの気分。準備完了。ポットライフがどの程度あるか?1hは無いと想定。素手で塗りこみ開始。

目地が大きく欠落した部分は,-ドライバーでセメントを押し込む。そして追加のセメントをさらに塗りこむ。20分経過。湿度が80%以上あるのに,粘度が高くなり,水を追加。水和反応が思ったより早く進行している。速乾性セメント? 今度は柔らかすぎ。セメント粉末を追加。意外に適度な粘度となる水の量の範囲が狭い。

40分後作業終了。工具類,容器を水洗い。シリコンシーランより作業性がよく綺麗に仕上がる。やや固まり始めた部分から,雑巾ではみ出し部分等を清掃。ちょうど1時間で作業終了。

残ったセメントをチャックつきの袋に入れ密封,工具類を撤収。セメントはアルカリ性だが固まる前なら水拭きで周辺を綺麗にできるので,面倒なテープ張りが不要な点が良い。

こんなときには一杯のビールが旨い。

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本日午前9:00頃,累計アクセス50万突破。硬い技術ネタが多いのにも拘わらず,読んでいただいた方々に感謝いたします。次の目標は1000記事!

2009年6月22日 (月)

宇宙服姿のアナエン

1_2891 ←宇宙服姿のアナログエンジニア。写真をダブルクリックすると拡大像が出ます。これでもせい一杯の笑顔。中では,歯医者さんのX線撮影のときのような姿勢で顎を台の上に乗せています。

JAXA(宇宙航空研究開発機構)情報センターにて,美人の案内嬢さんに撮影していただいた。

場所は,東京丸の内,オアゾ2F。

ここは,撮影自由で頼めば,このように写真を撮って貰えます。

さいとうたかを氏のゴルゴ13にも,宇宙空間での狙撃シーンが複数出てくるが,アナログエンジニアもちょっぴりその気分で宇宙服姿を味わいました。少し動きにくそうな感じの服であるが宇宙服なのでしょうがない。精巧な記念写真用の模型。

場所の関係で,多くの実物展示品は無いけれど,H-ⅡAロケットの主エンジンLE-7Aの実物展示が圧巻。子供にも技術者にも面白い場所だと思う。

時間的に余裕が無かったので,案内さんに,JAXAのパンフレットで関心のあるものを適当に選んでいただいて,後は自宅でゆっくり読ませていただきました。

LNG推進系の開発の意義と現状,その側面図なども記載されていた。

報道では,LNG推進系の開発初期の難航が伝えられていたが,パンフレットにはもっと細部の情報が記載されている。(JSF40910T)

この週末から,種々遊んでいたので,少し仕事をやらないと・・・。

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なお,当ブログの累計アクセス50万記念日は今日の深夜か明日となる見込み。日頃のアクセスに感謝します。

2009年6月19日 (金)

クリノメーター

_2890 写真は地質調査で用いるclinometer である。

この道具の存在と機能を知ったのは,ある地質学者のブログから。

「金属クリノメーター松尾式」

アナログエンジニアと地質学は殆ど関係ないが,いくつかの目的で購入した。高価なものではないが,丁寧な製品。しかし,説明書は全くなし。自力で機能チェック。先生にお尋ねすることも無いだろう。我流での使い方である。

目的その①

裏面についている振り子式傾斜計を用いて,車の加減速時の加速度を測る。簡単なベクトル計算で±1.2G位まで測定できる。ちょうど良い測定レンジである。少し後ろに傾けて使用すると適当なダンピングが得られ,表面のボタンをタイミングよく押すと,最大の加減速加速度を求めることができる。

目的その②

我家の南面の偏角の測定。部屋の南北の基準線に沿わせて,磁針のロック機構を適宜使用して測定。ロック機構を使用しないと,オイルダンパーがないので,減衰係数が非常に低く,振幅の最小と最大の1/2を計算しなければならない。確かにEとWが逆向きのほうが読み取りやすい。 測定結果は南西に38度南面がずれている。

目的その③ アーチェリー仲間の矢の速度を射出角度と競技距離から簡易測定する。

空気抵抗を考えなければ,高校物理と数学の範囲内で矢の速度が求まる。

目的その④

射場の水平度の測定。付属のピープサイトと十字線を用いて的を照準し,振り子式傾斜計で測定する。

目的その⑤

天体望遠鏡の赤道儀の据付。北極星が極軸望遠鏡で見えない場所で赤道儀の方位と角度の設定に便利そう。

目的その⑥

フィールドアーチェリーでの射ち下ろし,射ち上げ角と照準位置の水平時からのずれの定量化。もちろん,全日本アーチェリー連盟競技規則では禁止されているが,同じ会場で開かれる場合が多いので,練習時に各コース(ポスト)の補正量を暗記しておけば問題ない。

佐倉FACの名物24番お立ち台からの射ち下ろし,一体何度あるだろうか。体感では-45度程度だが,実測はどうなるか。

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2009年6月16日 (火)

電磁センサ

_2624 ←あこや貝の置物。郷里の水族館のみやげ物売場で記念に購入。もう,その地に帰ることは無いかもしれない。

写真をクリックすると像が拡大されます。

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電磁センサは構造的に材質的に頑健である。MEMSセンサとは異なる。したがって,さまざまな悪環境下で使用できるセンサ・計器に応用できる。

これまで,アナログエンジニアが手がけた電磁センサは多くある。

ファラディの法則を利用した電磁流量計,差動変圧器(LVDT)を使用した圧力計,設計温度が500℃を超える電磁誘導式液面計,LVDT応用傾斜計,特殊粘度計など多種のセンサを殆どゼロから製作した。

これらのセンサの特性は電子回路技術で大きく変化する。アナログ電子回路の信号処理を含めてセンサ特性が記述可能になる。

電磁気学を用いるセンサは,強磁性体,金属線,絶縁物で製作でき,かつ細部の材料物性に依存しない構造体とすることが可能である。

他の特徴は,励磁条件を選ぶことにより適度な検出距離を持たせることができ,汚れに強い点も利点であろう。しかも,同一センサの扱える計測量の幅が非常に広い。

例えば,電磁流量計などは,コストさえいとわなければ,水滴が落ちる程度の流量から,東京都の上水の総流量に匹敵する200,000m^3/hの流用さえも計測できる。

センサの世界は,既に一人では記述できないほどの広がりを見せている。今もなお,電磁気センサは実用的には非常に重要である。

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2009年6月12日 (金)

矢速76.9m/s

Cp01 写真は,アナログエンジニアのアーチェリーの照準曲線である。

横軸:競技距離(m),10m毎に線が入っている。0-100mFS

縦軸:照準位置変化(×0.1mm),5mm毎に横線が入っている。+10.0mm~-50.0mmで30m照準を0としてある。

結果を先に述べると,矢の平均速度は76.9m/s±0.2%,時速にすると277.0km/sとなった。

この速度は,東海道新幹線のトップスピードとほぼ同じである。

計測方法は間接法で,写真の照準曲線の視差の影響が出ず,かつ空気減速の少ない30m-90mの照準変化から求めた。空気抵抗の減速が大きければ70-90m間で,大きい照準変化が生じる。視差が影響すれば,6.5-30m間で照準曲線が丸くなる。変曲点は10-15mの間に存在する筈。

必要なデーターは 照準変化Δh,競技距離差ΔL,重力加速度g,そして,目と照星の距離pである。

測定誤差はpが最も大きいが,0.82m±0.003m程度である。

解法は省略するが,高校数学と物理の範囲で計算できる。目と矢の距離xの影響を受けない手法を用いた。

高価なレーザー速度計を使うことなく,自分の肉体とシューティング技術のみで,アナログエンジニアは矢の速度の誤差0.2%の計測に成功した!!!

その他,精度は落ちるが,射出角度を写真判定し矢の速度を求める方法もある。

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2009年6月10日 (水)

回路屋の育ち方8

Photo ←庭に1株だけあるガク紫陽花(ただし,去年の撮影),遅咲きの品種かもしれない。現在の実物は花芽がようやく揃い始めた段階。

アナログエンジニアにはトップになれるカリスマ性が足らない。従って,良くて参謀的存在となりがちである。

不遇の時には,トイレで幾度泣いたことか・・・・。自殺を必死に考えた年もある。綺麗な死にかたなど無かった。家族がとりわけ「我家のさち」が傷ついた私を支えてくれた。

その時代は,どんな仕事でも引き受けた。多くは,失敗開発の再開発や弱点を持つ設計の再設計などである。このような場合,成功しても表に出ることはまず無い。ひどい場合には,他人の名前が,その開発者のキーマンとしてクローズアップされた。ゴーストライター的存在に近い。

その状況の中で常に実行してたのは,特許と学会発表では重要なものは,トップネームあるいは単独名で業績を既成事実化することと,技術的な電子透かしのような部分を社内文章に組み込んでいたことである。手を汚していない人間が知りえない事実のキーワードを残し,かつ,その技術を知らないと実際には製品かできない部分を秘匿した。特許では,自分にしか破ることが出来ない穴を埋め込んだこともある。転職のことを考えてのことである。

不遇の時代であるから,ハングリーであり獲得した仕事を仕上なければ,次の仕事にありつけない。逆に,さまざまな仕事で高い成功率を維持する本能的やり方を身につけた。

これが,その後の自分を形成した。真実がわかる,判らないとやれない職種:研究所のキーマンや品質保証部門の方から評価を戴いた。

アナログエンジニアが表舞台に立ったのは,平成3年の技術士(電気・電子)登録の後からである。当時の科学技術庁長官は山東昭子氏である。この年以降,次第に表舞台にも出る機会が増えた。

技術士(電気・電子),労働安全コンサルタント(電気安全),論文博士(東京大学),大学向けのアナログ回路教本と毎年,ステータスを上げた時代もある。

アナログエンジニアは自分を知る人間のために全力を尽くす。それが私の美学のひとつである。裏切りは許さない。ただし,報復する力と立場を得たときにしか実行できないが・・・。精密アナログ回路は単に私の表の顔に過ぎない。

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2009年6月 8日 (月)

プリンタの衝撃試験

_2806 ←プリンタの衝撃試験装置(供試品を含む)全景  

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仕様:全自動,衝撃荷重約4.5kg。衝撃体の落下距離1.2m。

衝撃頻度 数回/日ランダム。衝撃体の材質 生体(猫)。

衝撃ダンパ有り(肉球5個×2)

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累計衝撃回数 約2000回。

このプリンタは我家の猫(茶トラ)の居場所のひとつで,ときどき飾り棚まで助走なしジャンプ,そして同じ場所(プリンタ上面)に飛び降りてくる。

着地の瞬間には,樹脂製の上面が撓むのを目視確認できる。プリンタは良く耐えていると,アナログエンジニアは判断している。このプリンタはコピー,スキャナ機能なども備えているので重要なOA機器ひとつである。いつまで機械が耐えられるか心配である。

先ほども,1回衝撃回数が増加した。

ニャロメ!

この衝撃試験機は移動可能であるが,暗黙の了解でキーボードを踏むことはない。しかし,パソコンのマウスのケーブルに対しては,タンパー試験装置にもなっている。

猫がネズミを標的にするのは理解できるが,猫がパソコンのマウスを狙うのは実害がある。

この衝撃試験装置は案外,賢いのかも知れない。

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2009年6月 3日 (水)

安物の郵便秤

_2798_3 写真は安価な郵便秤。左ダブルクリックで拡大像が出ます。

商品名は,レタースケール(小)。(株)アスカ 製 LS-251,最大計量 250g,最小目盛 2.5g.。Made in China。取引証明以外用。

先日この秤を校正する機会があった。

原稿のゲラ修正を速達で送るため,この秤で計って253-254g,もちろんアナログエンジニアは測定前に,この郵便秤の唯一の調整箇所であるゼロ調整を行っている。

校正原器は郵便局の精密電子秤。

定形外郵便物は250gを境に,郵送料が変わる。黙ってポストに入れれば判らない数字。しかし,アナログエンジニアは,窓口で測定してもらう。結果は252.5g。差額は郵便局できっちり取られたが,低廉な価格で,私はこの郵便秤の校正をしていただいたことになる。意外に正確である。

この郵便秤,ネジがひとつも見えていない。ロバーバル機構(偏荷重の誤差を避けるための機械的リンク機構)とは異なるようだが,内部構造の観察は諦めた。

強いて言えば,この郵便秤は少し姿勢影響が大きく,ゼロ調整時に若干ヒステリシスがあり繰り返し調整が必要な点が難点である。

定形外郵便物を出す機会が最近増えているので,非線形目盛の自作の郵便秤では250g付近では精度が出ない。それで,この郵便秤を購入した。

価格・精度を考慮すると,かなりコスト・パフォーマンスが高いので,総合評価は◎。と私は考える。

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2009年6月 2日 (火)

歯科用スケーラー

2_2784_2 写真は歯医者さんが使う歯石除去用の道具:スケーラー。汎用目的のもの。

アナログエンジニアが欲しがっていた工具のひとつである。通常のルートでは,素人が手に入れにくい。私にとっては貴重な工具。

使う目的は,電子回路半田付け後のヤニの清掃や,隅部分の清掃など。YDMの製造者ロゴが陰文字で表示されている。

袋にはBANTA,小さい文字でHealthcare Products 書かれている。

多分,上質のステンレス鋼製。針部と本体は材質が異なる。非常に持ちやすくバランスもよい。掴む部分にはローレット加工が丁寧に施されている。

早速使ってみた。電子回路基板を傷つけることなくヤニやゴミが綺麗に取れる。

これがプロの使う道具のすごさである。このスケーラー,今,私の手元にある。嬉しい。使った感触では,針の先端が微妙に加工されているようである。意外に軽く,かつ手ごたえが伝わってくる。

また,念願の道具がひとつ増えた。

そして針先が磨耗したら,アナログエンジニアは研磨して再び使い続けることだろう。墨入れ製図用の油砥石で何とかなるなるだろう。

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今日は,絶好のアーチェリー日和。奥歯を少し削って調整してもらったので,実射で照準の調整。

まずは,50m,照準が0.5mm上がる。30mは1.8mm上がる。ついでに,右方向に1mm修正。ついでに,先日のフィールドアーチェリーで上に着弾した10mの照準取り。予想より5mm照準が上がる。後は,木曜日に,70m,90m,18mの照準位置を確認することとしよう。

2009年6月 1日 (月)

パルスモータのMGセット

_2782_2 ←不要になったプリンタを分解して取得した(多分,クロポール形の)パルスモータ,ステッピングモータとも言う。

MGセット(モータ&発電機)を構築すれば,パルスモータの特性の多くを知ることができる。

在りあわせの部品を組み合わせてパルスモータのMGセットを作るには,2台のモータの取り付け板と,それらの軸を結合するジョイントがあれば出来る。

MGセットはDCモータの特性試験にしばしば使われるが,パルスモータでも可能である。出来れば,同じ仕様の両軸モータがあれば,さらに好都合である。

発電機運転する側の界磁コイルのひとつに,妥当な抵抗を接続出きるようにしておく。

この試験で,パルスレートを変えて試験を行うと,大掛かりな設備を使用することなく以下の項目を測定できる。

1) 自起動パルスレート

2) 低速でのワンパルス移動時の角振動波形

3) パルスレート対トルク曲線(負荷抵抗を変えての測定

4) 自起動パルスレート以上での振動波形 など。

とくに,自起動パルスレート以下での振動波形が特徴的である。

発電機側の無負荷電圧波形を観測することにより,パルスモータのステップ時での角振動の大きさが判る。自起動パルスレート以上では,滑らかにか動いていることも判る。

アナログエンジニアは,この方法でミニMGセットを構築し,永久磁石界磁DCモータのT-N曲線を取得したことがある。(詳細は,「オペアンプ基礎回路再入門」岡山,日刊工業新聞社(2005),5.6節参照)

MGセットは電力装置だけのものではないのだ。ミニミニスケールでやれば,電子回路技術でモーター専業メーカのデータと同等以上の生のモータ特性を測定できるのだ。

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まだ,昨日のフィールドアーチェリーの後の歯痛が残る。今日は,朝一番で歯医者さんを予約してあるのでよく相談しよう。腹筋が痛くなるほど,気合が入ったので奥歯に負担がかかったようだ。

2009年5月28日 (木)

モデルカー

_2734 ←写真は縮尺1/43のモデルカー。実物も存在する。写真をダブルクリックすると大きくなり,その精巧さが判ります。

右下の5円玉が無ければ,実物を撮影したのと見間違うほどの精巧さである。

色もドアハンドルも本物そっくり。

後部ガラスには,曇り止めヒーター&アンテナの線も見えている。

この方向から撮影した理由は,運転席の装備が少しでも見えるようにしたかったためである。ハンドルは皮巻き調,一部木目調。カーナビもそれらしく作りこまれている。

さらに,車のエンブレムも殆ど実車と同じである。×8のルーペで確認できた。シフトレバーも本物同様。

カタログの写真と見比べて見ると,この縮尺1/43で実現できる限界までの表現が出来ているようだ。恐らくタイヤのトレッドパターンも本物同様であろう。

飾り台から外し,車体の裏をみても排気パイプ,マフラー,オプションの排気管フィニッシャーも表現されている。このグレードのほぼフルオプション装着車のモデルである。

自分の乗る車と同じ車種ではないが,こんな精巧なミニチュアカーを欲しがるアナログエンジニアである。

完全に大人のおもちゃである。お遊びである。しかし,実物が現在も存在するだけに面白い。このミニチュアカーを使ってカタログの1ページを遊びで作成したら,それらしく出来上がった。楽しかった。

なお,解像度を適当にしてあるので,実物を見たか,カタログを入念に読んだ人でないと写真を拡大しても車種,メーカーは判らないと思います。

某自動車のディラーで取り寄せた品。

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2009年5月25日 (月)

書評:自動車がわかる本

2_2730 ←「プロが教える自動車のすべてがわかる本」,古川修監修,ナツメ社(2009/04),本体価格¥1500,255頁

ISBN978-4-8163-4641-5  取材協力:日産自動車

第1部:車のできるまで(自動車の開発,自動車の生産,)

第2部:自動車のしくみ,(自動車の基礎知識,エンジン,補機類,パワーとレイン,シャーシ,ボディ・タイヤ)

第3部:進化する自動車技術(ガソリンに代わる動力,安全で便利な車社会へ)

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本をまとめ買いしたときの1冊。通読,熟読をしたアナログエンジニアの感想・書評を以下に述べる。平台に置かれていた本。

① カラー写真が豊富で,かつ初心者~マニアまで満足させると思う本。車好きの小学生高学年も対象に入るかもしれない。通読しても,じっくり読んでも楽しい本。

② この1冊で,車のカタログの主要諸元,装備に使われている用語の意味が殆どわかる。数式は使われていない。

③ 記述が正確でありながら,平易な言葉と豊富なカラー写真・図で説明されている。各装備の良い点だけでなく,違いも理解できる。

④ この1冊で,マニアックなユーザーの質問にも車の営業マンは恐らく対応できる。

⑤ 車の未来像や電気自動車,ハイブリッドカー,水素自動車カーなどの意義も数値例を見れば理解できる。

⑥ VICS,ETCなどのしくみも図解できる。

したがって,車のユ-ザーとしてのアナログエンジニアのお勧め度は最高ランクの★★★★★(+★)   書名に偽りはない。

なお,奥付によると,監修者はホンダゆかりの大学教授である。

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この様な本に全面的に取材協力できた自動車メーカにも感謝します。

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2009年5月20日 (水)

蓄音器その後

_2646 ←蓄音器の針を研ぐために使用したハンドドリル。このチャックはφ1mm弱まで掴むことができる。

我家の「さち」は子供の頃,,純機械式の蓄音器で遊んだとのことである。そこで,前回の記事の昭和初期の蓄音器の扱い方,機能を実演してくれた。

この蓄音器は「オーディオの一世紀」山川正光著,誠文堂新光社(1992)に記載されている蓄音器に類似している。Victrola(日本製,Victor Talking Machine Company of Japan)。横振動型純機械式のポータブルタイプものである。

2_2648 前回の課題であった,オート回転開始機能や曲の終わりの自動停止機能も動作するようになった。

写真2は曲の終わりで回転が自動停止した状態の蓄音器。

針はかなり磨耗し錆びたものばかりなので,古針を自分で再研磨することにした。材質は鉄。焼入れされているかもしれない。竹針の選択肢も在ったが,皮の部分も利用するらしいので採用しなかった。

針の研磨に使用したのが写真のハンドドリル。鉄針をチャックに浅く挟み中砥石で回転させながら低加重で研磨した。初期状態では×8のルーペでもはっきりと斜めに磨り減っているのが観察できた。時々,研磨状態を観察しながら,先端が髪の毛よりも細くなるように研いだ。成功したので予備3本も作成した。必要な先端部Rは溝幅からルーペと髪の毛の比較から勘で推定。

音盤も中性洗剤で洗浄。ガバナー速度を調整した後,私の太陽(O SOLE MIO)の曲をかけた(Victor Record Liblary for Every Home)。

S/Nが良くなるとともに,音量も格段にUPした。音が隣家に漏れないように,あわてて窓を閉めた程である。音量調整機能は今のところ見つかっていない。

この音が昭和初期のオーディオの音か・・・素晴らしい。アナログエンジニアは感心することしきり。

残るは,音響板近くの2本の調整ネジの機能の再発見と,外周部再生時の擦れ音の調整だ。それにしても,きちんとした作りの装置である。一世紀近くを経過しても,なおも,その基本機能を喪失していない。この品も本当の物作りの一品と言えるだろう。

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2009年5月19日 (火)

回路屋の育ち方7

_2589 ←ミニばら。子供からの贈り物。花期を過ぎると「我家のさち」は地植にするので,根付くとまた来年から楽しめる。かくして,色々な品種が庭に咲く。しかも生き残るのは植えられた場所が適地になっているものばかり

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「おめでたい人」:この言葉はアナログエンジニアに,当時,副技師長だったKM氏から疲れきった私に浴びせられた言葉。

17年前の11月の頃の日曜日であった。覚えている理由は,毎年開催される高校の同窓会/同期会の翌日であったためである。

土曜日に午前様で帰宅して朝寝していたら,元の職場からの電話で起こされた。発煙事故で電源ユニットらしい。

すぐさま,元の職場に駆けつけた。誰か私を紹介したらしい。複数の部長さんが揃っており,製造元の取締役を初めとする関係者もいた。事業所のNo2のSS氏もいた。事の重大性を感じさせる陣容である。

すぐに状況の説明を受ける。現品の損傷状態確認。回路図はその会社の方針で当方には開示されていない。主要部品数と種類からハーフブリッジのSWコンバータ方式であることはすぐ判った。アナログエンジニアは,当時は大出力SW電源を作った経験はないが,自分が作る前提で設計上のこの方式の課題は把握していた。元部下だったFK氏に指示して,結線状態と,キー部品」の品種の確認とデーターシートを用意させる。午前中に設計不良部を特定。

午後の対策会議が始まる前に,No2のFK氏に事情を話し,これを対策すると同業他社でも同じ対策が行われますよ,構わないか了承を得る。午後は,部外者の私が指揮をとる。会議が再開とともに,相手の取締役に穏やかであるが,厳しく話しかける。

この事故の重大性は判っていますね。問題部位を当方には判っている定数入りの回路図を出すか,そちらで完全な対策を出すか決めなさい。10分で結論を頂こう。と厳しく迫る。数年間,開示されなかった全回路図と制御方式が開示された。秘密の回路図が初めて示される。企業秘密の壁が崩壊した。させた。

対策に必要な部品の種類とメーカから部品の型番を特定してもらう。対策部品の調達,資材部長が指揮をとる。部品メーカの営業所にはその部品の在庫はない。資材部門のルートでようやくあり某所から調達可能。・・・・・。

夕刻,疲れて自動販売機で買ったコーヒーを元の設計部で飲んでいると,通りかかったKM氏が「おめでたい奴だな」と声を私にかけた。職場を離れた現在,力を貸すのはお人よしとの意味だ。腹はたったが,その場では何も言わず私は立ち去る。

このSS氏は,当時,私の4つか5つ上の職位の方である。しかし,その後,さまざまな話し相手になってくれ,親会社を辞めるとき私を周囲の反対を押し切って,私を拾ってくれた。

アナログエンジニアは,プロとしてそれなりに遇していただければ,その要望に全力で応える。無料の仕事でも後に大きな自分の財産になることがあるのだ。おめでたい行動ではない。

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2009年5月15日 (金)

缶ビールにピンホール

_2571 ←この缶ビールには,3日でビールが半分になる程度のピンホールが開いている。

食器棚の上においていた350ml,6個入りの缶の1個を取り出そうとして全部180cmの高さから台所のフローリング床に落下させてしまった。

当然,6個とも異なる場所で変形している。

気がついたのは3日目。冷蔵庫の棚にビールが溜まっていた。1日目,2日目はプルトップのビールの缶を開けるときに溢したとしか思っていなかった。

6個中写真の1個のみが1日当たり50cc程度のスローリークを生じている。内圧がかかっていてこのリークレートだから,肉眼では見えない。私の持っている学生用顕微鏡は透過照明なので,このようなサンプルでは観察できないと諦めた。落射照明ができればなあ・・・・。

亀裂かピンホールか知りたいものだが金属顕微鏡を借りるとこまでの執念は今はない。

場所は写真中央の変形した角部の先端らしい。写真は缶を底から見た構図。

昨日は晩酌の一缶を諦めて,久しぶりの休肝日となったアナログエンジニアである。

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2009年5月12日 (火)

LPレコードプレーヤー

_2615 ←LPレコードプレーヤー,DENON/COLUMBIAブランドの最下位機種のDP-29F。「我家のさち」の持参品のレコードアルバムを聞いて見たくなって,購入。今でも昔のメディア対応の再生装置を作ってくれているメーカーがあるのだ。感謝。しかも,取り寄せだが,ほぼ即納。

最下位機種でもフルオートプレーヤーシステムになっている。

照明器具の更新作業の際に据付のついでに「今でもLPプレーヤーが入手できるか?」と聞いて持ってきて来てくれたカタログ情報で購入したものだ。お値段も私の小遣いで買える程度である。

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プレーヤーは配達,配線までしてくれたが,最初の音出しの時には雑音がひどい。アンプのPHONO端子への2芯シールドケーブルのGNDが接続した形跡がない。アナログエンジニアは,普段このような場面で作業者に口出しすることは家庭ではやらない。しかし,今回は作業者に,直接指示を出した。これではどちらが客かわからない状態。

アンプにGNDが接続されているか?接続されていないので作業のやり直し。ついでに配線の余長を8の字に束ねさせる。再び,音出し。ノイズはあまり改善されてない。

今度はプレーヤー側の点検。あった。プレーヤー側にも周波数特性を変えるイコライザーが搭載されている。プレーヤー側のイコライザーをOFFにさせて,メインアンプのイコライザを利用させる。再び音出し。今度は,30年前に買ったLo-Dのスピーカーから綺麗な音が流れる。2重に掛かっていたイコライザにより,雑音が著しく強調されていたためであった。この設定はプレーヤーの取扱説明書にはきちんと記載されている。

このような古いメディアの対応してくれている会社が1社でも残っていることは,大変有難いことだ。十分に満足した。十分に満足した後はゆっくり仕事場のバックミュージックとして,時には夫婦で音を聞こう。ずいぶん贅沢したような気になった。

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2009年5月 5日 (火)

飾り棚の設計図

Photo 昭和51年の我家の居間(東側)の設計図である。南よりに飾り棚がある。

注文住宅なので,予算の制約の中,若き頃のアナログエンジニアの願望を入れている。飾り棚は3列構成で,左右非対称である。各段は高さ寸法が異なり,中央真ん中の段がテレビ置き台となる。

このテレビ置き台は,32形(16:9)の地上デジタルTVがちょうど入る寸法に結果的になっている。なんと言ってよいのか判らないが,当時はハイビジョンも地上デジタルも無かった時代だから,自分の感性で決めたはずである。

結果論であるが,時代を先取りした寸法となっていた。

この中に,実際に地上デジタル対応の液晶32形TVを最近おいたのだが,実にしっくり収まった。

地上デジタルになると数チャネル増やせるそうである。その費用は誰が負担するのか,少々疑問である。少なくとも新規開設するはずのTV局にも応分の電波占有料を払っていただきたいものと考える。

個人的には,移行期なので,TVはアナログにも対応している。私は殆ど録画することはない。しかし,思い出のビデオテープはVHSなのでVHS対応の画面が欲しかったのである。不景気の中でかつ地上波デジタル化が本格化する前の機種を敢えて買った。当方の希望機能と廃止間近いので,価格的にも有利であると考えた。

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2009年4月30日 (木)

プロ仕様?のレンジフード

我家のDKは細長い7畳の部屋。

レンジフードは長さが1.3mのステンレス製。磁石がつかないので,家庭のレンジのステンレス鋼とは材質が異なる。

30年手を入れなかった場所の汚れが強力洗剤で綺麗に取れた。変色もない。多分,SUS304(新しい名称は忘れた)だろう。

レストランや料理店の厨房と同じ様に換気扇に向かって上るようにフードが付いている形状である。互換性を考慮して当時の家庭用の標準寸法に合わせてあるが,コンロ台とダクトの壁,水周りの接続部の構造はプロ用と同じである。工務店が依頼した先が業務用も手がけていたらしい。

この様な台所は使用頻度が高く,使う都度簡単な水拭きを行う前提のようだ。自分が後片付けをしてみて良くわかった。特に熱したフライパンに食材を入れると,1mくらい上まで油の飛沫が飛ぶのである。これを吸い込むには,レンジの奥行きより広くすっぽりとレンジフードが覆っていないと,うまく排気されないのである。

レンジフードの下で煙草を吸うが,その煙の移動を見ていると台所の風の流れがかなり判る。簡易的な気体の流れの可視化である。レンジフードの端から1m程度離れると一度フードから煙が遠ざかり,そして換気扇に向かって吸い込まれていく場所がある。

アナログエンジニアはスモーカなので,煙を見ている機会が多いので気体の流れに対する感覚が多少あるのかも知れない。

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2009年4月29日 (水)

蓄音機

_2562 ←大正時代の蓄音機。画面をクリックすると大きくなります。

家内の実家に埋もれたいたもの。義母の祖父が使ったものらしい。アナログエンジニアが譲り受けて,可動部の調整と潤滑をしたら時を越えて動き出した。

ラッパが付属していて,状態がよければかなりの骨董価値があるらしい。これは,ラッパがついていないので,価値は数分の1くらいとのこと。

右下のハンドルを回し力を蓄えておくと,片面分聞くことが出来る。

当然,全機械式である。針の動きを直接振動板に伝える構造だが,結構大きな音がでる。TVの10よりも大きな音量がでる。時を越えて甦った蓄音機。最新式のオーディオとは異なる風情がある。

当時の文部省推薦(ビクター・家庭音楽名盤集,12枚組)のアルバムもある。一番困ったのは針である。錆びた物が数本針入れに残っていたので,薬品で錆を落として手研磨してみた。竹針を使う手段もあるらしい。

音盤の洗浄と針の研磨の仕方を変えてもっとノイズの少ない音出しにいつか再挑戦してみたいものだ。

時を越えて甦った,甦らせた蓄音機。その形は今も美しい。

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2009年4月23日 (木)

回路屋の育ち方6

Photo ←図はダイオードの温度特性の実測値。エミッション係数が2弱の素子。横軸:電流,縦軸:端子間電圧。

アナログエンジニアは若い頃から半導体の温度特性と深く係わっている。

図は小信号用ダイオードの温度特性の実測値で,-40℃から100℃まで広い電流範囲で測定している。回路上,ダイオード,トランジスタの温度係数を精密に予測する必要があったためである。

測定温度が区切りの良い数値になっていない実測値である。ダイオードの接合電圧が負の温度係数をもち,しかも,高電流側で温度係数が小さくなっていることが判る。したがって,接合電圧の温度係数を,たとえば-2mV/℃と断定したらそれは間違いである。使い方により,温度係数は倍以上も違うのである。

電子回路の温度係数を決める要因となる部分で,非対称回路では回路の温度特性予測に欠かせない概念である。

測定から,もう30数年経過するが,この品種は今も市販されており秋葉原で簡単に手に入る。

この実験結果は後に一緒に開発を行うことになったYKさんにより,半導体物理から理論式にまとめられた。ダイオードとトランジスタでの温度特性の相違も定量的に良く合う式であった。

その後,YKさんとはさまざまな形でお付き合いさせて頂き,半導体物理の世界も知ることとなった。

単体ダイオード,トランジスタで組む回路における私の集積回路的発想はこの時代に遡る。半導体の温度特性に関するアナログエンジニアとしての定量的原体験といえよう。

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2009年4月22日 (水)

放電音を聞く

_2549 ←庭のカタクリの花。我家の「さち」が育てている。花が咲いていないと雑草と間違いそうになるマイナーな花も育てている。

放電音を聞いたことが複数回ある。

AM/FMラジオを至近距離から聞くのである。放電の際に広いスペクトルで電波が放出されるからである。

アナログエンジニアはkVを越える電圧も扱う。この方法はある程度以上のエネルギーの放電の頻度を,原始的だが観測できる。

液中あるいは気中放電なら,専用の窓を拵えたものを作成すれば,うまくいけば肉眼で放電箇所を特定できる。しかし,固体中の放電では観測が難しい。

固体中の放電にはバチッといくものがあるが,部分放電(partial dischage)では殆ど判らないようだ。

電子回路としての高電圧は,強電と異なり絶縁厚さが十分取れず形状も複雑なのことが多いので実験が難しい。

部分放電試験装置も市販されているが,観測のためには放電電荷を測定するための工夫が必要になる。しかも,サンプルのばらつきが大きいので文献データーも少ない。

部分放電は条件により,電子回路では数100V程度以上から発生することがある。

固体中の部分放電が生じると,絶縁物の寿命とばらつきを考慮しなければならない。

昔,何社か報道されたブラウン管TVのトラブルは,この手の現象と私は記憶に残っている。これらは高電圧工学の分野で成書はあまり多くない。

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2009年4月21日 (火)

古いデーターブック

_2556 ←写真は’92.7月版のMOS-FETのデーターブック。自宅にまだ保存している。

会社が捨てた古いデータブックにはWEBにはでない基礎的で重要な事柄が記載されているので,いくつかの部品のデーターブックを保存している。

若い人はインターネット検索で電子部品のデーターシートを検索・ダウンロードしていて,データーブックに記載されている(いた)重要な使用上の注意事項,半導体デバイスの内部構造,信頼性データ,試験方法などの情報に触れることが少ない。

そもそも1冊の専門書を読みきるような勉強をしていないのだと思う。したがって,ひとつの分野を俯瞰できるような自己訓練をあまりしない傾向を感じる。

自分の関心をもつ分野を広げた今でも,東京に出かけると時間があれば大型本屋さんの工学書などのコーナーに立ち寄る。目に付く場所にあるのは図解XXX,早わかりXXXなどのタイトルの似非技術書が多い。きちんと正確で丁寧なな表現を試みようとしている本は意外に少ない。読者がこの層が厚いので,勢い出版社はこの手の本を出すことになる。

論旨の飛躍を感じる本は専門家が読んでも読みにくい。まして一般のエンジニアは読みきれないのではないか。明らかに孫引きの図を平気で載せている例もある。(原典の間違いの引用など)

たとえ話(比喩)で簡単そうに説明してあるが,アナログエンジニアは,たとえが理解できないことも多い。比喩が通じるほど,原体験が少ないのだろう。

ものの考え方や設計のやり方を身に着ける王道はない。しかし,ひとつの狭い分野できちんと論理的・合理的・系統的アプローチが出来れば,他の分野でも短期間に専門知識が身につくものと考えている。

上滑りでお仕着せの受動的な勉強・研究で学位を取ったとしても,自分を訓練する習慣がついていなければ本人にとって無意味ではないか。

工学においては抽象論ではなく,現実の課題を見つめながら考える。電磁気学をMaxwellの方程式から教えたら,現実の簡単な電磁気現象くらいは解けるようになるのか疑問である。

基本問題が解けるくらいの訓練は大学でやってもらわねばと願う。日本は技術立国だから・・・・。

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2009年4月20日 (月)

ヒートプレート

_2555 ←写真はIHヒーターで対応材質でない鍋を熱する道具:ヒートプレート。定格1350W。IHヒーターに道具を乗せた状態。

先のエントリー「IHヒーター」で述べたIHヒーターでは,磁性のない鍋や絶縁性鍋(土鍋)ガラスは加熱できないというガス会社のネガティブCMが真実ではないことの実証である。

非磁性で導電率の高い銅鍋などは今では誘導加熱できる。

しかし,非導電性材質の場合には渦電流(eddy current)は流れないので,直接的には過熱不可である。

IHヒーターのコイルは水平方向に巻かれているいるので,渦電流も水平方向に強く流れる。

(私の見た内部コイルは撚り線を使用して渦巻き状に巻装されていた。磁力線はギャップのある平型トランスと見ることもできる。)

ヒートプレートはふつうのIHヒーターに対応する材質,厚みに対して渦電流を利用し,プレートを加熱,その熱源でガラス容器や土鍋を間接的に加熱する。このヒートプレートの下面には数mmの突起があり,プレートとIHヒータ面の距離を適当に保つようにしてある。露出面はSUSではない。一度使用しただけで酸化色がでた。強い磁性材料の一枚板約1mmで出来ている。

使用上の注意が刻印されている。「てんぷらなどの揚げ物には絶対に使わないで下さい」!その理由は,IHヒーター面に装着されているはずの密着型温度センサが働かないためと推定している。

取っ手の赤い部分は重く,鍋を載せないと写真の状態になる。我家のIHヒーターでは負荷異常を検出し加熱を停止した。なかなかうまく出来ている。

アナログエンジニアはふつうこのようなものを買わない。息子からの贈り物だ。

我家は,発電所が原子力・火力・水力のセットになっているように,エネルギー源が電力・灯油・ガスの3構成となっている。他にもブタンガスボンベのコンロを用意している。ライフライン確保のひとつとして考えてのことだ。

重宝しているのは,灯油ボイラーで立ち上がり30秒,大出力の特長がある。熱源は一端電気に変えて,さらに熱に戻すのは本質的に筋が良くない。最新の火力発電所でも熱効率は50%前後である。エアコンのような低温度差の場合にはヒートポンプ式のほうが成績係数が良くなるので,最近は暖房空調の主体は少エネのためヒートポンプ式にしている。

オール電化の宣伝に素直には同調しかねるアナログエンジニアである。

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2009年4月17日 (金)

JJY受信器

Jjy_2540 ←「C社製 デジタル表示クロックの標準電波受信部」

懐かしのフェライトバーアンテナが良く目立つ。フェライトバーは直径1cm,長さ10cm。コイルはリッツ線でかなり巻かれている。右の基板は1石高周波増幅部と思われ,近くにトリマコンデンサらしきものが黒く見える。

左側の基板は,絶縁フィルムで包んだ後,銅箔でシールドされている。横から覗くとLSIがチップ搭載されているのが判る。両方の基板はガラスエポキシ。両基板は2本だけシールドケーブルで接続されている。

なるほど,安くシールド箱を作るにはこんな方法もあったのかとアナログエンジニアは感心させられる。

標準電波JJYは40kHzあるいは60kHzなので,大きいほうが安く作れるということか。

組み立ては殆どが接着で修理は想定されていない構造。分解はそれらの場所をニッパで切断しながら突き破っていった。

アナログエンジニアの地元では福島からの電波を受けているはず。佐賀県にも送信所がある。

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時間は最も正確に測定できる基礎量で,通常は標準電波を通じて簡単に時間標準にトレースできることは非常にありがたいことである。

計測に関連するエンジニアであれば,時間が,正確に測れる大切な量であることを知っていてほしいものだ。大学で計測に関する講義が減少していると憂える。

「科学は計測に始まり計測に終わる」

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2009年4月15日 (水)

hygrometer(湿度計)

_2548_1 ←家庭用 温度・湿度計

hygrometerは相対湿度計のことである。

某専門メーカー製で,温度計・相対湿度計ともに完全機械式,指針表示のもの。

K家電量販店の温度計コーナーで購入した。

温度計はバイメタル式,直動形でその機構部は分解しなくともおよそ判る。温度精度は1℃。

相対湿度計はバイマティアル式と称している。湿度表示は非線形目盛で精度3%と記載されている。湿度目盛りは5%単位である。

両者とも,無意味な読み取りはしないアナログ計器の表示方法に従っている。

家庭用温度,湿度計では精度記載のものは珍しい。購入の決め手。

アナログエンジニアは当然,アナログ計器を好む。故障が少ないし,動きを見ればどのくらいまで変化率が読めるかも判断できると同時に不具合も自分で判断できるメリットがあるためだ。

それに比べて,C社の物はいかがなものか。

今回も液晶表示の欠けが目立つようになったので分解した。造りが美しくない。故障しやすい。精度が悪い。温度センサ部は,手で暖めると抵抗値が大きく下がるのでサーミスタ。常温での抵抗値は約10kΩ。サーミスタの割にパッシベーションはどうか?サーミスタ材料はきちんと保護してやらないと経年変化を示すことが多い。湿度センサは,透明感湿膜を使用し外気に触れているので,かなり怪しい。

計器メーカーは計器屋の誇りと技術をもって,家電品といえども計器としての性能を表示しているのだ。

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2009年4月13日 (月)

IHヒーター

4_2537 ←種から蒔いて,数年がかりで食べられるようになったアスパラガス。痩せた土の場所だったので,去年辺りからまともな太さに育った。雑草にも負けないでよく生き延びたものだ。

誘導加熱調理器:IHヒーター。

某ガス会社の宣伝文句には,オール電化でで使うIHヒーターはガラスなどの調理器は使えないとされている。しかし,対応材質のヒートプレートと称する金属板を敷けば,ガラス鍋や土鍋も使えるのである。ちょと間違った宣伝であろう。

IHヒーターは,銅鍋なども使いにくい。火力も弱い。ガスコンロの出力はkW換算ではかなり大きいのである。これは真実。これらは,平たいスパイラルコイルを1次側とし,2次側での渦電流を利用して過熱しているためだ。

IHヒーターの構造図と原理はこの様なものであるが,密着形の温度センサを中央付近に内蔵しているものが多そうである。IH炊飯器などでは鍋を外すとセンサの頭が見える。

渦電流で過熱するには,2次側が1ターンコイルで,1次側は商用周波数より高い周波数で駆動するとともに,結構な大電流を流しているらしい。アナログエンジニアは一度だけ,IH調理器の内部コイルを見たことがある。その製品では,細い銅線をより合わせて大電流に耐え,かつ一次コイルの銅線での渦電流損失を回避するための構造だと思っている。

我家は,電気・ガス・灯油の3つのエネルギー源を使い分けしている。

お風呂,湯沸しは灯油ボイラーだが,電気出力換算では10kWを越える。このようなピーク出力は他の方法では得にくい。しかも,起動時間は30秒。

そして,浴槽は追い炊き機能なしの最も簡単なもの。この機能無しでも,各人が浴槽からのお湯を使って体を洗えば,多少次の人が遅れて入浴しても高めのお湯を継ぎ足すだけで十分である。簡単なものは,信頼性を高くしやすいとの経験則でこのような選択をしている。

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2009年4月10日 (金)

水晶腕時計の分解

意外に早く,婦人ものの腕時計を分解する機会がやってきた。

ムーブメントの長径が20mm,Swiss製。

水晶振動子,コイル,電池が大きな場所を占めている。回路パターンは金メッキ。

薄いチップのICを直接基板にワイアボンディングしているのだろう。

パルスモーターのコイルは長さ10mm,直径1.8mmもある。腕時計の中に入れるため,コイルが湾曲している。磁路は,ローターのところで狭くなっており,磁路の飽和を利用してローターに変動磁場を与えている感じである。

ローターの径は1.7mm。

歯車は総て金属製。少ない歯数のものは6枚歯。一石のサファイア?軸受けが見える。

ガラス(0.8mm厚)は,はめ込み。裏蓋にはOリングで湿気防止が行われている。

アナログエンジニアの手持ち工具では,それ以上の分解は出来ない。時計屋さんが使っているような道具と拡大鏡がないととても無理。

これでも安価なみやげ物用の時計である。

恐らく図面は特記無ければ,数字の単位はμmであろう。そして総組み図はかなり大きなものであろうと考える。これが精密機械のすごさである。

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2009年4月 9日 (木)

電気的センサ

センサと言えば,外界の情報を電気信号に変換する計測装置を連想することが多い。

しかし,今も機械式のセンサも数多く使われている現実がある。

センサを外界の情報を電気信号に変換し,AD変換を行ってマイコンに伝達すると定義するならそれは間違いであろうとアナログエンジニアは考える。

かっては,空気式の温度センサや圧力計などが工業計測の分野で使用されていた。空気式の計装システムは応答は遅いが センサ信号が直接アクチュエータを動かすことが出来る。

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電気信号を出力するセンサは,アナログ電子回路と同時に考えないとその特性を定義できない側面がある。センサの出力が扱いにくいレベルの電圧や電流であるなら,実用化にはアナログ回路抜きで考えることはできない。 

たとえばピエゾ抵抗効果を用いたセンサは機械的構造を工夫することにより,圧力計,変位計,差圧計などさまざまな測定対象を電気信号に変換できる。

基本的にピエゾ抵抗効果は,電気的な抵抗値測定の形になる。同時にこの効果は半導体プロセスに依存するが,作り放しと言う訳には行かない。どこかで校正情報を持つ必要がある。ピエゾ抵抗効果は温度依存性が強いので,感温抵抗を同時に形成し温度補償を行うか定電流励起を行って,感度の温度依存性を消去する手段もある。

耐環境性も半導体センサだけで不十分な場合も多くある。

現在のMEMSの通常の範疇では,比較的軽用途に限られる。センシングにおいては,センサの検出する場を限定する構造物なども必要なのだ。そして機械的部分,アナログ信号処理回路を含めて考えないと確からしさが曖昧になる。電気信号を出力するセンサはアナログ回路抜きでは語ることができないだろう。

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2009年4月 6日 (月)

設計は果因関係

_f ←庭の大輪の水仙。

大学で受ける教育は普通、工学現象の因果関係を解析する技術を学ぶ。順方向の流れに沿って結果を予測することまでしか学ばない。

果因関係とは、望む結果がわかっており、そのためにどうすればよいか考えることで、逆方向の流れである。この言葉は恩師の方の造語であり、物つくりの基本姿勢を表している。

果因関係を確立するには、因果関係よりも広範で定量的な知識を必要とする。

なぜなら、因果関係はひとつの項目について結果を予測(解析)すれば良いが、果因関係を制御するにはひとつの項目だけ扱っても意味がないからである。関連する現象や制約条件をいくつか同時に扱う必要がある。

センサなどでは、複数の現象が同時に発生することが多く、実用的なセンサは知恵の結晶とも言われる。まさに、果因関係の制御が行われた結果である。

この視点なしには、結果の制御は不可能である。今の工学部生、あるいは若手エンジニアの多くは、物つくりの基本である望む結果を得るためにはどうすればよいかの問いに関しての関心が薄い。

多くの大学の研究は特定条件での因果関係を求めて論文にする形式が多く、実用化に必要な逆問題を解くことは少ないと感じている。そして,技術の陰の部分をきちんと述べることは多くない。これでよいのか。

工学系大学生の多くは卒業後、物つくり関連の仕事や、望む結果を得るにはどうすればよいかの課題に取り組むことになる。大学の多くはこの課題に十分応えてはいない。

これがアナログエンジニアが考える研究者と工学者の大きな違いでである。

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2009年4月 2日 (木)

充電器

充電器が家中に何個もある。ほとんんど互換性はない。

コネクタの形状はほとんど異なる。電圧出力電圧・電流も異なる。

当たり前だが、充電器は電池を充電するもの。電池の種類(リチウムイオン、Ni水素、NiCdなど)様々であり、かつ積層数が異なる。

過充電に強い電池もあれば、弱い電池もある。

自分の持ち物だけでも、シェーバー、携帯電話、デジカメ、ノートPCなどなど。

鉛蓄電池は過放電に弱く、過充電には弱い。車の電池などは1回バッテリー上がりをやると実効容量が激減する。満充電状態に近いほうが良い電池もある。

様々な安全手段、充電速度の制御、充電終始電圧など各メーカで異なる方針で作られているので、たとえ電圧とコネクタがあっても、アナログエンジニアは付属の充電器以外使う勇気はない。

AC100Vが一次側の場合、出力との絶縁が必要で何らかの手段で安全規格を満たすように設計されている。大抵は分解できないような構造であるが、分解できたものの中には、トランスの巻き線がコアとの強い絶縁を行うとともに、一次巻き線と二次巻き線も同芯状に巻くのが普通だが、一次巻き線と二次巻き線を直列に巻きかつ一次、二次間に絶縁物で離隔してあるものがあった。このトランス構造は、一次・二次巻き線の結合率が低くなるので漏れインダクタンスの影響が大きいので、その設計は難しい。

たかが、充電器であるが、最近では樹脂でモールドされているものが多く分解はまず困難である。おそらく異常時の発煙、発火防止の役割を果たしているのだろう。

充電器には少なくとも二次側にコードが付いているので、収納は雑然となりやすい。

我が家の家猫チャーは細くやわらかいケーブルが大好きなのですぐ噛んでみる。この対策は、充電中人間様が充電器のそばにいるか、ケーブルにガードを巻くか、あるいは、充電している部屋を閉め切って食害から守るしかないのだ。猫と私の知恵比べは当分続く。

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2009年4月 1日 (水)

特殊な環境での圧力計

_2523 ←庭に長く咲いている小花。

若い頃,プラントの都合で,特殊環境下での圧力計を急遽開発したことがある。

30年の設計寿命をもち,異常時には人間なら数分で致命傷を負う環境とだけ言っておこう。しかも,基礎実験から納品まで6ヶ月。当時,その環境に耐えると判明していたセンサ材料は金属,セラミック,極一部の樹脂である。

当然,保守はできない前提である。これらのセンサ材料で作れるセンサのひとつは電磁式の変位→電気信号変換素子である。通常はプラスティックのボビンを使用するが,この部分をセラミックスに変え,指定の線材で専門メーカーに製作していただいた。

当時、この方式の変位→電気信号変換センサは芳しい評価ではなかったので,部長は強く反対したが・・・。電磁センサそのものは安定であるはずだから,信号処理回路に問題があると考え原理に遡って実験した。使えるリソースは全部利用した。そのような周囲の援助があった。

年長のN氏が私のポンチ絵の実験装置を作ってくれた。電子回路は遠く離れた場所に設置するので,100m近い特殊ケーブルを当方の指示とおりに作らせた。非常に高価なケーブルを2種類使用した。

並行して,従来の励起回路を定電圧正弦波から定電流に変更し,整流のための同期信号は2次側から得る方式とした。(特許1,067,889)

そのプラントは今も稼動しているらしい。エンジニア冥利に尽きる。

電気信号を出力するセンサは電子回路と対になって,初めて計測が可能となる。この視点なくしてセンサを語ることはしない。少なくともアナログエンジニアはそう考えている。

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2009年3月31日 (火)

パソコンの発煙発火事故

我が家のミニタワーPCが発火する瞬間に遭遇した。

オレンジ色の火がPCの背面からほぼ水平に少なくとも数cm伸びた。この光ですぐ気がついて、コンセントを引き抜いた。強い光だった。その後、かなりの異臭、若干の煙が残った。今まで人生のうちで、このような事故を見たのは初めてである。無人だったら火災に発展していた可能性は十分にある。元電源15Aのブレーカーはトリップしなかった。

使用年数に関係なく、家電品、OA機器ではあってはならない事故・故障モードである。某有名メーカーの品とだけ言っておこう。このような発煙・発火が複数件あればリコールに繋がりえる重大な故障だろう。

気持ちが落ち着いてから、外観を見る。そして筐体のカバーを開く。背面電源部のインレットの右側に煤の痕跡。メッシュ金属部から見える範囲には焼損部品があるようだ。

アナログエンジニアが、現品の独特の臭いと煤の位置から考えると、SW電源の一次側の基板焼損あるいはコンデンサ破損の可能性が高そうだ。消火を確認し現状を保存。メーカーのサポート窓口が開く時間を待つ。

サポート窓口に入るには複雑な手続きと待ち時間が長い。一人目の対応者はまともに対応してくれない。買い替えを進めるだけ。

急遽有料のサポート手続きを行って再度アクセス。今度は女性のペレー多が出た。事故状況を話すと、すぐ謝りの言葉(お怪我ありませんでしたか、被害はありませんでしたかなど)、そして、すぐメーカーとしての対応を話してくれた。

一人目の人から再度TELを入れさせると言ったが、電話は来ない。再再度、、サポートセンタにアクセス。今度は一人目の担当者にすぐ繋がる。またもや自分の都合だけを言う。強い口調で押し問答。修理予定を確認させた。ことの重大性をわかっていない。(ふざけるな!)

この間約4時間を要した。疲労感はあまりない。

しかし、2人目の女性オペレータの対応は的をえて見事でった。逆に言えば、このような事故への対応がオペレータレベルでできると言う事は、その会社で同様な事故が存在した可能性は否定できない。

信頼性とサービスが悪ければ、製造業は生き残れない時代、それが現在である。

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修理状況しだいでは、各種ソフトの再インストールやバックアップデータの新旧判別しながらの転送作業が必要になるだろうな。

2009年3月30日 (月)

目覚まし時計の分解

Photo ←庭に咲いた大輪の水仙。我家のさちがいくつも球根を植えている。

極めて安い針式表示の目覚まし時計が壊れ,電池を入れ替えても動かない。

例によってアナログエンジニアは燃えるごみと燃えないごみの分別を兼ねて,分解を試みる。

見たい部分は2箇所。単コイルのパルスモータの構造と減速歯車の出来具合である。極限までコスト低減した製品だから,簡単には分解できない。ニッパで外ケースを切る。

基板は総てプラスチックの支柱を溶かして固定してある。

短針の歯車を手で回すと,一秒パルスモータの軸が軽く回転する。減速率は60秒×60分程度だから,ふつうは軽やかには回らない。見事な精度のプラスチック歯車列と軸である。

モータの励磁コイルは長さ約2cm,銅量は約4g,線径は70μm(髪の毛くらい)。磁気回路は厚みが0.5mmくらいと非常に薄い。当然,日本の人件費では作れない。タイ製である。CMOSであろう集積回路は黒く硬い樹脂でコーティング/防湿されており,手持ちのカッターでは全く刃がたたない。膨張係数を下げるためにセラミックの粉末が含まれているのだろう。針式腕時計は一体どんな構造なのだろうか。まだ分解したことがない。

いま,製造業の多くは,さまざまな工夫を凝らした製品を,悲しくなるくらいの値段で販売している。そして,その製品を我々は使い捨てている。こんなライフスタイルは続けられる訳がない。今回の不況はその始まりかもしれない。

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2009年3月24日 (火)

回路屋の育ち方4

--初めての開発会議参加--

入社して2~3年頃の出来事である。研究所も巻き込んだ開発会議に初めて参加したときのことである。

開発会議が始まって少したった後,私は開発中のセンサのインピーダンスを10数倍に上げることを提案した。回路屋の立場からすると,センサのインピーダンスを上げないことには,消費電力の制約から開発目標の信号レベルが得られないからであった。

センサ製造プロセスから見れば途方もない要求事項であった。しかし,YES,NOが私にははっきりしないまま種々の議論がなされていたのであった。いつの間にか,センサインピーダンスのUPを前提に議論がなされていた。

初めての大きな会議の席上で,若造であったアナログエンジニアはセンサ本体の開発仕様に介入してしまったのであるが,すぐには自分の提案が受け入れられことに気がつかなかった。

電気信号を出力するセンサの場合,アナログ信号処理も含めないと計器としての性能を予測できない。

逆に,センサの特性が開発過程においてどのように進行していくのかを先読みしないと回路開発が間に合わない。

今のMEMSのさきがけ的な開発であった。この後,回路屋代表として数年近くの開発に参加することになった。そして,色々な分野の専門家と知り合うことになった。この経験は後にさまざまな場面で役に立った。

アナログ回路はセンサを通じて自然界と密接な関係をもつ。当時は小電力の数値演算が出来なかったので,アナログ回路でさまざまな補正を行う必要が生じていた。

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2009年3月17日 (火)

回路屋の育ち方3

-磁気マルチバイブレータとの出会い-

コアの磁気飽和を利用して発振させる2石式DC-DCコンバータである。利点は絶縁されたDC電源を2次側にいくつでも得られ,2次側を全波整流すると少ないコンデンサでもリプルの少ない電源となる。当時はトランジスタが高価だったので,フローティング電圧源を多数使用して部品数を少なくする戦略が有効であったためである。

私の出会ったのは,1次側に主コイル2つとトランジスタのベースを駆動する補助巻き線2つを持つロイヤー回路と呼ばれるGE社の特許回路であった。

Photo_2 

トロイダルコアを使い,その材質は角型ヒステリシス特性をもつ。通常1kHzで自励発振させる。Vpが元電源でRsが起動抵抗である。トランジスタQ1とQ2が交互にオンする。

この回路はコアが飽和すると,オン側のトランジスタの電流が急増する結果,ベース電流とhFEで決まる電流値でオン側のコレクタ電圧が上昇するとともに,オフ側のベース巻き線によりオフ側のトランジスタが導通して転流する。これが正しい理解である。

アナログエンジニアはこの結論に至るまでに,足掛け3年かかっている。

途中まで同じ頃入社のST氏と議論を重ねた。彼はアナログもマイコンもこなすエンジニアであった。

後に本人から聞いた話であるが,技術では敵わないから自分は管理・経営者を目指すと言った。

同じことが私にも生じた。同年代のデジタル回路のSS氏はゲートレベルから出発してSSIにより一人でコンピュータを構築できる技量を持った人である。私は40歳前にデジタルにも興味をもったが,SS氏の大きな存在と,既に基礎から指導を受けられる立場では無かったことにより,デジタルの分野でのプロにはなれなかった。

両雄あい立たずか・・・・・。

同じ時期に,同じ職場で同じ分野の複数のプロは育ち得ないのかも知れない。

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   最近コメントが増えて家主は喜んでいます。

2009年3月14日 (土)

携帯電話

709sc_1496 ←私の携帯電話 709SC

  スライド式、85g、W-CDMA方式

今までの機種は、雨戸を閉めると自宅では受信できなかった。古い機種で、機能も簡単なもの。家族間の連絡用だったので、それでよかった。

今度の携帯電話は雨戸を閉めた自宅でも楽に受信できる。

退職後、生活スタイルが変わったので、思い切って機種変更、多機能、軽量薄型の機種に乗り換えた。

まだ、基本的な機能と、写真の撮り方しか覚えていない。

分厚い取り扱い説明書が付属している。まだ一部の機能しか使っていない。ぼちぼち、様々な機能を試してみるつもりだ。

我が家の「さち」からはこの記事出すなと言われた。時代遅れで、今の携帯電話文化からはるかに遅れているよ。

確かに遅れているが、今度は願望があってこの機種にしたので、頑張って使いこなして行きたい。

今までは携帯のマンマシンインターフェースを意識してこなかったが、ぼちぼちいろいろなことを試してみようと思っている。

薄型スライド式なので、コネクタの形状が従来とかなり異なる。車に接続しハンズフリーの車側の自動車電話機能は今のところ使えない。

当面の課題は、画像データのパソコンへの転送、携帯でのインターネット、効率のよいフォルダ管理を覚えなくては!

キーの数が少ない分、携帯特有の操作が多い。覚えきれるか。

近い将来には、携帯からのブログ更新も行いたいと考えているアナログエンジニアである。

(この記事,下書きを作成してからずいぶん経過している。普段あまり使わないので一度はできるようになるが,やっぱり操作方法を忘れてしまう。悲しい。次は簡単操作のものに買い換えるかな。)

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2009年3月13日 (金)

我家の断熱

約30年前に建てた和風の木造住宅である。

各部屋の間仕切り壁にも断熱材を入れてある。部屋を個別に暖冷房できるようにしてある。

窓からの熱伝達は雨戸を閉めカーテンをかける前提で計算してみると,何とか許容範囲に入る。当時は2重ガラスサッシは非常に高価だったので私には手が出なかった。

当時,覚えたての熱伝達,熱伝導の本の式と理科年表の物性値を入れて冬場の板間の表面温度を計算した。風が吹いて外気温が板の下面と同じと仮定すると,暖房して室温が20℃あっても床の表面温度が我慢できなくなる程度まで冷え込むことが予想できた。

建築途上のことである。2部屋は間に合わなかった。畳部屋は問題ない。

間に合った部屋には床断熱も入れた。

非常にラフな計算だったが,床断熱の効果は確かにあった。

間仕切り断熱と床断熱により,現在は10畳用の暖房器具で3部屋20畳以上の暖房が出来ている。もちろん天井断熱は1階と2階部分にも行っている。

子供達が独立して居住人数が減った今,各部屋の間仕切り断熱と床断熱をしておいて正解だったとアナログエンジニアは考えている。

この断熱計算,実は電子回路のパワートランジスタの計算手法の応用である。

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2009年3月12日 (木)

回路屋の育ち方2

誰にも当てはまるとは思っていない。あくまで,アナログエンジニアの一例である。

義務教育の頃は真空管,高校の頃はゲルマニウムトランジスタの出始め,大学の頃はシリコントランジスタ,就職後は小規模集積回路(SSI)オペアンプの時代を経てマイコン全盛,複雑なアナログ・デジタル回路へと変遷してきた。アナログエンジニアの感性はこのような時代と悪環境下での計測と深く係わっていると思う。同世代の競合他社にも感性を同じくするエンジニアの存在を後に知った。

転職して最初の仕事は悪環境下で使用する小規模アンプの試験であった。エンジニアの卵が与えられる通常の訓練仕事である。

技師の方が一通りの手ほどきをしてくれたが,否定的結果がでた。否定的結果をきちんと報告するには,肯定的結果を出すよりも慎重な実験と検討が必要である。この部分回路構成は今も再現できるだろう。

さて,指導してくれた技師の方,TTさんの解説は良く判らなかった。

ここから専門書を頼りにしての独学が始まる。

同時に,自分の担当する製品の検査記録,サービスデータ等を過去に遡って読んだ。その際,当然ながらメモは取らなかった。若い自分にも蓄積されたデータの意味,重要性は理解できたからである。異分野の現象を含むさまざまな事象があった事だけは今も覚えている。個々の課題の記憶は蒸発して記憶から無くなっているが,物つくりへの感性は鋭くなった。

・・・・・

このような話はロートルの戯言かもしれないが,ブログなので,しばらく,週1程度でUPしていくつもりである。それにしても,アナログ回路の量産できて易しいところは集積回路の闇の中に飲み込まれていく時代になった。

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2009年3月11日 (水)

回路屋の育ち方1

アナログエンジニアは若い頃,一度だけ業種の異なる業界への転職をしている。

転職を決意したときにトランジスタについて,7冊シリーズの洋書の翻訳本で半年かけて勉強した。米国の大学,産業界から構成される半導体電子工学教育委員会編(SEEC)の訳書で訳者は当時(1969)の半導体電子工学の産学からのそうそうたるメンバー達である。全部あわせるとかなりの量(約1400p)であった。

大学学部の3-4年生や産業界での企業内教育の教材を対象としている。

第1巻:半導体物理

第2巻:トランジスタの物理と回路モデル

第3巻:基礎トランジスタ回路

第4巻:トランジスタの特性と性能限界

第5巻:多段トランジスタ回路

第6巻:トランジスタ論理回路

第7巻:トランジスタ回路ハンドブック

各巻の表題を示したのは,トランジスタをブラックボックスとして扱わずに基礎を学ぶためにはこのくらいの分量になるということだ。丁寧だが厳しい本であった。

プログラムされた教材。優れた教材を作る原著者達が評価される英語圏の風土のような気がする。

私は学部で電子回路の教育を多分4単位受けていたが,わからないところが多かった。

SEECの本をそれなりに読み,大学で習った教科書と異なる世界を見た気がした。トランジスタの扱い方,説明の仕方がかなり異なる。当時,十分理解できたとは言えないが,それでも後々,幾度も開いた本である。その後のアナログ回路への取り組み方に,大きな影響を与えてくれた本である。

この本と,大学時代に下宿で経験したドロッパ式安定化電源設計,作成とシュミットトリガ回路がアナログ回路屋としての私の出発点である。電源としての性能を欲張ったので,色々な問題点も抱えた安定化電源であった。

工学は実践を前提に学ぶものであると今でも思っている。軽薄なシステム論,上滑りの網羅的教育は本当に教育になっているのであろうか?

もちろん,応用物理工学科の中で学んださまざまな教科は後に生きてきた。

ひとつの工学分野のアプローチの仕方をマスターすれば,異なる分野にも入っていける。同時に異分野にも同じレベルでその時点で自己の持つ感性を総動員して取り組める姿勢が必要だとも考えている。

若い時代に自分のピークトップの分野をできるだけ高めるアナログエンジニア流のやり方である。

森の中にいても,高みに立つことができれば自然に全体を見渡すことができる。幅は時が解決してくれる,と思う。

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2009年3月10日 (火)

家電量販店での温度計

ストックのなかった単4乾電池を買いに近所の家電量販店いった。

振り返ると電池コーナーの向かいの棚にさまざまなタイプの温度計が並んでいた。

同じ棚なので気温はほぼ同一の筈だが,指示はまちまち。最高と最小で5℃くらいの差があった。5℃も違えば家庭用といえども少々悲しいし,実用的ではない。

0.1℃分解能のデジタル表示のもの:感温素子はサーミスタかな。幾種類か並んでいた。

アナログ機械式のもの:これはバイメタル式で指針を機械的に動かすタイプ。

一番右側に大き目のアルコール温度計。液体の熱膨張を利用するタイプ。

パッケージの裏を見ると,温度の確からしさが記載されているものがいくつかあった。アナログ表示のものは最小目盛が総て1℃である。意味のない表示はない。

デジタル式のものの中には秤を作っているT社のものがあり,きちんと確からしさが表示されている。計量器メーカーの風土に由来するのだろう。

アナログエンジニアは一般計量士の資格を一応持っているので,つい,比較してしまった。もっと荒い値を表示しているメーカーや,確からしさの記載の無いメーカーもある。

家庭用温度計と言えども性能はまちまち。

温度センサ/温度計測の分野でいくつかの著作(今は絶版になっている)のある故FH氏の直伝で温度計測の基本を学んだ。そして無条件引用許諾を得ているのだが・・・。温度計則回路は何種類か作れる技術はあるが,本にするところまではとても行かない。

さて,多くの材料が温度依存性を持っているので,大抵のものは温度計となりえるのだ。たとえば,安定な振動周波数で知られる水晶振動子も面方位を選んでカットすると,振動周波数の温度係数が大きいものや温度係数の2次項が少ないものなどが得られる。

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2009年3月 9日 (月)

家電品のサービスマン

最近A社製のエアコンが故障した。A社は業務用エアコンでも有名だが空気清浄機も扱っている。

サービスマンは室内機側からエラーコードをチェック。室外機側の故障と判明。

3日後,室外機の制御基板を交換したが直らない。

昨日は圧縮機とモーターの駆動回路部を交換。3時間近い作業だった。

代替フロンの回収,トーチを使って圧縮機アセンブリの封止などの作業が伴っていた。

はじめてみるエアコン室外機の内部構造,意外にコンパクト。駆動回路の放熱器のサイズから判断すると,その発熱量は100W以下と思われる。

駆動回路と圧縮機を同時に交換した後,室内機へ行く配管を真空引き,フロンの再充填を行っていた。この時点で私はサービスマンの迷惑にならないように居室に戻った。

現地作業は大変である。機器の故障時には顧客がいらいらしている場合も多い。交換用部品の手配もきちんとしていなければならない。サービスマンが対応を誤れば,顧客は2度と戻ってこない。それでもサービスマンは明るく対応し,状況を説明してくれる。印象的だった。

私は,会社に所属していた頃,幾度か不具合対策で出張したことがあるが,設計者として現地作業した時には,結構な緊張をいつも伴なっていた。

サービスマンにも訓練もさることながら適性が必要だとアナログエンジニアは感じた。

サービスマン:まさに会社の看板を背負って最前線で働く職種だ。量産でない場合,サービスシステムでは,明らかに設計者の顔が見えている。サービスマンに評判のよい設計者は,真の設計者と言えるのではないか。量産品なら製品のサービスマンの情報から設計の弱点も見えている筈だ。

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2009年2月25日 (水)

計測の0.1%精度

普段,測定値を4~5桁で記録することが多いが,本当に信頼できるか否かよく考えてみる必要があると思う。

デジタルで言えば10bit程度であるが,0.1%以上の測定値は測定条件をよくチェックする必要がある。

長さは測定対象の線膨張係数により,精密には温度を規定しないと被測定物が伸び縮みする。

質量は空気の浮力補正や重力補正が必要なレベルである。質量計の測定原理によって異なる。

電子回路に内蔵される基準電圧源は5×10^-6/℃程度の温度影響を受ける。

計測器は国家標準に繋がるように2次標準器を経由して計測値の確からしさを保証するため,定期的に校正される。

電子回路では,ふつうアナログ部でゼロおよび感度の微調整を行うよう製作されている。

大学の教科では,計測概論あるいは計測工学などに相当すると考えているが,この辺りをきちんと教えている大学が減少しているような気がする。

科学は計測に始まって計測で完結する。

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2009年2月23日 (月)

回路のブラックボックス化

アナログ集積回路の設計・製作では分業化が進行している。

そして量産されたICを使う多くの回路設計者は,そのICの中身にほとんど立ち入ることなく回路を設計する。

アナログ集積回路では,半導体プロセスとパッケージの制約から大電力や高電圧は扱いにくい。

計測回路などでは大電力や高電圧も扱うので,現在もトランジスタなどの個別素子を用いてアナログ回路を構成する必要がある。このような場合には,ICの構成要素であるトランジスタの特性とその数式モデルと向き合うことになる。そして,使用する受動部品やトランジスタ特性の違いにより,異なる評価基準でアナログ回路を構築していく。

アナログ回路設計者の多くはICを含む個別部品との複合で組むエンジニアである。解析結果を反映して望む結果を得るための戦略を考えることが必要である。解析が因果関係の探求であるとするなら,設計は複数の価値観での果因関係の解明であるとアナログエンジニアは考える。

大学の工学部なら,因果関係の探求だけではなく果因過程の制御すなわち設計も教育して欲しいものだ。

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2009年1月14日 (水)

センサとアナログ回路

センサ/計器といえば,今や電気的出力をもつものが大半である。

そしてセンサを構成する材料・原理のの多くは,温度依存性をもつ。

センシングから電気的出力の仲立ちをするのが,精密アナログ回路である。

センサの多くは,計測のためにセンサに電気エネルギーを与えるか,測定対象からエネルギーを得て微弱信号を得る。どちらもアナログ電子回路が必要になる。

広い環境温度で信頼のおける,換言すればその出力が測定対象量にきちんと対応しているためには,一般に温度の関数であるセンシング量を実用上,温度に依存しない状態にする必要がある。この操作は温度補償と呼ばれる。

感温素子でセンサの温度を測り,増幅してAD変換-デジタル補正する手段と,全アナログ方式で行う手段やその中間的なものもある。

たとえば,抵抗変化型のセンサでは,基準電圧と基準抵抗を必要とする。抵抗変化量は相対的に小さいので,特定の条件下での実測値で基準の出力となるようにゼロ点校正を行う。さらに,センシング量を変えてスケール調整(スパン調整)を行う。必要に応じて温度も変化させて,ゼロ,スパンの温度補償を行う。これらの校正結果は調整抵抗の値や,デジタル変換後の信号処理の中で不揮発メモリに記憶される。

センサに要求される環境条件と信頼性は実にさまざまである。この環境の中でトレーサブルな値を提供することは,実に多くの工夫がなされている。

その中で,精密基準電圧源や精密抵抗の存在は大きい。これらを元に,アナログ電子回路を構築していくのである。

センサなしに現実の物理世界とのインターフェースをデジタルは行うことが出来ない。再びセンサの重要性がコンピュータ時代においても指摘される。

アナログエンジニアは現実世界とデジタルの世界の架け橋である。

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2008年11月25日 (火)

劣化の制御

形あるものは時間の尺度はともかくとして,永遠に存在するものではない。

「劣化の制御」は設定された製品寿命期間中にそのシステムが大過なく動作するための実用上極めて重要な技術である。

モノが何をできるかではなく,いつまで使命を果たすかの予測技術が劣化の制御に直結する。

傷が残るか否かは,材料,負荷の程度,環境に依存する。

昔は半導体は経年変化に伴い特性の変化を覚悟して電子回路を設計する必要があった。

電解コンデンサにおいては,3級アンモニウム電解液から4級アンモニウム塩に各社こぞって移行したとき,大きな問題が生じた。恐らく加速試験における加速率が異なる条件での寿命推定の誤りであろう。

金属疲労に伴う悲惨な事故例はコメット機の空中分解が有名である。低サイクル疲労破断である。御巣鷹山に墜落したジャンボジェット機は補習した隔壁の応力集中による金属疲労である。

電子回路においても,経年変化は存在する。難しいのは傷が累積するかどうかの見極めである。

微細化したICの中では高電流密度の中での,配線材料の移動(マイグレーション)が問題になっている。

高電界下の固体絶縁では部分放電に伴う劣化の進行が流体絶縁とは異なる様相を示す。

モノの損傷を40数年にわたり,追跡した経験のあるアナログエンジニアにとっては深刻な課題である。

日本の工学技術は無数の失敗経験に支えられ,その失敗を真面目に対策することで進歩してきたともいえる。

劣化の制御を扱う研究者に敬意を表したい。

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2008年11月19日 (水)

実験データーの整理

私は実験するとき,鉛筆を使わない。

必ずボールペンを使う。そして,データーシートの升目は大きめにとる。

これは,一回書いた記録を消さないためである。訂正は取り消し線の横棒を書き,余白に訂正データを記入する。このように私は学生時代に指導され今もそのようにしている。

日付は年号,月,日付,天候,気温,開始時刻を最初に記録する。

1データー当たりの実験時間が短く,試料を破損させる危険性が少なく,あるいは試料数が十分あるときには,予備実験として実験条件の上下限のデーターをさっと,荒く測定する。

そして,グラフ用紙の横軸・縦軸を記入する。

その後,本番に入る。

実験中は常に取得したデーターの変化(差分)を暗算しながら一連のデーターを取得する。

一連のデーターを取得し終えて時間に余裕があれば少し荒く,逆順で測定しなおす。

これで,データーのヒステリシスや再現性の概略がわかる。

実験セットを崩す前に,概略のデーター整理もする。

今の時代の方は,オフラインでPCによるデーター処理を行うことが多いが,これでは,データーの取り直しが効かない。

分野によって実験手順は異なるだろうが,オンラインでの概略のデーター処理をしないと,異常データーの再確認や変曲点近傍の詳細なデーターを得るチャンスを逃す。

実験は貴重な機会である。それを生かすためには種々の事前準備と,データー系列の取り方をオンラインで工夫していく必要があると考えるアナログエンジニアである。

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2008年11月14日 (金)

微小電流

微小電流の計測は,測定時間(帯域の逆数)を長く必要とする。

1秒間に流れる1フェムトA(1fA)では16000個/秒の電子の流れである。総ての電子をセンサで捉え増幅することはできないので,この半分から1/10程度となる。

仮に時間が1msなら16個の電子しかやってこない。統計的ばらつきは個数の平方根に比例するので,±4個のオーダーになり,S/N比は4程度以下になる。

時間分解能が高ければ,信号は離散的になるだろう。

光電子増倍管などを用いるなら,数え落としは多少生じるが,フォトンによって生じる電気パルスを数えることができる。これがフォトンカウンティングである。光だけではなく増倍機構を持つセンサはいく種類かある。

微小電流を連続と見るか,離散的にやってくるかと見るかで世界が異なる。

また,高エネルギーのフォトン(X線)などを適当な物体に入射させると,1個のフォトンそのエネルギーに応じてで複数の電子が生じる。1パルス当たりのフォトンで生じる2次電子の数で分類すれば,X線のエネルギーすなわち材料の特性X線のエネルギーから原子番号が判明する。これが,電子顕微鏡を用いたEDX計測である。

画像を得る際には光電流を連続的なアナログ信号として扱い,パルス電流として扱う際にはそのエネルギーに着目する。

微小電流領域では,連続信号とみるなら通常のアナログ処理,離散パルスとみるならそのパルスはノイズではなく立派な信号である。微小電流計測においては,ある意味でノイズと信号の境界は明白でなく,使用目的によってその評価は異なる。

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2008年11月11日 (火)

図解専門書

図解あるいは絵解きの専門書と称する本は結構,部数が出る。

しかし,アナログエンジニアはその風潮に逆らっている。数式を多用するとともに,その式で表され多用する領域でのグラフを示す。

適切な図が多ければ,式の理解と定量的な傾向を伝えることができる。

その方針を採るなら,1章1テーマとなるだろう。そして,10数章重ねて,アナログエンジニアのテリトリーの1分野を少しだけ丁寧に,かつ論理的に説明できるであろう。

WEBでの情報は断片的である。私のBlogも例外ではない。

アナログ回路に関するWEBのウィキペディアもまだ目次ができた段階である。

WEBで系統的な情報を期待するのは無理ではないか。

本当の物つくりに繋がる情報は,いまだに専門書に頼ることになる。数式を理解する能力が無ければものつくりのセンスは得られないと考える。200ページ弱にまとめた情報は著者の実力そのものを反映する。一生に一度しか書けない著作もある。

ある程度の数学的素養を期待しなければ,設計に役立つ専門書にはならない。式無しではモノつくりの技術に繋がらない。

モノつくり日本,専門書が危機に瀕している状態は良いとは思わない。本を読むことが少なくなった工学部生,本当にこれでよいのか。

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2008年11月 7日 (金)

シミュレータ4

世の中には解析プログラムやシミュレータが無数にある。

それらのソフトを使い未知の問題に対して有益な情報を得るには,それなりの素養が必要である。

そのひとつである回路シミュレータSPICEも同様である。

必要な知識・経験は,回路の寄生素子のモデリングと実際の素子/デバイスの挙動の差異である。

現実の世界では,回路システムでは温度・湿度・非線形性特性などさまざまなことが起こる。

この関連する物理現象を全て同時に扱うことのできるソフトはまだ存在していないとアナログエンジニアは思う。

解析モデルに対応した素子パラメータも結構怪しい部分がある。半導体メーカーでは分業が進んでいて,素子パラメータの抽出とそれを使う設計者との分業が進んでいる。シミュレータで得られた結果をモデルに遡ってチェックできる設計者がいなければ大きな判断ミスを招く場合もある。

解析の出発点は物性値・素子パラメータであるが,目的とする解析に必要なパラメータさえ妥当であれば結果もそれなりに設計方針の決定の一助となる。境界条件の設定方法も重要な課題である。

専門外であるが,機械系解析ツールでの境界条件設定ミスによる結果不良も枚挙に暇が無い。大学でツールの使用方法を教えるなら,そのツールの解析対象の制約もきちんと訓練し示すべきだと思う。

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2008年11月 6日 (木)

高信頼度システムの保守

高信頼度のシステムの保守は難しい。

信頼性が高ければ高いほど,保守/サービスマンの訓練の機会が減るからである。

それとともに,故障時の挙動が複雑になる傾向をアナログエンジニアは感じる。

高信頼度システムにおいて,保守要員の方はめったに出会わない珍しいトラブルに即応することを要求される。そんなこと,できるわけが無い。

適度に壊れるシステムは案外頑健なのである。サービスマンが訓練されているので即応体制が整っているのがふつう。従って大事には至らない。超高信頼システムでは,保守要員の訓練が難しい。実地訓練の機会が少なく,かつ,トラブル時のシステムの挙動が良く見えないからである。

壊れないシステム,高信頼システムを目指すと必然的に,そのシステムはブラックボックス化する傾向にある。

読者の皆さん,多分理系の方が多いと思うけど,ご自身が使っている計測器の原理,データ処理システムの原理や信号処理のフローを理解していますか。装置のどこかが壊れたとき対応できますか。アナログの世界は極力ブラックボックス化を回避する必要がある。

必要なら製造設備の,計測装置の内部にまで立ち入って探求するのが,アナログの世界ではないか。

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2008年10月28日 (火)

本質安全

労働安全の分野でしばしば使われる言葉,本質安全。

不安全状態が極めて低い確率でしか生じない装置,環境を本質安全と呼んでいる。

電気・電子機器を極めて低いエネルギーレベルで動作させれば,爆発性ガスが存在しても着火の危険性が極めて少なくなる。これが本質安全防爆の基本理念だとアナログエンジニアは考えている。その基準は多数回の実験により定められ,もっとも危険な状況で10^-6~10^-9の点火確率が多重故障下において実現されている。

一般的に不安全事故を生じさせないロジック/論理はある事象が起こらないという「否定の証明」である。否定の証明は難しく,しかも前提を設けた上での論理構築になる。

「本質」という言葉は軽々しく使うべき言葉ではない。「絶対」という言葉も避けなければならない。「全て」もそうだ。ひとつの例外?が存在すればその論理は否定できる。

世の中には,絶対的に,全て,本質的に, という言葉を使いたがる上司も残念ながら多数存在する。これらの言葉は,自分の技術者生命を賭けて使うべき言葉であろう。

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2008年10月23日 (木)

素子モデルと式

多くの工学では,基本的な物理・化学の現象を表す式を元にして現実の課題を式として表す。この表現式を用いて,戦略を立ててシミュレーションや実験,試作をおこなう。

基本的な物理・化学現象をあらわす式は数多くあるが,極めて高い精度で成立するものもあれば経験則に近いものもある。

電磁気現象に関する公式はかなり良い精度で成り立つものが多いと感じている。

電子回路では,素子の数式モデルから出発し,キルヒホッフの法則などを用いて文字係数のまま多元連立方程式を解くことで,回路特性を公式化する。

この過程で,私は移項の失敗や各項間の次元の不一致などかなりの頻度で生じる。(中・高校レベルのミス)

この対策として,より簡略化したモデルで予備計算を行い,次に本番の計算をおこなったりする。複雑な課題では同じモデルを使ってシミュレーションで解の妥当性を確かめることもある。

次の段階は試作となる。アナログ回路ではたびたび予想外の現象が生じる。回路のダイナミックレンジの端や負荷駆動能力の限界付近での予想精度は線形領域より劣るので,その挙動を現実の部品を用いて種々の側面から検討するのだ。そして,予測と現実の偏差をもとに,さらに詳細なモデルを構築していく。この繰り返しである。

確実な式の変形能力,結果の見やすい整理方法などは,経験で培った。

式は強力であるが,定性的説明に比べると凝縮された結論であるがため実感が湧くまでには,種々の数値を与えて自分の感性となるまでアナログエンジニアはケーススタディを行う。

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2008年10月10日 (金)

センサエレクトロニクス

センサは今では電気的信号をデジタル信号処理が可能な形態で送出することが多い。

センサそのものは,人間の五感に代わって測定対象から物理・化学的過程を経由し多くは電気量の変化をもたらす。

多くのセンサは,磁場や電場あるいは適当な温度を与えて動作する。場合によっては,センサを電子回路の負帰還ループに入れて信号の前処理を行う。

このような操作を行うのはアナログ電子回路であり,センサエレクトロニクスと呼ばれる。

センサエレクトロニクスは多くセンシング場を形成するための励起回路部分と,微弱信号増幅部分とからなる。

センシング回路を構築するためにはセンサそのものの検出原理を十分理解する必要がある。さまざまな効果や現象を理解し,かつセンサとデジタル回路の狭間の中で最適解を見出すのがセンサエレクトロニクスである。

しかし,その回路をアナログ回路システムとして構築する技術者は払底し,センサエレクトロニクスを教えることのできる教師も激減している。そして,さまざまなセンシングシステムが次第にブラックボックス化している。この状態でよいのだろうか。身の回りにはさまざまなセンサが使われ,センサエレクトロニクスを経由して便利な機器が使われている。

便利な機器が溢れかえっている現在,ブラックボックス化しつつあるセンサとセンサエレクトロニクスあるいは物理・化学現象まで遡ることのできる人材の育成は国運をかけての急務であると考えるアナログエンジニアである。

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2008年10月 1日 (水)

不確かさ

測定には誤差がつき物である。

測定値の値は,使用する計測器に依存して,国家標準との差異を生じる。

高精度で校正された機器を用いるなら,それは2次的標準として使用できる。

アナログエンジニアは電圧・抵抗・質量の0.1%以下の標準を自宅に備えている。

複数回,上位の機器と校正の機会があれば,自分の使用する計測器と国家標準との系統的偏差を調べることができる。

通常使用する電気計器は国家標準と1%程度の差異を生じている。温度依存性や経時変化は使用する機器の部品に依存する。

DC電圧標準で言えば,確度0.03%クラス。

抵抗なら0.01%クラス。金属箔抵抗の高級品をあるピッチでそろえている。

それらを元に基準電圧発生器を自作している。確度0.01%程度,温度係数5ppm/℃程度のものである。

アナログエンジニアは4桁以上の測定値は,測定機器や測定条件を明示されない限りその値を信用しない。さまざまな誤差要因が存在するためである。

0.1%を越える測定は簡単ではない。アナログが介在するためである。デジタルで言えば12Bit分解能からそろそろ確からしさの問題が付きまとう。大学で機器測定の誤差や測定原理を教えることが少なくなっていることを憂う。

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2008年8月25日 (月)

家庭用空気清浄機

居間に小型の家庭用空気清浄機を置いている。

D社製のもの。洗浄ランプが点燈していたので,取扱説明書に従って作業開始。

イオン化部,放電部は中性洗剤で1h漬け置き,流水洗浄,ふき取り,流水洗浄,さらに清水で漬け置き,陰干し乾燥の手順で行う。

初めてストリーマ放電部の構造を見た。放電部は針電極 対 平面電極だが平面電極の材料は良くわからない。プラスチックで覆われた金属かも知れない。針電極は合計4本あるが,1本曲がっていたので綿棒で修正しようと試みたが,折れてしまった。タングステンかもしれない。

イオン化部は網電極と,0.1mm前後の細いワイアの線状電極。

大きい部品があり温水が必要なので,浴槽で作業した。

以上の作業は購入してから初めてである。(3年くらい)取り扱い説明書には丁寧に記載されているのだが,細い線や針電極が繊細なので細心の注意が必要だ。その分,脱臭・集塵効果は高い。

線状電極にはカーボンがびっしりと付着していたし,網電極はこげ茶色にさまざまな付着物があった。

それにしても,高電圧放電装置を家電品に良く組み込んだものだ。ちょっとデリケートなメインテナンス作業がいるが,効果は抜群と思っている。

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2008年8月19日 (火)

螺旋

工学では,エンジニアの一生のうちに形を変えて幾度か同じ課題に出会うことが多々ある。

一度はその問題を回避する形で設計しても,回り回って数年後にその問題に直面して,逃げずに解決を迫られることがある。

このような問題は,その分野の基本的課題であると言っても過言ではないと思う。

そして,モノつくりでは,このような問題の解決方法は中堅の方もベテランの方も取得しておかなければならない。アナログ回路教育での課題にもなる。

私の場合の一例には,プッシュプル自励発振回路がある。

その転流を決める条件と,起動時の挙動の追跡ができていなかったのだ。

この点が理解できるとともに,効率を低下させることなく同じ半導体素子で発振周波数を1桁UPを実現できた。飽和形自励発振回路は高周波化には不利とされ,通常,数kHz以下で使用されることが多いが,動作機構の理解とそれに基づく設計式ができると,それなりの定数選択により100kHzを越えてのDC-DCコンバータが実用になるのだ。

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2008年8月11日 (月)

アナログ回路の使命1

精密アナログ回路の使命は,いまや物理/計測の世界の信号を如何にきれいな形でGND基準の数Vの電圧信号に整えてADコンバータに引き渡すことにあると思う。

センサの多くは,励起電力に依存した信号を出力する。

センサ入出力関係は,定電圧励起,定電流励起,出力依存性のある電圧励起などの励起方式でも変わる。

出力される信号は,電流,電圧,位相などに計測情報が埋め込まれている。

このような信号を効率よく検出する信号処理系の基本がアナログ回路である。このようなアナログ回路は現実世界,物理・化学世界と深くかかわりを持っているので,デジタルの世界のようにアルゴリズムで表現することはかなり難しい。

センサの関係するアナログ回路では,素養として,どうしても大学レベルの物理・化学の知識が必要となる。

しかも,アナログ回路では,連続量を扱っているにも係わらず,結果はあるレベルを超えなければ意味を成さない結果0,1の世界である。

デジタルの世界は0,1で表現されているが,結果は案外連続的である。できるできないの問題に直面することは少ないように感じている。

結果0,1の世界では,新人,ベテランに関係なくある水準をクリアしなければ製品にならない。それだけに,新規参入が難しい世界となっている。この壁を新人,中堅に乗り越えさせるお手伝いをするのもアナログエンジニアの使命であると考える。

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2008年8月 2日 (土)

長寿命サークライン

居間のサークライン蛍光灯を一斉に交換した。

天井灯なので案外交換が厄介で,机を移動させて長めの脚立を使う。

蛍光灯の実寿命には,ばらつきがあるので色もまちまち,切れたものや風前の灯の物がある。

全部で5灯×28W。5灯とも長寿命と称するサークラインに交換した。

今回は,少し高価だが長寿命を売りにしている製品を購入した。

通常品:定格寿命6000h 高グレード品:9000h そして長寿命品13000hと称している。

定格寿命を80%光量になるまでの時間と定義しているので,実寿命はもっと長いものと期待したい。

1日10h点燈(居間兼仕事場なので)として1300日,3-4年は大丈夫だろう。

一般に高信頼度や長寿命は製品として付加価値を付けて売りにくいのが通例である。すぐには結果が出ないので,ふつうの消費者はこれまでそのような製品を買いにくかった。このような製品が堂々と平積みで(流通業では売りたい製品を平台の上に並べて売るのです。本も同じ)

結果は3-4年後にでる。そのときに,まだこのブログが継続できていて「蛍光灯その後」の記事が書ければよいなと考えているアナログエンジニアである。

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2008年7月20日 (日)

車のリモコンドアロック

_2334 車のリモコンドアロック,A自動車会社製のもの複数車種で不具合がある模様だ。

写真は,そのリモコン鍵である。この形状を見ればどこのメーカかはユーザーの方であればわかる筈だ。

不具合状況は,鍵のリモコンボタンでドアロック操作を行うと,数秒後,時たまドアロックが解除になる。私の知人で3名以上の方が経験している。

ディーラーのサービスに伝えた方も複数いるが,サービス工場では不再現なのでまともには取り合ってくれないらしい。

治安の悪い国であれば,リコールを要する生命に係わる不具合についで重大な不具合だと思う。

私の知人だけでも同一不具合を経験しているので,全国では1万台あるいはそれ以上の台数で生じている不具合である可能性が高く,製造メーカもこの現象を把握していないことはありえないと考える。サービス工場の対応の仕方から,この不具合を無視するマニュアルが存在するかも知れないとかんぐりたくなる。

この手のリモコン装置は送信機(鍵)と車載受信機からなり,車載機には鍵のコードと4ないし5のドアロック機構の駆動回路があると思われる。状況から見て,鍵側のボタンの2重押しは考えにくいので,何らかのシステムバグの可能性もある。

A自動車会社の対応には,不誠意を感じる。不具合隠しの常套手段はクレームを無視することから始まる。

超一流メーカーといえども,次の買い替え時期には別メーカに乗り換えることを考えているユーザーが多数存在することを覚悟すべきであろう。

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追記:このような経験された方からのコメントをお待ちしています。

2008年7月17日 (木)

破壊試験

私の父は金属スクラップブ回収業をしていた。

使えなくなった金属類を扱っていた。多かったのは金属の切削くずだったが,中には,半製品のままの物や,つかえなくなった機械部品のくずもある。このような金属くずの多くは,寿命を迎えた製品の姿をとどめる。

電気防食に使用した亜鉛の塊がほとんど侵食された残りくず。

キャビテーションにより侵食された青銅のスクリュー。

磨耗した大型モータ整流子。

モノが寿命を迎えたものを見て私は育った。

成長して,電子回路屋となった私は,若い頃から自分の設計したモノの壊れ方にセンシティブであり,また興味を持った。

機会があって,広い時間範囲での種々の電子部品の破壊限界を実験したことがある。

方形波で実験すると,多くの電子部品は,両対数グラフ上で2本の折れ線で近似できる特性を示す。

このような実験には強力なパルス電源が必要であるが,大容量のコンデンサバンクと大型半導体を並列接続して制御した。データ1点につき,1個の部品を少なくとも壊す。時間を一定にして,少しずつ瞬時電力を上げ破壊限界を調べるのである。

破壊限界と時間の関係が,種々の部品について知っていると,電子回路の耐サージ設計を系統的に行うことが出来る。

このときのデータはずっと昔,ある委員会で公開してあるが,今は手元にない。しかし,系統的な耐サージ設計を行うと,悪環境での不慮の事故,原因不明の電子回路の破損を防止することに大きな効果があると今も信じているアナログエンジニアである。

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2008年7月14日 (月)

データーの取り方

実世界ではデーターは再現するとは限らない。同じ条件でも時間の経過とともに変化することもある。

したがって,定数を期待する実験なら本来1個の測定で済む。しかし,アナログエンジニアは時間を置いて少なくとも2点のデーターをとる。その結果が測定精度以上に異なれば,複数個とる。データの再現性を把握するためである。

線形関係を期待するグラフは2点のデーターがあればよいが,ふつう3点以上のデーターをとる。線形関係からの外れ具合の大きさを確認するためである。通常エネルギーの小さい方から測定する。そして最高点でしばらく時間を待ち,逆順でも同じ測定を行う。測定値が過去の履歴をもつヒステリシスの有無を確認するためである。

少なくとも1個は冗長なデーターを取得し,より高次の系統的誤差を見逃さないためである。

電子回路では比較的再現性のある実験が多いが,それでも結構な頻度でこのようなことを行う必要がが生じる。

今はパソコンでのデーター処理,すなわちオフラインでのデータ処理が普通であるが,少なくとも数点は関数電卓を用いて測定しながら概算して,取得するデータ系列を考える。

間違いと思われるデータは2本線を引き,その上に再測定値を書き込む。

もちろん,測定日時,気温など(測定前後とも)を記入する。複数人で実験を行うときには,お互い復唱しながら実験を行う。

2度とできない実験や再現しない実験もあるので,このようなことが必要であろう。

このようなことは実験のイロハであるはずだが,多くの技術系新人で実践できない人が多い。大学での基礎実験でやっているはずの実験の基礎訓練は,いまはどうなっているのだろうか。

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2008年7月 8日 (火)

アナログ信号発生器

デジタル信号発生器全盛時代であるが,アナログエンジニアは今もアナログファンクションゼネレータを使用している。

理由はいくつかある。

周波数特性を測定するとき,大き目のつまみで周波数をスイープする。

大抵は,周波数特性を連続的に変えて,周波数特性のピーキングがないかどうかのチェックに非常に便利だからである。周波数連続可変でかつ手動設定なので,周波数特性のピーキングやノッチの有無を確実に,かつ好きな速度でスィープできる。

オールデジタルならかなり細かくスィープステップを設定しないと見逃すことがある。またデジタル方式は設定項目が多いことと操作の機種依存性が高いこともあり,使い勝手が機種ごとにかなり異なる。

異常な挙動を示す周波数が見つかったら,すぐにその設定のまま振幅を変更することもできる。

アナログFGは価格が安いので,最近は国産品が少ない。

アナログFGは,仕様的にはデジタルに敵わないが,その操作性故に大局的な見落としを回避できる可能性が高い。

手動・連続・高速スイープができ,ワンタッチで振幅・波形も変更できる。

40年前,私が新人であった頃,ねだって買っていただいたFG,N社製のウィーンブリッジ発振方式のFGで,前面パネル1杯の大きな周波数ダイアルある代物だった。もちろん,現在はそれより性能は向上している。

アナログ回路設計には,今もアナログ計器も必要であると考えている。

周波数特性測定の段階で,大きなピーキングを見逃したら,その後の測定は大抵意味を成さない。

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2008年7月 7日 (月)

回路屋の新人

最近の回路屋さんは,デジタル中心でアナログを片手間にという方が,ICを使って組む回路分野では一般的であると思う。

では,アナログ回路の力量は?といえば

過半数が心もとない。

キルヒホッフの法則を用いての解析ができないケースが多いのだ。

文字係数のまま,回路の入出力関係を求める。アナログ回路の基本的な解析作業だ。ここから回路定数の決定作業が始まる。この作業ができないので,動く回路の実定数を欲しがる,その決定手順を欲しがる。自分で解かせれば,多くの符号のミス,移項のミスが発生するのが普通である。

キルヒホッフの法則を使う際,電圧・電流の向きの取り方を順次,「自分で決めてる」作業が伴う。これは本来機械的に決めればよいのである。その際,抵抗においてポテンシャルである電圧の向きと電流の向きが同一になることがある。

この場合,電圧Vと電流Iと抵抗の関係は,V=-RIとなる。案外これができない。

小学校・中学校の理科では,電池と抵抗を使い,電流の向きを意識させない授業が多い。高校物理では電磁気学やコンデンサなどの後半部分までたどり着く人数は,進学校でもそう多くない。

こんな背景もあり,アナログエンジニアが新人教育を行う際には,オームの法則の向きを意識することの重要性を強調し,キルヒホッフの2つの法則を符号ミスが出にくい方法で説明する。

解析できる部分は解析し,戦略を立てる。解析できない部分は腕力で,実験で要所を確認する。当然の工学的選択である。

こんなとき,幼い頃に竹とんぼ,自分の作った竹とんぼが良く飛ばないときに,自分なりに色々試行錯誤したときの思い出がよみがえる。そのものつくりの経験が回路定数選択に今も生きている。

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2008年6月10日 (火)

差動変圧器LVDT

差動変圧器は古くからある電磁式位置センサで,電気マイクロメータなどにも使用される。

日本語よりも,英語表記のリニア(L),バリアブル(V),ディファレンシャル(D),トランシフォーマー(T)の略語が,その動作をよく表している。

ソレノイド状に巻かれた1次コイルの中心部にフェライトコアがあり,そのフェライトコアは1次巻き線より短い。センサとしての2次巻き線は軸方向に2分割されていて,フェライトコアの変位に応じて,2つの2次巻き線に誘起電圧がでて,その差を原初信号とするのである。

磁場を経由して,差信号が生成されるので,2次側には1次コイル印加電圧と同期した信号が出るわけではない。

また,構造的に工夫すればフルスケール1mmから10cm程度までをカバーできる。

2次コイルの振幅差を見ている限り,電気的原点を頂点とするV字型の出力特性になる。

アナログエンジニアはそこで考えた。

磁場センサなら定電流正弦波駆動,2次側は整流後引き算を行うか同期整流しかない。

1次側定電圧駆動なら,その抵抗成分を考慮しなければ,周波数が多少変動しても出力変動は少ない。

問題は同期整流の基準位相をどこから得るかである。

私は,2次側から同期信号を生成した。これにより,1次側のL成分とR成分に依存する位相ずれの問題が解消できた。

電磁センサの弱点である,入出力位相の問題を解決できたのである。

正弦波定電流励起と,2次側同期方式の組み合わせで,安定な信号を得ることができた。

この判断を下す際には,1μm単位での10数mmまでの特性を,治具を使って取得した。30年前の話であるが,今も私のLVDTを使った圧力センサが実プラントで稼動しているらしい。

電磁センサには種々のものが存在する。耐環境性がよく,汚れにも非常に強い。

当時の上層部からはLVDTを心臓部に使うことに,強い反対が在ったが,基本実験により自信を持って短期開発に取り組むことができた。着手から半年で,特殊な耐環境性をもつ圧力センサを構築できた。電磁センサはある程度の特性解析が可能であることと,材料の信頼性を再確認する必要が無かったことが幸した。

基本電磁センサはそう多くないが,ひっそりと,シズテムの重要部分に使われている。電磁センサとはそういうものである。

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2008年6月 9日 (月)

マトリクス

マトリクスという名の映画がある。2作目まで出ている。

首筋に付けたプラグ経由で,人間と,CPUが生成したバーチャル世界を結び,そのバーチャル世界での戦いを描いた物語である。

SFの世界である。

コネクタ経由で人間の全感覚と相互リアクションをもつシステムが近未来に出現するとは思えないが,モデルベースで表現できる世界はその時代の最先端技術よりかなり劣る。CPUで生成する画像,刺激はそこはかとなく現実感がない。

たとえば,双眼鏡で遠景を見て,一粒の砂を手に取り,それを顕微鏡観察すればどうなるか。その人が走査電子顕微鏡を使って観察するなら,対象物のモデルははどうするのか。透過型電子顕微鏡では,原子の格子像が見える。そのボケ具合をどのようにして表現するのだ。原子1個1個の挙動まで,初期値を与えて膨大な計算をするつもりか。このような場面では,CPUはかなり当てにならないだろう。

マトリクスはSFの世界で在るから,それはそれとしてエンターティメントの番組として受け止めればよいが,現実の世界ではそうも行かないであろう。

私の身近な例では,アナログ回路シミュレータ:SPICEのモデリングがある。

デバイスのモデルパラメータが現実と合っていなければ,その時点でその解析は無意味となる。

しかし,たとえば,トランジスタでありさえすれば,妥当な結果を得ることのできる回路も数多く存在する。

だが,ひとたびデバイスの性能限界に近い解析を行おうとするなら,SPICEのモデリングの内部情報を知らねばならない。トランジスタ1石の回路であっても,実回路に合わせてパラメータチューニングをしなければ現実に合わない場合もある。

測定方法も含めての理解なくしては,CAEの威力は発揮できないだろう。

たかがCAE,されどCAE,モデルが予測する現象は起こりうると考えるアナログエンジニアである。

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2008年6月 3日 (火)

電源システム

電源システムの言葉を聞いて何を想起されるだろうか。

大本の電源(電力)は,火力・原子力・水力発電所であり,そこで発電された電力が工場,家庭に供給されている。

潮汐発電所と地熱発電所以外はおおむね,素人向け以上のプラント見学をしたことがある。

原子力:起動に時間がかかる。放射性廃棄物の管理は不確定,ウランの残存資源量はそれほど多くないが,非核分裂性のウランに中性子が吸収されるとプルトニウムができる。扱いはウランより難しいとされているが,このプルトニウムを燃料として使えば,当面は残存資源量を気にすることは無い。基本的に建設材料以外には炭素を出さない。低炭素社会への適合性が高い。

火力:一般に熱効率が高いが,いかんせん排出ガスの問題が残る。LNG火力ではすでに効率50%を越えている。

石炭火力はもっとも安価に建設できる設備とされているが,日本では排ガスの脱硫・Noxへの対策が必要となる。

起動に必要な時間は以外に短い。毎日起動,停止を行えるレベルで,冬場に効率が上がるのでLNG火力では,冬場にメンテナンスされる場合が多い。

水力:起動時間が非常に短く,炭素排出はほぼ0である。水源の立地に制約があるので,最近では,深夜電力による揚水発電所の出力が主流を占めていると聞く。

風力:風任せで最大設備容量に比べて平均的発電量は少ない。しかも秒単位で発電電力が変動し,他の発電システムと電力送電網に負担がかかる。

太陽光発電は,政府の施策によりドイツではかなり普及した。風力よりは安定な電源であるが,分散型電源であるので,電力網に送電するには意外に費用がかかる。

種々の発電装置をミックスして当面は少しでも低炭素化して欲しいものであるが,厳しい情勢であろう。

安全装置が不調のまま運転するなどとんでもない話であるが,新潟地震での原発停止・点検は素人ながら妥当と印象を持っている。

私は原子力に対して中立的立場であると思っているが,それでも原子力施策・運用の透明性を向上させ近未来のエネルギー確保を願う。

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2008年5月31日 (土)

希少金属

おなじみのところでは,コネクタに使われる金(Au)がある。べた金接点では1接点当たり数mgの金が使用される。接触する部分のみニッケル下地(Ni)に金を付ける技術により,その使用量は各段に減少したが,プリント基板に含まれれる金は鉱石に匹敵する。

白金(Pt)は触媒作用により,自動車の排ガス浄化に使われている。私が学生の頃には,確か金と白金が同程度の値段であったが,今は白金の方が格段に高い。同属元素のパラジウム(Pd)も高くなっており,保険での歯科材料に使われることが少なくなった。

ネオジウムやサマリウムも強力な磁石の原料で,小型永久磁石モータに必須の金属材料である。

すこし,マイナーのところでは,透明電極に使われるインジウムがある。

希少金属ではないが,銀もそのうち高くなるのではないかと考えている。鉛フリー半田の主原料のひとつであるからだ。

蛍光体といえば,希土類の元素を私は想起する。ブラウン管カラーTVに使われていたが,資源が枯渇する前にLCD方式に変わった。

難削材を削るには,タングステンやコバルトを含む超硬合金の刃具が必要である。

これからの物作りは,少し規模が多くなれば残存資源量に配慮した製造プロセスも必要になるのではないか。

日本はさまざまな希少資源を使っているが,これまで資源の回収が十分であったとはいえない。

今後の工学教育においては,「資源」と「リサイクル」の視点のある教育も必要ではないか。

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2008年5月15日 (木)

データーシート

いまでは部品のデーターシートを,インターネットで容易に入手することができる。

電子部品などでは必要な部分を型番検索で,ヒットさせることもできるし,製造者のサイトに入り要求事項を入れると部品の候補が瞬時に出てくる。

しかし,データーシートを読みこなして部品を使っているかに関しては,かなり心もとない。

使用条件がゆるければ,最大定格にだけ注意して選択すれば事足りる。

しかし,使い方が厳しいければ,データシートを隅々まで読む必要がある。

昔は,大口の顧客の立場で無い限り,紙ベースの分厚いデーターブックを有料で入手する必要があった。

当時は,データブックの初めの方にさまざまな注意事項や,使用事例,仕様の測定方法が記載されていた。現在は,意識的に「ご使用上の注意」の部分を読まないと,シートの読み方もわからない。

データシートを読みこなすには,どのようなパラメータが自分のつくろうとしている回路のどの特性に影響しているかの解析あるいは感覚が無いと難しい。

記載されたパラメータは,保証されている項目と例示されている項目がある。例示されている項目の特性は設計者自身の責任において,その挙動を掴んでおく必要がある。

データーシートを読めない(どの程度読めないかの問題はあるが)エンジニアは中堅クラスでも珍しくはない。

そういう私も,トランジスタのデータシートを自信を持って読めるようになったのは,30半ば過ぎからであった。

試験回路を組み,多数の部品のばらつきを調べたこともあった。

データーシートをよく読めないからといって,嘆く必要はない。しかし,厳しい条件で使用する部品の選定に際しては,問題とする項目について自分でもその影響を調べて必要があるだろう。

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2008年5月13日 (火)

位取り

_2192 ←庭の片隅に咲いたオダギリ草。別に手入れしているわけではないが,咲くエリアが広がっている。

大きな数と小さな数の乗除算の暗算は,エンジニアにとって生命線のひとつであると考えている。

計算尺の時代には,頭の中で桁を処理していた。その頃は,2桁×2桁の演算結果を有効数字2桁で道具無しに計算できた。

暗算による概算は検討すべき現象の尺度を決め,より精密な解析・設計計算を行うか否かを判断する重要なプロセスのひとつであると思うアナログエンジニアである。

もちろん関連する物理・化学現象の知識も必要になる。

オーダーエスティメートをした上で,私は出あった工学問題をなるべく簡単なモデルから検討を始める。そのモデルで現象の説明がつけば,より定量的な検討に入る。基本的に高校物理+αの知識を総動員して,何が支配的な要因であるか調べるのである。

アナログ現象は多岐に亘るので,この段階で見落とした現象があると,数年,10数年後にやっと問題の本質に気付くこともある。

概算は,何が不足している情報なのか知る手がかりにもなる。

逆に,種々の条件が提示されている場合の数値は,自分が使う条件下で同様の数値とは限らないと感じる。部品のデーターシートも同様である。条件をきちんと提示して測定の構成を示しているデータはそれなりに信用できる。

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2008年5月 7日 (水)

技術の伝承雑感

技術・技能の伝承は,伝える相手の向上心なしに成り立たないであろう。

その裏返しが,技術・技能は盗むものであるとの表現に繋がる。この執着心,向上心が多くの若者に無いことが多い。

技術は急速に発展・複雑化してきている。マニュアルも整備されつつあるが,それでは明日の技術に繋がらないのではないか。基本的概念無しに,計測技術を知らないで工学技術の進歩は無いが,現在の技術はどこかのレベルでブッラックボックス化して考えざるを得ない状況にある。しかし,ひとたび基本的な問題が,表面化するとブラックボックス化するレベルを次第に下げて検討を深めることになる。

旧来の基本的な物理現象や工学問題は,学術的研究対象にはなりにくいし,各メーカーにおいても最先端の技術が華やかで,その分野をやらないと出世の可能性は低くなる。

その一方で,ここ数年,小中学校では考えること,学ぶことに再び力を入れ状況は改善されてきているが,ここしばらくは大学のレベル差は拡大すると感じている。高校物理を学ばないで,工学分野での新規なアイディアの創生やCAEツールの限界を知った上での使いこなしも難しい。

アナログエンジニアは,高校物理を入試に課さない大学を信用していない。あまりににも,基礎的概念が不足しており,本来高校で学ぶべきことを大学で教えざるを得ない状況になるためである。

日本には資源も無く国土も狭い。人口も1億と少々。

これからの近日未来は,資源の高騰とグローバルな人的資源のせめぎあいが続くと感じている。

人口でいえば,数億人を越える何カ国が教育に力を入れている。放置しておけば,それでなくとも創造力を発揮するする世代が少子化により減少している。日本は,日本の10倍の人口から選抜された優秀な,向上心の強い国に伍していけるのか?教える側の力量低下も当然問題になろう。

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2008年5月 1日 (木)

入門と実践

大抵の工学は入門があって,次はいきなり実践となる。アナログ電子回路もその傾向が強い。

基本的な回路の設計手順までは公開できるが,実製品の設計手法の詳細はほとんど明らかにされることはない。

慣れてくれば,実回路らしき定数入りの回路図では多くの場合,急所の部分の考え方,定数がさりげなく秘匿されていることがわかる。当然のことである。競争の中で製品を造るポイントは,企業にとって生命線なので,エンジニアにとっては永遠の守秘義務を持つと考えている。

教えてもらうことが当然と考えるエンジニアは,お金を出して学ぶ立場と,給料を貰って仕事する立場の相違がわかっていないと私は考える。この部分はどのように考えて,どのような実験をし,どうまとめるかは疑問をもち課題に気付いた設計者自身が周囲の情報から判断し,本来,解決すべきことである。

お金を貰う以上,プロなのだ。そこにはアマの世界とは異なる世界が果てしなく広がる。技量が上がれば,より未知の地平が見えてくる。

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2008年4月25日 (金)

計測とセンサ

最近では,きちんと計測工学を教えている大学は少ないようである。

計測原理とそれに伴う誤差要因,計測誤差まで考慮して計測値を扱える人がごく少数派となった。

計測なくして科学はない。

インターネットで検索しても,きちんとした説明を行っているサイトにもほとんどヒットしない。

そして,いまやデジタル表示でPCにデータを転送できる機器が好まれる。

工学者なら自分の制作,設計した機器の仕様とその確からしさは把握している。筈だ。

しかし,その機器に使われているセンサの原理や性能限界を知っている方は,稀である。

自分の扱う機器がばらつきがあるなら,その中に使われる部品やセンサにもばらつきや経年変化があることは承知すべきであろう。

MEMSが華やかなセンサの時代であるが,センサのおかれる環境,校正周期,精度などの関係から,それぞれの分野では今も古い原理の枯れた技術が重要部分には使われている。

学術は新しいことをやらないと論文にはならない。しかし,センサ・計測技術は泥臭くかつ長期的視点での根気を必要とする技術体系である。そして,多くの電気的出力を有するセンサ/計測器ではデジタル化の前にアナログ的信号処理を行っている。

アナログ屋は,現実世界とでデジタルを結ぶ架け橋でもある。当然,物理・化学の周辺知識も必要となってくる。アナログ電子回路のみがアナログ屋のお仕事ではないのである。

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2008年4月16日 (水)

マレージング鋼のボルト

マレージングン鋼(maraginng steel)とも呼ばれ,Ni,Coもかなり含まれるので,高価である。

100kg/mm2を越える高張力材料である。通常の鉄合金は20kg/mm2以下で使われることが多い。

マレージング鋼製のボルトが実際に使われた形を見たことがある。

ふつう,フランジとボデイの固定には通常の高強度鉄材料のボルト・ナットが使われる。

サイズにもよるが,固定部にはボルトの頭が接する位に周辺に並ぶ。しかし,マルエージング鋼製の物では,低圧に耐える設計の物とほとんど変わらない。フランジ厚さに比べてボルトサイズが異様に小さい感じがする。

機械的強度設計の際に強度設計を間違えて,互換性を保つためフランジを厚くボルトを超強度材料にマレージングにしたらしい。

通常の最適設計の機械構造を見慣れていると,物性値が数倍高い材料を使った製品は異様な感じがする。高強度部分の寸法が,違和感を覚えるほど異なるのだ。

このような材料は一般的に,原子力,航空機用途の要所に使われていると聞く。

アナログ電子回路においても,違和感を感じる回路構成の設計にも時々出会う。

このようなときには,特殊部品が使われているかどうかを良く見定める必要がある。

世の中,探せば特殊な材料,特殊な部品が存在すると感じるアナログエンジニアである。

日本では,様々な部品・材料が手に入る。これが日本の国力の一端であると感じる。

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2008年4月 9日 (水)

回路シミュレータ

電子回路の回路シミュレータは,米国カリフォルニア大学で1970年頃に開発されたSPICE(simulation program with integrated circuit enphasis)から派生・発展したものが多く使われている。

その名のとおり,アナログ集積回路の試作回数を少なくするために開発されたが,モデルベースで電子回路の特性を調べるツールであることには今も変わりがない。

回路シミュレータは,ある程度の部品,半導体デバイスの数式モデルを理解した上で,間違っても良いから設計定数を決めることができる能力がないと使いこなせない。

個別部品で組む電子回路の場合には,目的に応じて半導体デバイスのパラメータを設定する能力も必要である。たとえば,バイポーラトランジスタモデルでは30項目以上のパラメータを設定できるが,解析目的に応じて影響する数個のパラメータさえ正確に設定できれば,かなり実回路に近い解析が可能である。

そのためには,解析まえにどのような回路挙動をするかある程度予測して,その目的に関係するパラメータを把握した上で解析条件を設定し,目的とする測定点を定める必要がある。

回路シミュレータが威力を発揮するのは,手解析で可能な規模を遥かに超える回路やインダクタンスや容量が多数含まれる回路を扱う場面である。

以前は大型計算器上で動作していたが,現在ではパソコン上で結構快適に動作する時代になった。シミュレータは設計能力なくして有効利用は望めないが,手解析では困難な回路起動時の挙動などビジブルに把握することもできる。

いまや,電子回路設計においては,不可欠なツールであると考えている。しかし,過去に一部で喧伝されたようにエンジニアの設計能力に関係なく意味のある解析ができるツールではない。

力のあるエンジニアの能力を最大限に引き出すのが,この手のツールであると私は感じている。

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2008年3月28日 (金)

電磁センサ

鉄と銅と絶縁物で構成できる電磁センサは,現在においても信頼性を必要とされる分野で使われている。

産業や交通に係わるセンシングに使われ,MEMSのように華やかではないが重要な部分に活用されている。

トルクセンサ,角度センサ,変位センサ,液面計測,近接センサ,流量センサ,電流センサ等々。また,基本量の測定を応用してたとえば圧力センサにも使われることがある。

電磁センサの特徴は,汚れや悪環境に耐える設計が容易である。 500℃の高温に耐えるセンサもあれば,油にまみれてもそこそこに計測できる。センシング精度も次第に向上してきている。

最近では,センサ関連の書物にその原理が紹介されることは少なくなっているが,測定原理が単純で比較的環境変数の影響を受けにくい。

電磁気学といえば,多く一般論から入るが,工学部なら,このような電磁センサについても言及していただきたいものだと考えるアナログエンジニアである。

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2008年3月10日 (月)

水槽のヒータ断線

熱帯魚水槽のヒータが断線した。

朝,水槽のガラスの外壁に触ると,冷たい。水温計は15℃。

温度コントローラはON状態である。テスターでヒータの抵抗を測定すると∞。

電圧を測定するとAC97V。トライアックによるON/OFF制御らしい。

とりあえず,隣室との引き戸をあけ,室温の上昇を図る。

午後,交換用ヒーターを購入。今度は,100Wの物で,少しサイズが大きいものにした。熱流束を下げれば少しは信頼性が高くなるとの希望的観測。

45cm水槽なので,約40Lの水が入っている。

100W=24cal/秒なので,目標温度25℃まで10℃昇温しなければならない。水槽壁面からの放熱を無視しても,約16000秒=4.6時間掛かる。制御状態に入るまでには5時間程度掛かるだろう。

30分で1℃の昇温率だ。温度上昇率を1hモニターして放置。

ヒータ取り扱い説明書を真面目に見る。1年程度を目安に交換を勧めている。

水に濡れた状態でAC100Vに感電すれば,かなり危険だろう。前回のヒータ断線時に分解したらヒューズが切れていた。ヒューズ材料を選んで漏水時には早く切れるようになっているか,防水機能部品が劣化する前にヒューズが切れる工夫がなされているかもしれない。

設定温度の25℃に達して,制御動作を確認してこの作業は終了。

被害は16匹いるネオンテトラ1匹が昇天。

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2008年3月 7日 (金)

サーミスタ1

サーミスタは酸化物半導体で,温度測定や温度補償要素に広く使われている。

その特徴は,大きな負の温度係数:具体的には-数%あり,微小な温度変化を検出するには好都合である。

この様な高い温度係数は当然広い温度範囲では線形にはならない。

サーミスタの理論特性は下記の式で表される。

R=Ra・exp B(1/T-1/Ta)

R:抵抗値,B:サーミスタ定数,T:実温度(K),Ta:基準温度,Ra:基準温度における抵抗値

Bは単にB定数と呼ばれることもあり,絶対温度で1000~5000K程度の範囲にある。

サーミスタの理論式から,1/TとRの関係を片対数グラフ上に描くと直線関係になる。これを微分すれば,その温度での温度係数となる。温度係数は定数にならない。

温度係数α=-B/T^2である。Tは絶対温度である。

サーミスタは非常に高い負の温度係数が売りであるが,その反面,非線形な温度係数の扱いが課題となる。

サーミスタはCo,Ni,Fe,Cuなどの遷移金属酸化物の2-4成分系が使われているが,特殊なものはルテニウムなどを含ませて比抵抗を調整する場合もある。

一口にサーミスタと言っても,様々なB定数や抵抗値のものがあり,信頼性も用途も幅広いものがある。

それがサーミスタであると考えるアナログエンジニアである。

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2008年2月28日 (木)

16ビット分解能

2バイトが16ビット=65536である。逆数を取れば0.0016%である。これが16ビットで表現できる最小の単位(量子化誤差)である。

16ビットのA/D変換器は多数市販されているが,分解能と確からしさは根本的に異なる。

アナログ的には,5V程度の信号を扱うと約80μVとなる。デジタル化するとその数値を信じがちであるが,環境が変わり時間が経つに従いA/D変換器もまた変化する。

A/D変換の基準となる電圧は,通常0.01%くらいの絶対精度である。t抵抗比の温度係数は±数ppm/℃くらい。これを元に分圧して入力信号と比較するのが,逐次比較形A/D変換器である。分圧比はA/D変換器の抵抗比精度に依存する。これらは,フルスケール誤差に影響する。

その他の誤差要因もある。内部に使用するアナログスイッチの精度や増幅器のオフセットはゼロ点誤差に影響する。これらは経年的にも温度的にも0.001%に比べて十分には安定であるとはいえない。

したがって,原点(ゼロ点)も傾き(スパン)も主に環境温度と時間に依存して変化する。100℃幅の環境温度変化を許容する環境下では0.1%のかなり難しい。

0.01%の世界では,測定対象:たとえば長さの比較においては20ppm/℃程度の膨張係数を持つものが多いから1-2度変化するだけで,対象物の長さは温度をきちんと管理しなければ0.01%の不確からしさで長さを述べることはできない。しかも,長さが経年的に一定であるとは限らない。

この辺りは,計測工学の基本である。しかし,計測工学をきちんと教えている大学はそう多くは無いと聞く。

デジタル化は必要であるが,その数値に対する信頼感は相当に割り引く必要があるとアナログエンジニアは考える。

0.1%の測定値でも,どのような測定器を用いどのような環境で測定するのかが問題になるレベルであろう。

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2008年2月21日 (木)

ノーマリーオン

バイポーラトランジスタなど半導体デバイスの多くはノーマリーオフである。

制御電源が0のとき,出力がOFFであることがノーマリーオフで,制御電源が立ち上がってから出力がアクティブになる。

ノーマリーオンの素子は案外少ない。

たとえばディプレッション型接合形FETはノーマリーオンである。制御端子が0VのときにON,制御端子が負になってはじめて制御が掛かる。

ノーマリーオンの素子は起動回路などに有用であるが,パワー素子としては使いにくい。主電源投入以前に制御電源を確定しておかなければ,主電源を短絡するからである。そして主電源OFFの後に制御電源を落とす必要がある。

これは厳しい設計条件である。

ロジックの+5V系を必ず先に立ち上げ,アナログ系の+15Vをその跡で立ち上げないと過大な電流が流れる回路も存在する。アナログ系がOFFした後まで+5Vのロジック電源を維持する。

こんな電源シーケンスを必要とする回路も存在するのだ。

今も使われているかどうか,はっきりしない部分もあるが,電磁リレーなどでは,ノーマリーオンとノーマリーオフの接点があり,ふつう非励磁のときに安全サイドになるよう考慮して設計される。

電子回路では短時間のうちに経過する起動時のストレスを妥当な水準に抑制するにはノーマリオフの素子とノーマリーオンの素子をうまく使いこなすことが必要となる場合も少なからず存在する。

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2008年2月 8日 (金)

差動インダクタ

Photo_2 図は特殊環境下で液面を検知する電磁誘導式液面検出器の構成である。

電磁センサは導線とボビンと外装で作成することができるので,悪環境に強い。

設計温度は100-600℃。腐食性環境,その他に耐える。

測定原理は,一次ソレノイドと同軸に巻かれた二次コイルが,鞘管の外側の強導電性液体により短絡されることにより,その出力電圧が減少することを利用している。

その減少量はあまり大きくないので,アナログ的にA+C-2Bの演算を行う。画像処理でのラプラシアンに相当する演算である。この結果,Bコイルの中央に液面が到達したときに0信号となる。

A,B,Cコイルの範囲外に液面が存在するときにも基本的に0信号が出る。これを回避して,DC的に論理演算・マスキングを行っている。

コイルBの中央に液面が来たときに,出力電圧は0となる。ゼロは特殊な状態で,基本的に感度の影響を受けない。このゼロクロス点を検出することにより,A,B,Cコイルの全長の1/100の再現性で液面を検出することができるのである。

このような過酷な環境条件では,センサおよび回路系の調整を行うための校正のチャンスは限られている。

総ての調整が1回の液面の上下で終了するように,回路系調整機構の相互干渉を理論的にゼロにしてある。

センサは千差万別とはよく言ったものだ。私は精密電子回路を得意とするがセンサとのかかわりも深い。しかし,センサの広大な広がりを見るとき,とてもセンサエンジニアという自信は無い。

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2008年2月 6日 (水)

差動熱電対

Photo 熱電対は産業用温度計測で広く使われる温度センサである。

しかし,熱電対が本質的に温度差を計測するセンサであることは案外知られていない。

図の結線法は温度差を測る一手段である。

この結線によれば,対象温度TSと室温Taの温度差を,かなり精密に測定できる。熱電対の素線が均一であれば,TS=Taならば,電圧計への信号が0となる。熱起電力が温度差に比例しTS=Taなら確実にセンサ出力は0となる。

電子機器の温度上昇を測定する必要は多くある。そして,ふつう2CHの温度計測を行いその差をとる。

この方法によればTa接点を,室温と称する場所に設置するだけでよい。後は電圧計の性能で決まる。

ふつうの熱電対計測システムは,温度の値を相対的にではなく測定するために冷接点補償回路を備えており,ここでかなりの減算を行う。

図の構成によれば,確実に温度差の計測ができる。このような書き方をすると特許明細書の一節のような感じとなってしまうが・・・。もちろんこの方法は公知なので特許性は無いが,忘れられかけた熱電対の基本的な使い方のひとつであろう。

アナログエンジニアは,この方法で室温Taの影響を排除しながら機器の温度上昇の試験を行うことがある。

揺らぐ室温の影響を消去しながら,温度差を計測できるのである。

このような目的には,素線は熱起電力の大きな組み合わせが良い。それでも,せいぜい50μV/℃なので高精度DC増幅は必要であるが,今のICオペアンプを使えば0.05℃の分解能で温度差を検出できる。

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2008年2月 5日 (火)

商用トランス1

_1990_2 ←ようやく咲いた山茶花。我が家に30年。葉の色はさえないが花はそれなりに立派。駐車場増設の折の移植のとき,1本だけ残った。

商用周波数とトランスもパルストランスも基本は同じであると考えるアナログエンジニアである。

電子回路用トランスの場合,周波数が低くAC100Vが前提なので,一次コイルインダクタンスを大きくとることが前提である。

小さな断面積のコアでLを稼ぐには,最大磁束密度をフルに使い,巻き数を増やすしかない。トランスの温度上昇も制約になる。

商用トランスのコアの飽和磁束密度は1.8テスラ程度であり,正弦波なので,これを元に一次巻数を決める。当然,細い線を多数回巻くことになる。導線の抵抗は相対的にかなり大きく,負荷が無くとも電力を消費する。

多くの場合,コアは消磁された状態からスタートし,両ぶりの状態へ移行する。

安全サイドに考えれば,設計最大磁束密度が,起動時にコア材の飽和磁束密度を越えないように配慮する必要がある。

しかし,AC電源メーカは弱い立場なので,小形化を強要すると両振りで飽和磁束を超えないように設計する事例もあるらしい。このようなトランスは,起動の際に,B-Hループが落ち着くまで過大な突入電流が流れることになる。

電子回路でのトランスはコンデンサ整流して,直流を得ることが目的であることが多い。

一般的な設計条件では,出力VAに対し1.5倍のトランス容量(全波整流)が必要である。

トランスの仕様は,正弦波実効値で規定されている。しかしコンデンサ平滑回路においては,電流波形が正弦波ではないので,十分な余裕を見る必要がある。

商用周波数トランスなど,選択指針を持たない若いエンジニアは多いが,設計手法はそのままMHz近くで動作するパルストランスの設計にも通じるのである。

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2008年1月30日 (水)

火災報知機義務化

家庭に於いても火災報知機の義務化が消防法で規定された。逃げ遅れを防止するためである。

我が家でも5月を前にして,階段と寝室に新たに設置した。

光電式煙感知タイプで,設置の都合上バッテリータイプの品物。

日本消防検定協会 鑑定品で電池は10年持つ。

光電式検知部は蚊も入らない金属メッシュのカバーがついている。

光電式煙検知タイプは虫が紛れ込んだときや,気温の変動で誤動作しやすい。

電池はリチウム系で,設計寿命である10年間無交換で動作すると書いてある。

光源は多分LEDだろうが,電池を10年持たせるには駆動電流はかなり少ないだろう。間歇駆動をやっているかもしれない。それでもLEDを光らせて,単3サイズくらいの電池で10年持たせるにはいろんな工夫が必要だろう。

消防法に従って,我が家でも設置したが,点検アラーム音を聞く限りこの程度の音では多分私は起きないだろう。我が家の「さち」ならきっと目を覚ます。ここでもアナログエンジニアは家内に依存することになる。

原理的にはさほど複雑なセンサではないが,電池駆動で10年寿命となると設計と検証は案外難しいと思う。

検定機関は必要なのだろうが,機器性能の規定が増えるたびになんとか協会が増えているような気がする。官僚OBに頼らず性能証明の効率化を図る必要を感じる。欠陥が存在したとき,企業のその事業が破綻するような強い罰則規定でコントロールする手段もあるのではないか。

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2008年1月14日 (月)

タコ足配線

良くないとされている。使い方を誤れば過熱,最悪の場合焼損の危険性がある。

家庭内でのコンセント容量はふつう10A,特別配線で15Aというところ。

しかし,我が家ではやむを得ず2箇所でタコ足配線をやっている。もちろん,総容量はタコ足の足全部をあわせても,総容量がコンセント定格を越えないようにきちんと配慮している。余長を束ねることもしない。

最近は,少容量のACアダプタや数10Wの電気製品が多く居間に存在しているので,コンセントタップ数が足らないためだ。30W程度の電気器具なら問題ないと考えている。その代わり,熱器具の複数取りは決してやらない。1回の通電時間が長く,電流が大きいためである。その割りに導体断面積が小さいので過熱しやすいと考えている。メーカーも良く考えていて,コードは短め太めのコードがついている場合が多い。

電線は束ねると放熱が悪くなり,許容電流が数分の1に低下する場合もあるからだ。

我が家の分電盤のメインブレーカ容量は30A,サブは5系統15Aである。エアコン2台と熱器具を同時に使うとメインブレーカが先に落ちる。ずいぶん前に家を建てたので,全容量が少ないのである。タコ足配線,使い方を誤ると大きな事故に直結する。

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2008年1月 7日 (月)

ゼロとスパン誤差

計測器は被測定量yに対し,計測量yが y=Ax となることが多くに場合望まれる。計測器を作る立場からは,この理想的な関係からのずれが問題となる。

y=A’x+B の形になることが普通である。Bはふつうゼロ点誤差と称する。感度係数Aの誤差は,0-100%の信号(スパン)に対しての不確かさである。

ゼロ点誤差とスパン誤差は通常その発生要因が異なる。

電圧計測では,0信号を与えることが可能であるから,マイコン搭載計器では自動的にこの誤差をLSBのオーダーまで取り除くことができる(オートゼロ)

スパン誤差は,基準電圧や増幅器の抵抗比,負帰還量などに依存する。これらの要因はほとんどが温度の影響を受ける。

16bitのA-D変換器は今の時代,普通に使われているが,スパンの0.0015%(15ppm)が1LSBである。市販の高精度基準電圧ICは±5ppm/℃程度であるから,数度の温度変化でスパン誤差は1LSB以上変化する。抵抗も温度係数をもつ。

ゼロ点はスパンが1Vであれば15μVが1LSBであり,少し風がそよげば容易に発生する熱起電力と同程度である。

もちろん,初期状態できちんと構成されていることが前提である。

その他の外乱もあり,非線形性もある。

有効数字0.1%の測定には,それなりの計器と環境が必要である。アナログエンジニアは計測された高ビットのデーターを単純に信じるほど甘くは無いのだ。

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2007年12月31日 (月)

不等荷重

昨日は,ネオンテトラ,レッドプラティほか合計20匹の入った60cm水槽のお掃除。

魚を移動させ,70Lほどの水をポンプで汲み出し,砂を回収する。

あった! 水槽の底面にひび割れ。

ここのところ,1日1L程度水を補充していた。蒸発分にしては少し大きな量で,水槽の下部が少し濡れていた。

ひび割れは,左隅からYの字型になっている。

置いた場所の都合で,5mm厚さくらいのB6サイズの冊子で水平調整していたのが原因らしい。

魚のサイズ,匹数から一回り小型の45cm水槽を急遽購入。

その取り扱い説明書には,置き台に対する注意事項が細かく例示してある。

よーするにですね,水槽は丈夫で平らな面に置かないと破損するという注意書き。

面で支えないと,ガラスが持たない構造ということ。

冊子で水平調整したので,下面のガラスが両持ち梁の状態の力が加っていて,ちょっとした衝撃でクラックが発生したらしい。

教訓:水槽のガラスは面で支えることが前提で設計されているらしい。

この作業,年の暮れの忙しいときに半日も掛かってしまった。しかも45cm水槽は60cm水槽より値段が高かった。ミクロな災害ですら個人にとってはこの有様,大規模,想定外の事象が今年はいろいろありました。「偽」も多かった。

来年は「誠」の年でありますように・・・・。

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2007年12月21日 (金)

N700系の車窓

先日,東京までの数100kmを新幹線のぞみで旅をした。

いつものように,喫煙車両を緑の窓口で依頼したが,N700系なので全車禁煙席という。ただし,何両かは喫煙ルームがある。そこで喫煙ルームのある車両を指定した。たまたま座席は13A。わたしの拘りの数字にたまたま一致した。

往路の500系に比べて,なんとなく加速がスムーズで最高速度でのモータ音も静かである。モータと駆動システムの違いか?N700系は新鋭列車なので,以前よりかなり進化しているようだ。

シートも他ののぞみより,フィットする。シートも改良されているのだろう。

スモーカとして気になる「喫煙ルーム」は,といえば

1畳くらいのスペースに,4人程度は入れて,強力な換気が行われているので煙にまかれることも無い。その代わり自席では当然吸えないが。

つぎに目だったのは,窓際の席(A,E)にはAC100Vのコンセントが設置されていて,携帯の充電やPCの長時間作業ができるようになっている。進行方向最前列の席は,各席にAC100Vコンセントがある模様。

日が暮れて,窓から夜景をみるとなんとなく違和感がある。

光源に対し,ハレーション光が垂直方向,上下にかなり広がっており,これが独特の雰囲気の夜景となっているのだ。

上下方向に広がった光は,ぎらぎらと輝いている。最初はレーザー光などで生じるぎらぎら模様,レーザースペックルかと思ったが(laser speckle,このタームを思い出すまで20分くらい掛かった),光芒をよく見ると,光源を包み込むように湾曲した濃淡の筋が見えた。

窓ガラス?に肉眼では見えない周期的構造があるらしい。物理光学的な現象のようだ。

光源が多い市街地走行時にはかなりしつこい光芒が多数見えていた。

こんなことをぼんやり考えていたら,時間をもてあますことなく目的地についた。

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2007年12月20日 (木)

無償修理

無償修理の案内が来た。

現在乗っている車のドアロックシステムの不具合回収の葉書である。愛車は無償補償期間を過ぎている。法に定められたリコールでもない。

改修時間は3hという。意外に長い時間だ。

先日,予約をとって改修を行ってきた。

不具合箇所は,4枚のドアに内蔵されたドアロックアクチュエータである。おそらく,双安定ソレノイドアクチュエータと推定される。

本当は,改修前後のアクチュエータの構造などを見たかったのだが,礼を失すると思い言い出せなかった。

故障率も明らかにされていない。しかし,改修を決断するに足る不具合事例があった模様である。

この対応,まずまずか。

実はこの車,補償期間中に,間歇的ではあるが運転席側のパワーウィンドウの動作不具合があった。

フルシャットボタンを操作すると,窓を閉める動作の途中で再び下りてくる。ディーラーでは再現しなかった。

相手は,最初部品交換する気はなかった模様だが,このクレームを記録しておいていただこうと言ったところ部品交換してくれた。その後は生じていない。クレームを記録に残すと要求することは,そのトラブルが再発したとき,それに伴う連鎖トラブルにも責任を持てと言ったのに等しい。それで相手は即応した。

推定原因はパワーウインドウのモーターのトルクセンサの誤作動とアナログエンジニアは考えた。この手のセンサは温度依存性があるので,修理工場で不再現となったものと思われる。

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2007年12月19日 (水)

等速ジョイント

前輪駆動・エンジン前置き車(FF車)に必須の機械部品である。

ジョイントに「等速」の形容詞がついているのは,等速でないジョイントの方が一般的であるからか。

アナログエンジニアは早い時期にこの言葉に出会った。

対比すべき言葉は「ユニバーサル」ジョイントだろうか。

1W級のMGセット(モーター・発電機セット)を実験的に製作したときに,ユニバーサルジョイントの不等速運動を見た。

電気工学科などでは,通常MGセットは数kWクラスの規模でモーターと発電機特性を調べるために,教育のために使われるが,その1/数1000の規模で手作りでMGセットを作成した。

手作りなので,モーターと発電機(発電機は永久磁石界磁形DCモーター:極一般的なDCモーターに動力を与えて回転させると発電機になる)の軸あわせが難しい。滑らかに回転させるには,ユニバーサルジョイントを2個使用して,軸をなるべく平行に設置する。

このようにすれば,結構綺麗なDCモーター特性を,この規模の実験でも得られる。

では,軸が大きく斜めに配置されていれば,どうなるか?

適当な負荷トルクを与えて低い電圧で運転すると,目視と聴覚で不等速回転を確認できる。不等速運動とともに負荷トルクも変化する。もちろん,ユニバーサルジョイントでも複数の等速条件が存在することは様々な文献・技術情報に記載されている。

「等速」の形容詞がある以上,形容詞を付けなければ不等速運動が当たり前だとアナログエンジニアは考える。

形容詞ひとつで,技術的課題が表現されている例の一つが,等速ジョイントである。

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2007年12月17日 (月)

本屋の技術書コーナ

先日,東京で数軒の本屋さんの技術書コーナを見てきた。

技術書コーナは閑散としている。しかし,文芸書などの1階2階の売場結は構繁盛している。

工学系大学生や若いエンジニアが教科書以外の本を読むことが少なくなってきているためだ。

インターネット検索でうまくキーワードを組み合わせれば,無料でそれなりの情報が得られる。このために,若い人達が本を買わなくなっているのだ。断定しすぎか?

昔の専門書は概して分厚く,給料比で考えると高価なものであった。

しかし,最近の技術書は薄く,図版も多く,かつ初任給比で考えると相対的に安い。

ひとつの技術分野を述べるには分厚い本が必要だ。ひとつの分野を系統的に知るためには,学ぶ側もその本の趣旨に沿った勉学が必要と思う。

系統的な知識の不足,演習量の不足が応用力の弱さに繋がっていると私は考えている。

書く立場から言えば,対象とする読者層に対して1冊の本,しかも200p前後でまとめようとすると対象読者と内容を絞らざるを得ない。

学術の世界では論文の数がモノを言う。どこか新しくなければ,そして有用性を主張しなければ論文にはならない。ついで,質も問われる。一方,技術の世界では,ふつう社員としての守秘義務があり,自由には書けない。その結果,学術の世界でも技術の世界でも基礎理論をきちんと書ける人材,読める人材が減っていく。

したがって,基礎的,根本的な問題の解析技術や対処法は相当工夫しないと書けない。

かくして,書く側も読む側も薄っぺらになりがちである。

個人的な感想を述べると,私は「図解」などの形容詞は嫌いである。きちんと,技術要素を論理的に教えるには式や数値例が必須であると思う。執筆の目的で何冊か「図解」の名のつく関連分野の本を持って,熟読したことがあるが,冷静に辿ると多くが論理的な一貫性を欠いていることもある。素養があると,読むに耐えない本もある。

生意気にも批判的な記述をしたが,基礎力あっての先端である。これを忘れては,足腰が弱くなり大学も企業もその存在価値を未来に見出せないと考える。

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2007年12月14日 (金)

リミットサイクル

我が家の60cm熱帯魚水槽の保温状態を見ていた。

オン・オフ制御である。オンの期間は12分,オフの期間は30数分。オンの時にはモニターLEDが点燈する。

現在の気温と水槽の温度差は約10℃だから,10℃の4倍程度が温度制御可能な温度差で,保温できる最低気温は-20℃弱か。ふーむ,200Wではなく150Wヒータで十分だった様だ。

水槽の水は約70L,ヒータ出力は200Wで,水は十分攪拌されている状態だ。ヒーターのオン期間の放熱を無視すれば,オン・オフ制御の温度ヒステリシス幅の見当がつく。

計算は簡単で,水槽は70kcal/℃,ヒーター出力は約50cal/sなので,昇温時間は約1400秒/℃程度になる。オン時間の実測値は700秒なので,制御系のヒステリシス幅は0.5℃程度と予想される。

記録温度計を挿入して温度変化を観測すれば,設定温度近傍で規則的な鋸波が観測できるはずである。これがオン・オフ制御に典型的に見られるリミットサイクルである。

オフ期間を細かく解析すれば,ガラス面その他を通過する放熱量も計算できる。

寒くなってきてから,水槽の蒸発量が増加した。水をポンプで吸い上げフィルターで水質保持を行っているので,温度差の増加と湿度の低下により,1日当たりの蒸発量がずいぶん増えたようである。

真冬になれば照明用の蛍光灯の電力も含めれば,月に100kW時位の電力を使っていることになる。

水槽に入っている魚は,安く飼い易いネオンテトラなどで1匹当たりの値段は安いのだが,案外維持費が掛かっているようである。

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2007年12月13日 (木)

コメット機

コメット機は1949年就航。金属疲労破壊の有名な事例で,この公開文献に詳細が図入りで紹介されてる。

ジェット旅客機の空中分解事故として,よく知られている事例である。原因は低サイクル疲労破壊であるが,金属材料の切り欠き効果による応力集中も加担しているとされる。

高速増殖炉文殊では温度測定用のセンサである熱電対の鞘管の疲労破壊とその後の人的対応のまずさから被害を拡大した。この場合はカルマン渦による鞘管の周期的な応力と,鞘管の不連続断面形状が災いしたとの説が有力である。高速増殖炉は冷却材に金属ナトリウムを使用することにより,適度な速度で中性子を炉の周辺に配置した核反応に寄与しないウラニウムを核分裂性プルトニウムに変換できる。消費した燃料より多くの核燃料を生産できる次世代の原子炉である。

脱線したが,金属疲労の問題は一般者にとっても,たとえば遊園地のコースターの破損などで身近な話題となっている。

機械工学者にとっては,極めて切実な問題であり実用上の機器の寿命を決める。この予測を誤ると深刻な影響が各所に生じる。建築構造物の強度偽装問題など論外であるが,恣意的な設計不良はチェックされるべきであると思う。

金属構造物の破壊は物理的過去の履歴の影響も受ける。加工硬化などの要因もある。金属は化学的要因も受けて損傷する。よくある例では,真鍮の応力腐食割れなどもある。

アナログエンジニアは,機械工学に手をだす気持ちはさらさらないが,それでも物理化学現象の基本を知らない工学者の設計の危険性を感じる。いまの大学教育で何が欠けているか今一度考えてみる必要があるだろう。

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2007年12月10日 (月)

アナログリテラシー

_1983 ←昨日撮影したライラックの花。

本来は春の花と記憶している。季節を間違ったようだ。

リレラシー,私はこの言葉があまり好きではない。日本語にはもっと細分化された用語がいくらでもある。この言葉の先にアナログをつけてみた。

「アナログリテラシー」

リテラシーを応用能力と解釈すれば,その背後には生きた知識,測定技術,モデリング能力などが存在する。見聞きする現象がどのようなプロセスで生じているのか,その影響はどうなるのか・・・それを感じ取る感性も必要だろう。

アナログは実世界である。単純な予測で十分なこともあれば物理現象や化学現象が複合する場合もある。

応用力の前に,基礎知識がなければ考える種がない。それを定量化するための支配法則を見抜き,計算する数学力がなければ応用はありえない。それを無視した教育の結果が今,問われている。教科をまたがる問題,課題への対処訓練にも問題がある。

基礎学力の不足している段階で,総合学習や研究授業を行っても効果は少ないだろう。

国語力も低下しているので,数学の文章題の苦手な生徒,学生も多く存在する。アナログリテラシーは,自分で解くべき課題を表現し,それを数式化し,数字を入れて必要な精度で解き結果を求め,その意味を自己の概念にフィードバックするところに意義がある。その過程には,常に測定という作業が入る。自分の五感も測定器である。五感では定量化できない領域では測定機器を使用する。その測定原理と限界を知った上で使用するのもアナログリテラシーではないか?

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2007年12月 4日 (火)

鉄路の幅

JR在来線は狭軌,新幹線は広軌。少ないが広軌を用いている私鉄もある。線路の幅は車で言うとトレッドに相当する。

3ナンバーの車のトレッドは約1.5m。車輪の前後の間隔(ホイルベース)は2.5mを越える。小型車では,トレッド,ホイルベースともにデザインの許す限り広く取っているように見受けられる。4つの車輪で形成する四角形の面積が乗り心地の基本要素となるためだ。

狭軌は1.1m弱の幅である。一方,車両の幅は4人掛け+通路だから3m前後と推定できる。車と比較すると車体の幅と車輪の幅がかなり狭い。

カーブでは水平方向の遠心力(横G)がかかる。数年前の関西での大規模な脱線事故では,カーブでの車両の速度と人が乗っている状態での車両の重心位置が盛んに報道された。

遠心加速度はmRω^2,mは車体の質量,Rはカーブの半径,ωは角速度である。角速度ω=v/Rだから,速度の2乗で遠心力は水平方向に働く。垂直方向は下向きにmgの力が働く。この2つの合力が,外側の車輪の鉛直線上になれば,車輪が浮く寸前の状態になる。重心位置が判明しているなら,高校物理の知識でここまでの計算はできる。

本格的には,軌道面の傾斜や横Gによる人の移動の重心位置,サスペンションの状態などの解析が必要となるだろう。そこは専門家の領域だ。

ただ,カーブでの安定性が速度の2乗に大略比例することには変わりがないと考える。何km/hの速度超過が問題ではなく,規定速度に対して何倍の速度でカーブに進入し,その倍率の2乗が重要であるはずだ。

オフロード走行を想定した車高の高い車も町を走っている。車の場合には,曲がる半径が小さいので,カーブへの進入速度は十分落とす必要があろう。

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2007年11月30日 (金)

ピーク検波

_1981 ←ドウダンツツジの紅葉。夏に剪定してしまったので,色づきは今一。

隣の家の紅葉はもっと見事です。

ピーク検波方式は,簡単にはダイオードとコンデンサと抵抗で構成できる。

多くの電子回路で使われているコンデンサ入力平滑回路も,ほぼピーク検波回路と同様の性質をもつ。

商用電源は,低インピーダンスのほぼ正弦波電圧波形であるのがふつうだ。この場合には,正弦波実効値の約√2倍より少し少ない電圧がでる。実効値と片振幅ピーク値の比が√2だからだ。

ふつうの商用電源では,実効値がほぼ一定になるように制御されているので,整流後のDC電圧はこの計算で済む。しかし,実効値が決まっていても,波形が両極性方形波だと係数が1と低めに出る,三角波だと高めに出る。

安物のテスターのACレンジであれば,正弦波平均値整流を行い係数をかけて表示しているので,波形が正弦波と異なると系統的誤差がでる。まじめに2乗して平均値を求め開平しているタイプでは,真の実効値が得られるが,パルス波形だと回路系のダイナミックレンジが問題になる。

ピーク検波方式は立ち上がりが早く,立下りが遅い回路形式なので,立ち上がりの期間中その分だけ定常状態に比べて多い電流が流れる。

小容量のトランス結合コンデンサインプット整流では,トランスの抵抗成分に救われて突入電流は許容範囲に入ることが多い。しかし,大容量のSW電源では,なにもしなければ商用電源の波形に影響を及ぼす突入電流が流れるので,一般に高調波電流抑制のための回路を備えている。

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2007年11月29日 (木)

アナログ回路とセンサ

アナログ回路の大きな役割のひとつとして,センサとデジタルのインターフェースがある。

最近のセンサは,物理量を最終的に電気信号に変換する場合が多い。センシング原理もセンサの置かれる環境も千差万別である。多くのセンサは対象を測定するために,励起を行う。この励起回路システムもアナログ回路が分担する部分である。使用するセンサ材料の物性の多くは温度依存性がある。この温度依存性を消去するために温度計測し,主信号を現地で補正することも行われる。温度補正なしにセンシングできるに越したことはないが,強い温度補正を行うセンサも数多くある。

センシング場を形成するために,数100Wの電力を必要とする場合もある。

センサとデジタルとのインターフェースにアナログ回路が介在する場合,アナログ回路設計者はセンサの素性を良く知らなければならない。そして,給電可能な電源に配慮しつつA-D変換可能な信号形態にまで変換することが望まれる。

このような場合,アナログ回路屋は,入り口も出口の仕様も与えられるのではなく,センサインターフェース条件,デジタルインターフェース条件,電源条件を考慮して,ひとつのアナログシステムを構築する。

ブラックボックスとして扱うレベルが,より物理世界に近づいてはいるが,アナログシステム構築ではSEとしての感性が求められる。システムエンジニア=SEの言葉は,ハード,ソフトを問わず大規模システムに携わる方を指す場合が多いが,現実のアナログエンジニアにもSE的感覚が求められている時代になっているのではないだろうか。

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2007年11月19日 (月)

使命達成率

使命達成率:ミッションアベィラビリティ?

要するに与えられた仕事を達成する確率のことで,エンジニアにとっては結構な関心事である。私の年齢になると,個人としての生涯使命達成率という概念が半定量化できる。

私の場合,多分使命達成率は自己評価で90%を程度か。しかし,当初の目論見のとおり総て順調に行ったケースはほとんど無い。

第一関門は,とある前提条件と制約の下に仕事を請けるか否か,実現可能性のあるプロジェクトであるかどうかの判断に迫られる。素性の悪い発想からでたプロジェクトは成功確率が低い。そしてその指令は,上長経由で来るのが普通なので,仕事に条件をつけるのは若い人にとって勝負を賭けた条件論争になることも多くある。

条件が議論できるケースは工夫の余地が,若い時代にもある。しかし,条件そのものが明白に示されることはそんなに多くないと思う。社の大目標に沿いながら,方針転換を上層部に促すためには多大の労力と精神エネルギーを要する。

当然,変更を促すための根拠となる実データを取得するには,蔭で裏付けデーターをとる必要がある。

30歳前後の頃だと思うが,総額1000億を越えるプロジェクトでプラントの設計ミスで簡単にはセンシングできないケースが生じた。許される期限は半年,センサ環境は人間が数分で致命傷を負う環境である。その代わり,若造がチームのリソースをほぼ自由に使えた。

このようなケースで私の対処方のポイントはいくつかある。

センサ材料は,その環境で耐える材料以外に使えない。使えなかった。

その材料で作れるセンサは,従来から安定性が良くないと称されていた。しかし,短期間の予備実験でアナログ回路システムをリニュウーアルすると,そのセンサが理論に近い挙動を示すことがわかった。

電子回路は当然この環境に耐えないので,100m近くの距離を特注の電線で接続した。多分30年前のレートで4000¥/mくらいの価格である。

そのセンサは多分今でも複数サイトで運用中である。アナログ/センサは大規模プラントにおいても,時と場合によってはそのシステムに影響を及ぼす。

情報のフロンティアそれはセンサの能力に依存する。アルミニウム合金が溶融するような環境下で動作するセンシングもありえるのだ。そのセンシングアイテムひとつで,プラントのシステム構成の基本ポリシィが変化することもありえる。

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2007年11月16日 (金)

獲らぬ狸の皮算用

今日,隣町に出かけた帰りに,2車線道路の脇に狸と覚しき中型犬クラスの動物がはねられて死んでいた。体型が平べったく尻尾が太いので狸と推定した。狸といえばタイトルの諺を私は連想する。

「獲らぬ狸の皮算用」,ものつくり開発の初期段階ではこの発想で○×をつけてスタートする例がかなりある。数社でもこのパターンをみた。

仮定の上に仮定を積み上げてストーリーを作る開発パターンである。リスクの存在は明らかにされないのが通例である。

発想/創造するには,このプロセスは必要であると考える。目的とするメリットが出るか否かで最初の篩に掛かる。成功すれば学術論文にはなる筈。モノつくりではそうは行かないが通例である。光あれば影は必ず生じる。時間の尺度は別として,形あるもの総て変化し安定状態である「土」に戻る。

開発の成功率を上げるには,その方式の影の部分への対処方法を同時並行的に考えておく必要がある。

光の部分は誰にも判りやすい。受け入れやすい。しかし,影の部分は説明も難しいし悲観論者のレッテルを貼られることもある。

しかし,実用化に際して影の部分を避けて通れない。影の部分への対処方法が成功の鍵を握ることもある。

アナログエンジニアは当然,影の部分を意識して開発を進める。「綺麗なバラにはとげがある」

影の部分/問題提起は,タイミングとバックデータとリーダーとの信頼関係が欠かせない。問題提起するには,光のなかに埋もれている兆候を見逃さず,そしてその影響の及ぶ範囲まで概算しておく必要が処世術として生じる。

「赤信号,みんなでわたれば怖くない」ではモノつくりは成り立たないではないか。

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2007年11月14日 (水)

温度試験

電子回路の大敵は温度変化。いや,他の分野でも最大の環境要素は第1に温度。

温度試験というと,恒温槽を使った試験を連想する方も多いと思う。この試験は,設備と時間が掛かるので,開発の最終段階で確認のため少数サンプルで行われることが多い筈である。

しかし,温度試験が必要かどうかは,注意深く観察しているなら大抵の場合,実験過程で判る。電子回路なら電源ON直後からの着目する特性の時間変化を観察する。回路の電気的時定数は大抵コンマ数秒以下で,温度変化や自己発熱の時定数はもっと長い。初期ドリフトの傾向を見るとおよその時定数と,振幅が観測される。これを元に,必要なら回路構成や部品などの設計変更を行う。

着目する量の温度変化が安定するまでの時間が判れば,それに対応する熱時定数をもつ部分を調べる。

電子回路の多くの部分は絶対安全電圧以下でかつ絶縁されているので,指でその部品を掴めば冬場なら20℃程度の温度変化を与えることができる。

アナログエンジニアは自宅でも温度試験を行うことがある。

冬場で,筐体に入っているなら,朝一,暖房無しで計測する。ついでストーブを持ち込んで暖房。これでも20℃程度の温度変化を与えることができる。

対象部分が数cm角程度のエリアであれば,家庭用ドライヤーで加熱する。この方法で60-80℃まで昇温できる。

低温試験はあまりやらないが,家庭用冷蔵庫の冷蔵室と冷凍庫を用いる。これで室温,数度,-25℃程度の試験ができる。

高級な機材を使用して定量化するのは最終段階。アナログエンジニアはそれ以前の段階で,試験すべきか否かを判断している。もちろん,各部品の温度特性の仕様を元に,最終結果がどうなるか,測定器の温度特性もチェックしておくのであるが・・・。

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2007年11月 1日 (木)

耐火性能偽装

_1968 ←かりんの実。庭に1本だけあるがかなりの数の実がなる。蜂蜜漬けにするなどの方法があるらしいが,我が家では成功していない。かりんの実の活用ノウハウが不足している。バケツ1杯くらいの収穫はあるのだが・・・。

昨日N社の耐火性能偽装が報道された。

N社は耐熱材料に関する様々な技術をもつ筈だ。

気になる報道内容が種々ある。1件目は,開発途上の性能末達のまま製品化したことである。社長が担当者のプレッシャーによる偽装とするコメントが報道されているが,ふつうの会社ではこのような基本性能は何重にもチェックされる筈であるというのが私の感覚である。

2件目は,社内調査で発覚後も出荷を続けたことだ。1次顧客,最終顧客への対策案を提示するまでの準備期間はやむを得ないが,並行して顧客リストを作るのが当然だ。それは行われていない。

3件目は,それなりの技術力を持ち試験手段を持っているはずの会社でなぜ偽装が可能だったのか?ふつうは品質保証部門で厳しい確認が行われるはずである。その時点で上層部が現状を把握できるシステムを構築していなければ,経営できないと思うが。

4件目は,耐火試験を行った財団法人の責任である。試験を行いお墨つきを与えるからには,初歩的なごまかしテクニックに対応する能力を要求される。その能力なくして検定・承認はありえないと思うが。試験サンプルを供出させ,形とおりの試験を行うだけではその存在意義はないのでは・・・・。

5件目は,内部告発の最後通牒により組織が動いた点である。

この様な例は,A餅やH鳥など多く発生している。逆に考えれば,それだけ風通しの良い社会になってきたという視点もある。まじめな個人,組織が報われる効率的な社会の構築を急ぐ必要がある。

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2007年10月24日 (水)

デジタルからアナログへ

_1962 ←猫の状差し。鉄,日本製。猫グッズの写真もあと数枚でネタ切れになる。自宅業務中心だと,カメラを持って外に出る機会がUPするより少ないからなー。

アナログからデジタル回路設計者への転向は比較的易しいとされている。しかし,私はそうは思っていない。

序盤の局面の質に大きな違いが有ると考える。

アナログは序盤の局面が非常に広い。しかし,明示されない制約条件も多い。その結果,詳細に検討すると,ある回路構成を選択した時点でほとんど自由度がなくなる。すぐに現在の部品でできる,できないの問題に直面する。

わたしは,デジタル回路中心に仕事をしてきたエンジニアにアナログの世界を見て欲しい,経験して欲しいと願っている。アナログの世界は現実世界,物理法則が支配する世界。囲碁と将棋のような違いがあると感じている。

アナログ回路は大げさに言えば物理法則との共調である。外乱もある,外乱に逆らって目的を達するにはサイバネティックス的発想も必要だ。アナログは回路は実世界からセンサを通じてその情報を取得しアクチュエータを通じて現実世界に働きかける仲介役である。もちろん自分自身のエネルギーコントロールと,たとえば誘導雷などの外乱に対応しなければならない。

システムの仕様を左右するのも,根底にはアナログ技術がある,アナログ技術は情報の曖昧さを許容する。許容しなければならない物理的限界もある。

本職にならなくとも,デジタルエンジニアがアナログ世界を見,アナログエンジニアもデジタル技術を用いる。それでよいのだと思う。私のできる仕事のひとつはデジタルにどっぷりつかったエンジニアにアナログ世界の戦略を伝えることである。

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2007年10月23日 (火)

電池の内部抵抗

_1944 ←オクラの花。結構大輪の花である。めしべの右上の黒ぽちは蟻。1株だけの家庭菜園だが,結構,夫婦2人で食べることができた。収穫物は大小さまざまだったけど,やわらかく食べることができた。

電池の内部抵抗を測定する実験,私は嫌いである。

たとえば,新品のアルカリ乾電池からI=1A,30秒の負荷をとり,負荷前V1と負荷時の電圧V2を計測する。計算上はR=(V1-V2)/Iで内部抵抗を算出できる。

しかし,負荷後に再測定すると無負荷電圧V1はかなり下がっており,しかも何時間にわたって1次遅れ系のようにじわーと回復してくるが,元の電圧には戻らない。負荷をとっている最中にも継続測定すればV2は変化する。電池の起電力は温度の関数であるから,自己発熱による起電力変化も無視できない。

番外編であるが,ノートPCのバッテリーの残量表示も結構怪しい。夏場簡単に残量100%まで充電できたのに20℃のいま,残量はすぐには95%までしか上がらない。

バッテリーの残量推測には,温度情報も必要なはずで,その残量計測を高精度で行う専用LSIも発表されている。どのような知見を元に残量計測を行っているか知らない限り,にわかにはその仕様を受け入れがたいアナログエンジニアである。

温度管理された基準電池の起電力を無負荷で使うことにより,絶対値はともかくとして,10^-6程度の再現性を持つことは知っているが,電池の内部抵抗をきちんと測定できる系を検討したことがない。電圧変化は小さいので導線抵抗や測定系の結線方法も大きく結果に影響する。したがって,安直な電池の内部抵抗測定実験には取り組む気持ちがわかない。

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2007年10月22日 (月)

回折格子

_1961 光の干渉を利用したおもちゃのコマと,光学用回折格子を背面に貼り付けたネクタイピン2本。

蛍光灯下で撮影したので,本来の鮮烈な色は出ていない。

どちらも反射光を利用する。特徴は非常に純度の高い鮮やかな色彩と見る方角に依存して,その色が変化する。

干渉光は,対象とする光と同程度の周期構造を持つ物体の反射または透過光の干渉による。方角依存性が高いので,理化学機械の分光器としても使用される。

回折光の強度はd sinθ=0,λ,2λ,・・・・の方位に最大値を持つ。したがって2次の回折光は1次光の波長の2倍の波長と重なる。光の分散を利用したプリズムとは異なる。1μの赤外光は0.5μmの光と同じ位置に重なる。これを避けるには必要に応じて色フィルターを掛ける。

ここから実用上の物理光学が始まる。

周期構造の反射面が正反射となる角度に傾斜すれば(エシュレット格子),その方向の回折光は強まる。通常の光源,光学材料は紫外線側で光量が減少する。このような設計を行えば当然感度の低くなる紫外線側で有利となる。

最近では,回折格子を機械的に加工するだけではなく,ホログラムで回折格子を形成する手段が公開されている。結像面をローランド円上ではなく,近似平面とする技術も公開されている。ここからが勝負である。

玉虫の光,モルフォ蝶の光,CDの輝き,いずれも独特の色彩であるが,それらが光の波長と同程度の周期構造をもつことがキーポイントである。

ある時期のLSIは虹色に輝いていた。ちょうど光の波長程度の加工サイズだったので,光り輝くタイピンにもお土産としてSiチップが封入された。今は,微細加工が進んで肉眼では濃淡のある傷のような印象を受ける半導体となっている。

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2007年10月16日 (火)

高次遅れ系

_1955←禁煙ねこの置物。,もっとも私はヘビースモーカーで,最近は自宅では,レンジフードの下でしか家族に吸わせてもらえない。東京へ行くと,喫煙場所の確認にあくせくしている。

遅れ系のステップ応答を観測すると次のようになる。

1次遅れ系の立ち上がりは直線的である。

2次遅れ系なら,立ち上がりは放物曲線になる。

3次遅れ系以上だと,無駄時間が認められる。

入力ステップと,出力を同時に観測すれば,回路や制御システムで考えル必要のある次数がおよそわかる。

2次系以上だと,負帰還をかけたときに位相が180度まで回転しえるので,無条件安定にはならない。

電子回路では,なるべく高度な制御問題にならないように回路を組むが,高次遅れ問題を避けて通れない場合もある。

正弦波発振回路の振幅制御は少なくとも2次遅れ系となる。発振部はその振幅の包絡線に着目すると積分器と同様な挙動を示す。振幅制御を行うには,交流を平滑してDC信号に変換するのでここで1次遅れ回路,あわせて2次系となる。しかも,ダンピング係数の小さい2次系になるのがふつうである。

この結果普通にCRオシレータをつくると,安定状態に至る過程で場合によってはかなり振幅がふらつく。

電子回路においては,できれば古典制御工学の知識を持っていることが望ましいのである。

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2007年10月 3日 (水)

故障モード

抵抗,それも特定の種類の抵抗を選べば,故障モードは殆ど抵抗値が上がる方向である。過負荷がかかればヒューズと同様に開放モードで切れる。このような抵抗を2本直列接続すれば,短絡モードの故障確率は個々の短絡モードでの故障確率の2乗で減少する。

コンデンサは種類により,短絡モードでの故障と開放モードでの故障がありえる。短絡モードの故障を考えると並列接続は故障の確率を増加させる。開放モードでの故障なら並列冗長系となるので,一部の並列コンデンサが機能を果たさない場合にも動作可能となるように設計することはできる。短絡モードを考えると,並列接続されたコンデンサは1個でも短絡すると回路機能を喪失する。

中間的な場合には,故障とみなされる,あるいは回路機能の喪失に繋がる閾値に依存して信頼度は大きく変わる。したがって,アナログ回路の場合には,頑健な設計であるか否かにより信頼性は大きく変わる。

抵抗やコンデンサの単純な接続でも,故障モードに依存して信頼度計算上からは並列系にもなり直列系にもなりえる。

アナログ回路で高い信頼性を保つには,種類により異なる部品の故障モードにも留意する必要がある。

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2007年9月21日 (金)

半月

20070920_1892 2007年9月20日の半月。撮影時刻18:15.

コリメート撮影(望遠鏡の接眼レンズを覗くようにして小型デジカメで撮影),35mmフィルム換算でf=約3000mmの超望遠撮影である。

望遠鏡:屈折式,対物60mm,アポクロマート(3波長で色収差なし),接眼レンズ:視野72°,倍率30倍。

架台:赤道儀,10cm反射望遠鏡用。

月の満ち欠けは早い。数日前にも同じ方法で撮影した三日月をこのブログに掲載している。

ほぼ半月なので,日没時に月は中天に差し掛かる。今日は晴天。日没してしばらくしての撮影。かなりの好条件。

ブログ用の撮影なので,この写真ではデータ量は最小のSに設定してある。200万画素まで上げれば,もっと鮮明な画像となるだろう。

光学系の分解能は2秒角。1000×1000ピクセル程度までは,ボケが目立たないだろう。

ガイド用の反射望遠鏡と撮影用望遠鏡を一直線に装荷している。

この撮影で難しいのは,撮影用望遠鏡とデジカメの光軸を一致させることにある。

撮影用望遠鏡とデジカメの位置関係はX,,Y,Z微動が可能なアダプタと3軸の回転可能な雲台で調整する。

デジカメは,フラッシュ禁止,タイマーをかけてシャッター時の振動を押える。デジカメの視野角は広角側では接眼鏡の視野角を上回るので,ケラレの無い画面を得るには望遠側で取る必要がある。

撮影用スコープは直視型ではなく,趣味のアーチェリー着弾観察に便利な傾斜型なので,光学系のアライメントが複雑である。

退職して自由業になった今,30年前に果たせなかった撮影をそれなりの機材で行っているのだ。アナログエンジニアの習性か。過去の自分に出来なかったことに今の自分の技術力をかけて再度試みた。

同じコリメート撮影で顕微鏡撮影にも成功した。

私は一月を,月の満ち欠けで実感している。一月は月の満ち欠けの1周期でもある。

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2007年9月20日 (木)

梱包材

_1859 ←精密機器の梱包材料。外箱には意匠登録申請中との記載がある。

この梱包方法はとてもうまい方法であると思う。

ダンボールの枠に特殊フィルムが張ってある。サイズはディスクトップパソコンが平置きできる程度である。

2枚のフィルム面で、精密機器をサンドイッチして、機器をハンモック状に支える。

フィルムの弾力でかなり大きい衝撃や振動も吸収できそうな構造であり、かつ梱包材料の量が少なくとも良い。

今回のPCの修理の際には、この梱包材でコレクト集配された。

様々な梱包方法があり、各機器、各メーカーで種々工夫が凝らされている。

最近では、オール紙製の環境配慮形梱包材も小型機器では多く使われている。このような形状の物はリサイクルを前提にしているが、付属品一式が綺麗に収納できるので、小物機器の整理箱としても私は使っている。

梱包材料や容器は、潰さなければ当然中身より大きい容積をもつ。PETボトルなどは分別して資源ごみにしなければならないが、飲料ボトルを回収の日までその容積のままどこかに仮置きしなければならない。もっとも最近の2Lボトルでは手で潰れるものも出現した。

梱包材、容器は持ち運びに不可欠であるが、役目を果たした後には最小容積に使用者がまとめられることは大変ありがたい。定期的にメンテナンスが必要な機器には、その部品を再輸送するので、折り畳み収納可能としてほしいものだ。

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2007年9月18日 (火)

ハイテク回転すし店

20070917_1881 ←2007.09.17の月。コリメート撮影。35mmフィルム換算f=3000mmの撮影。月が低いので気流の状態が悪い。月の円周が凸凹。夕方光学系のコリメート(芯出し)を行い、うす雲が晴れるのを待ちかねて撮影。

意外なところにICタグが使われていた。昨日行った回転寿司屋さん。

各お皿にはICタグが内蔵されており、鮨を流してから一定時間経過すると自動的にラインから外される。

流れてこない鮨種は、各席に設けられたタッチパネルから、簡単な操作で注文できる。そして注文品が流れてくると「まもなくご注文品がきます。流れてきたらお取りください。」のメッセージがタッチパネル上に表示される。

会計処理はタッチパネルで「お会計」にタッチするグループごとにお皿の枚数を数えに来る。一品100¥均一。これでいて、とても品数は豊富である。鮮度管理をやっているので、海苔がくたびれた巻物がやってくることは無い。

当然、空き席の管理もシステム化されている。広い駐車場をもっており、待合スペースで待っていると番号呼び出しのアナウンスが入る。待ち時間も意外に少ない。新しいタイプの近郊型回転すし店。

鮨は小ぶりであるが、通常、1皿に2貫、さすがにトロは1皿に1貫、巻物の数は種類によって異なる。高級食材は使っていないが、結構おいしい。なによりも、いろいろなものを小食の私でも食べられる。

恐らくはRF IC タグを利用しての、在庫管理、売れ筋管理、出荷管理、空き席管理などをオンラインでやっているのだ。極めて合理的で実質的である。安くてそれなりに美味しくて気楽である。注文品が流れてくると、「注文品」と書いた台の上に、載って注文の品がやってくる。そして液晶タッチパネル上に「まもなくご注文の品が流れてきます」との表示がでる。

回転寿司屋さんにも、新しいIT技術がシステム化されて登場してきた。アナログセンサだけではこのようなシステムを作るのは難しい。回転すしの特性上、品物が1列に並んで搬送されるので、RFタグの利点を徹底的に活用できている。

妙なところで、実用レベルのRFタグの応用に出会ったアナログエンジニアである。

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2007年9月10日 (月)

塾の先生

進学高校の授業のペースは速く、レベルは高いのが普通だ。

高校に進学して、2ヶ月も経過しない間に英語力の差が歴然とする。田舎町の中学と地方都市の中学の学力差を思い知る。父が伝を頼って、英語塾。

先生は、某高校教師、津田塾出身、独身の方だ。初めての塾に出かける。英文和訳はもちろん、私は発音にも問題があった。この塾はAチームとBチームがあって、私は当然、下位のBチームだ。英文音読が始まり。数人のメンバーから笑いが漏れる。英文和訳も怪しい。しかし、暖かい雰囲気の塾。

単語力・語彙力不足を痛感。高校1年の夏まですべての時間を語彙力増強に投入。テレビは当然見ない。英文和訳能力は短期間に上昇した。Aチームへ昇格。

高校3年。この頃には皆が初読の英文をいきなり和訳するのだ。直訳ではない、こなれた日本語に変換する。うまく出来たときにはお褒めの言葉を戴ける。アガサクリスティのミステリーや、ラフカディオハーンの原書もこの頃読んだ。

Photo_31 これが、私の英語の原点。この習慣は大学時代にも引き継がれた。社会科学もSFも辞書無しで読める語彙力3.5万はクリアしていたと思う。大学時代に読んだ思い出の本は「the sane society」、著者はErich Fromm。この本は今の私の書棚にある。

次の高校時代の課題は、数学。塾の先生は、理科大物理出身。現役高校の数学の先生。

この方に、自己訓練とはどういうことか学んだ。6題程度の大学入試問題が6:00pmに出題される。8時ころ、酒臭い先生が出てきてワンポイントアドバイス。後は終電車まで頑張るのみだ。運がよければ、全問正解で早く帰れる。出来なければ次の週までの宿題である。対数操作にはてこずった。

この先生、高校3年から習う高校物理を2年はじめから独力で学べという。教材は金原寿郎先生の「物理の研究」、演習問題は日比谷高校の先生の問題だ。すべての問題を解いた。電磁気学には苦労した。高校数学のすべてを使えば、物理は暗記科目ではない。基本中の基本公式から組み立てれば自由に必要な式を短時間で生成できる。その過程は原理を応用する際の、手順そのものである。感謝。感謝。残念ながら、この先生、早逝された。

この数学塾、後の弁護士、新聞社の論説委員、政治家などを生み出した伝説の塾である。

進学高校の落ちこぼれ生徒を救ってくれたのは、手法の異なる教え方をする2つの塾であった。少人数ならきめ細かい本人の力量に合ったメニューを用意することが出来る。相手は少数だが、徹底した訓練が出来る。それが現役教師であった私の塾の先生のポリシーでったのかも知れない。

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2007年9月 7日 (金)

周波数と時間領域応答

電子回路あるいは工学において、実験装置の都合上、周波数特性の測定が容易な場合とステップ応答の測定が容易な場合とがある。

私の場合は、TPOに応じて双方を使い分ける。

静特性を安定に測定できる状態になってから、周波数特性かステップ応答を大抵の場合測定する。

電子回路の場合、周波数特性を取得すれば、過渡応答はおよそ見当が付く。逆も同じだ。

周波数特性と位相特性を測定すればボード線図となるが、位相特性は正確に測るにはそれなりの機材が必要なのであまり測定することは無い。

その代わり、直流的な出力レベルを変えて周波数特性を測定することが多い。多くの電子回路では、非線形性があるので、周波数特性が信号レベルによって変化する場合があるからだ。

同じ理由でステップ応答もレベルとアップ・ダウンを変えて測定をすることが多い。

最後の仕上げは、過大入力を入れての挙動を見る。ダイナミックレンジと異常動作の確認である。

周波数特性と時間応答を一方から他方へ変換できることは、工学上大切な技能である。jωの世界と過渡応答の世界はほとんど制御理論のなかで記述されている。私は複素関数論でつまずき、ミクシンスキーの演算子法でラプラス変換を学びなおした。数学力不足である。電子回路実務で必要なのは、まず2次系までの簡単なケースでの実践能力である。3次系以上になると簡単に数値計算できないし、他の複雑な問題も出やすい。

周波数応答とステップ応答の関係は、会社のOJTで教育をすることはとても難しい。ぜひとも工学部で基礎訓練をして置いていただきたいと願うアナログエンジニアである。

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2007年8月29日 (水)

プリンタの分解

_1842 ←庭の朝顔。今年は種まきしなかったのだが落ちた種からたくさん生えた。肥料をまかなかったので、昨年よりかなり小ぶりの花である。

2台あるプリンタの1台が寿命を迎えた。概算20億ドットを超えている。

このプリンタで打ち出し、紙ベースの推敲を5冊行った。

例によって、プリンタを分解。数年前の製品だ。

特殊ネジが急所に使われているので、手持ち工具では簡単に分解できない部分がある。ふつうでは手に入らない形状のネジが急所にある。カナヅチを使って強行突破。

お目当ては、モータ類のサンプルの取得とセンサ構造を知ることだ。

モーターは5個、DCモーター2個とパルスモーターが3個搭載されている。この類のパルスモータはクロポール形と呼ばれる安価な構造のパルスモータで、恐らくは非常に安価に作られている。

類似のパルスモータが複数あると、1個はカシメで固定されたケースを外すと内部構造がわかる。もう1個は励磁コイルにLEDを接続し、指で軸を回すと低速高電圧(相対的)になり、LEDが光る。

プラスチック部と金属部を弁別し、ごみ袋に入れる。

センサ:ロータリーエンコーダーとリニアエンコーダーは内製されている。

基板は2層の1枚だけ。数年前の製品にも拘わらず、見事な構造になっている。しかし、必要な部分は巧みな金属プレスで剛性を保っている。

量産品だけができる構造設計。

歴代の傑作品のDNAを受け継いだ設計ではないか。

分野外ではあるが、寿命の尽きたコンシューマユースの愛用品を分解するのがアナログエンジニアの習性である。

しかし、次第に分解の要となる部分が見えなくなりつつある。

設計の現場でも同様な事態が起こっているに違いないと憶測している。

技術の伝承をどうするか。匠の技をいかにして伝えるか。重い課題である。

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2007年8月28日 (火)

設計図面

_1854_2←道端に咲いていた夏の花。逆光で撮影した。この日は気温の割りに体感温度が高かった。

  設計図面は、ふつう門外不出。

他社の設計図面が提示されることは、極めてまれであると認識している。

設計図面が開示されるとき(もちろん第3者への開示制限はつくが・・・)は異常事態が生じた場合にのみに限られるのではないか。複数社が協力して解決しなければならないような事態の中で、激しい技術論の果てに条件付でやっと開示までこぎつけるのが通例だと思う。

一般の実用回路図などでは、設計の根幹をなす部分はさりげなく隠されている。

隠された部分を補って、その回路の弱点を限られたリアルタイムの交渉の中で開示させるのがアナログエンジニアの力、意地である。

学術文献にも結構多いが、設計図面となると細かい技術説明はない。この中で、問題点・課題を明らかにし、場合によってはその解決策まで提示する。そこが勝負である。

私は、光学図面も多少は読める。

そして光学図は美しい。しかし、私のアーチェリー用のスコープの光学図は八方手をつくしても手に入ることは無かった。本当は、個人としてその図面を手に入れて書斎に飾りたかったのだが・・・・。

門外不出の設計図面、あるいは実データは工学社会ではふつう目に触れることは無い。私はこのような書類にアクセスできたことのある少数の技術者と思うが、公表できる情報はほとんど無い。

これが会社勤めのエンジニアの世界の一端である。

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2007年8月27日 (月)

熱電圧

熱電圧VT=kT/q :k(ボルツマン定数)、T(絶対温度)、q(電子電荷)である。

各定数は省略するが室温300Kで約26mVである。

ダイオードなどの順方向電圧VJと電流のI関係は

I=IS・exp(VJ/mVT)で与えられる。

エミッション係数mはふつう1~2の値をとるが、間接遷移形の緑色LEDなどでは3近い値をとる。順電流がキャリアの再結合が強く寄与する場合には2近く、能動状態のトランジスタではほぼ1である。

今日の話題は上式において、順電流Iが10倍増加した場合、順電圧VJがどうなるか計算する。

飽和電流ISを消去して、結果はΔVJ=mVT・ln(10)となるが、この数値を計算できない電子回路技術者も少なくない。

エミッション係数がm=1のとき、1桁あたり約60mV変化する。

kT/qは様々な粒子反応で出現する値である。化学とも無関係ではない。物理屋だけの世界ではないはずだ。

対数をとって比を求める応用動作ができないエンジニア候補がたくさん存在するのだ。

常用対数と自然対数の相互変換は、工学的に避けて通れない基本的な数学操作である。このような数式操作が出来ない大学生は、最小限の基礎訓練を受けていないと考えせざるを得ない。

その一因には大学センター試験と、入試科目の問題をうかがわせる。

大学入試に関係ない科目の高校履修を放棄した教育システムは、正常ではないと考えるアナログエンジニアである。

その責任の大半は大学側の入試制度に課題があるとも考える。高校はその価値観にしたがって受験戦略を立てている。

ゆとり教育が見直されている今、日本の技術が生き残るためには大学入試システムの根本的見直しが必要はないか?

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2007年8月22日 (水)

関数電卓

工学部卒業生で関数電卓を保有していない方が意外に存在する。

この方達は、おそらく殆ど実務で出てくる式を数値を入れて計算したことが無い。

演習をやらせると、膨大な時間がかかる。y=abc/dなど一般的な公式に桁の暴れるMKSA系の数値計算能力が非常に低い。現実の工学で出会う数値の掛け算を電卓を使っても、すぐに間違う。

私の感覚では、上記の式の計算で正答率60%程度である。

上式で、その他の数値を入れてdについて解け。とやると正答率はもっと下がる。

振り子の周期を求める計算をさせると、2πを忘れるケースが増える。

これでは、電子回路に必須の角速度(角周波数)と周波数の相互変換もままならない。

対数関数の底の変換など、新入社員でできるほうが珍しいような気がする。

計算手段が計算尺であった頃(1970年以前)では、桁は暗算で計算し2桁有効数字の積を2桁有効数字で求めることの出来た人が多かった。

いずれも高校初年級あるいは中学レベルの計算である。この能力が無ければ、維持できなければ、大学教育は成立しえないと考えるアナログエンジニアである。

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電力事情が心配です。原発が柏崎と福島の8基が停止しているので、供給余力が少ないのです。

2007年8月21日 (火)

3冊の技術書

ここ20年間、私は始めての分野を学ぶときには、あればその分野の専門書を適当に3冊選んで購入することにしている。

3冊の本には意味がある。統計的には問題があるが、3冊同時に専門書を購入し比較すれば、同じ内容の記述部分は必須で確立された技術情報とみなす。そして、一番丁寧に書かれた本を熟読する。

異なる記述部分は、より専門的か、著者そのものの研究成果である可能性が高い。

隣接分野を含めた同一分野の本を10冊読めば、一応その分野で専門家の言う話は理解でき、仕事に役立てることができる。

その後、実践を重ねるとともに100冊の本を読めば真贋が自然にわかるようになり、自分の言葉で語ることができる。

アナログエンジニアは基本的に「図解」「絵解き」を冠した本は、使わない。比喩・非論理的説明が多いので考える材料にならないからである。

自分も著者となった今、わかる本とそうでない本の違いがやっと理解できるようになった。あるレベルの読者を想定し、そこから論理的に、前提、仮定を明示した本が努力して学ぶに値する。

時には、想定された読者層に該当しないケースもある。悲しい・・・。ウエーブレット技術はそうであった。インターネット購買したのだが、序文の半ばで挫折した。数学力がはるかに及ばなかったのだ。

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2007年8月17日 (金)

マウス

_1844 ←小型マウスの内部。クリックが不安定になったので廃棄前に内部を見た。

移動は、赤色LEDをプリズムで曲げ、反射光を受け光センサで電気信号に変換する。

マウスの動きは2軸のフォトセンサで受け増幅・信号処理のうえ、USBインターフェースでパソコンに送られる。

受光部その他の回路部は特殊なパッケージのLSIが1個のみ。

その他にクリックボタンのSWと、センタホィールの超小型エンコーダーがついている。

ロータリーエンコーダー部分は、光式か磁気式と思われるが、内部構造は不明である。

LSI化とともに、簡単なポインティングデバイスであるマウスのセンサシステムもブラックボックス化してきている。

光を当ててその反射光を受け2軸の動きを検出するだけであるが、とくにアナログ部の詳細動作は闇のなか。

反射光は、反射物の反射率の影響をうける。反射光の交流成分を検出しているので何らかの交流結合増幅器、移動方向検出のための4個以上の光検出器、その信号で移動を検出するための信号処理が、アナログ部で行われているはずである。これらがデジタル部とともに1個のLSIとなっている。

いまや光学マウスは1000¥前後で購入できる。カスタムLSIで実現できる価格である。

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2007年8月 7日 (火)

デジタルの幻

07 ←自宅のアナログオシロスコープ、国産の低価格品。これで個別部品で組む回路では十分な性能である。帯域が20MHzと狭い分、低mVのS/Nは良い。

私はアナログオシロスコープを主体に使う。

アナログオシロスコープは、主機能がアナログ回路で出来ており表示も静電偏向されたブラウン管で行う。

アナログオシロはデジタルオシロより垂直軸方向の分解能が高い。垂直軸移動を併用すれば、1/1000程度までの波形を観測することができる。水平軸方向は連続であり、デジタルオシロのサンプリング周波数の1/2を越える周波数成分が存在してもアーチファクトがでない。

アナログオシロは公称帯域を超える電圧スパイクもそれなりに見える。

デジタルオシロは広帯域のアナログアンプで増幅した後、サンプリング&ホールドを行って8bit程度で量子化する。したがって、量子化誤差が大きくベースラインの±1bit程度が変動する。デジタルオシロのアナログ系も、サンプリング定理の制約を緩和するために高速回路となるので、基本的に純アナログシステムより劣る。

アナログオシロは、計測原理が良くわかったシステムで、量子化=AD変換の性能の影響を受けない。記録には、以前はインスタント写真を用いたが、現在ではデジタルカメラでその波形を電子データとして残せる。記録の便利さにおいてもデジタルオシロとさほど手間は違わない。

私の専門はプリント基板上で組むアナログ回路であるので、実装上の制約からDC-20MHzの帯域でなるべく詳細な波形を見たい。アンプのノイズは帯域が狭い方がS/Nは良くなる。画面の1%程度の分解能では微小発振しているのか、ノイズなのか判別がつかない。

電圧軸=垂直軸の分解能が不足している以上、時間軸がいくら正確であっても波形の周期はそれなりの誤差を持つ。デジタルオシロは多機能で、カーソルを合わせれば細かい数値を周期、周波数で表示してくれるが、その表示ほど正確ではない。

アナログエンジニアのふだん使うオシロスコープは最下位機種のアナログオシロスコープである。S/N比もよいし、プリント基板上で飛び交うことのできるスパイクノイズも的確に見える。

デジタルオシロは幻の波形をも表示する。しかも高価である。

ただ残念なことに、日本の電子計測器メーカはこの分野から撤退しつつある。静電偏向ブラウン管の製造メーカは国内に1社しかないとも聞く。付加価値の高いデジタルへとシフトしている

デジタルオシロでは精密アナログ回路の目的にかなった表示機能は無い。

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2007年8月 1日 (水)

竹とんぼ

私が子供の頃、竹とんぼつくりが流行った時期があった。

よく飛ぶ竹とんぼの持ち主は栄光に輝く。人気者になる。

そして、周りの子供達はよく飛ぶ竹とんぼを作ることに精を出す。

必要な道具は錐とナイフ、材料は竹。

今だから説明できるが、翼は中心部の迎え角を比較的大きくし、外周は中心からの距離に比例して迎え角を小さくする。迎え角を大きく加工すれば、その反力で抵抗が大きくなる。飛翔は回転体のモーメントとで効くから、翼の外周の質量を大きくした方が、蓄積エネルギーが大きくなる。したがって、強度の許す限り、自分の加工能力の許す限り羽の外周を厚くした方が有利である。

しかし、子供の力では、軸を手のひらの中で擦りながら羽の回転数を限られたストロークの中で羽の回転数を上げなければならない。軸の形状も重要な要素である。

軸の長さと質量は飛翔の安定性に大きく寄与する。一種のスタビライザーなのだ。均一な太さの竹ひごでは十分でない。下側の質量を大きく太くした方が有利である。しかし、羽側の径を細くしすぎると、軸がすぐに抜ける。

子供の頃、中学生時代までは色々な試みを竹とんぼで行った。よく出来たものは、10m以上まで上昇し、穏やかに戻ってきた。試行錯誤で掴んだ自分流のバランス感覚、これは仮想現実では得られない実体験である。少しずつ改良を積み重ねて、肌でものつくりを支配する要素を受け止める感性がこの時代に養われたように思う。

当時にも羽だけ飛ばすプラスチック製の竹とんぼがあった。おなじ方式で、市販品の性能を上回る竹とんぼを作るのは容易ではなかった。

旧来型の竹とんぼは、今でも観光地のお土産としてよく売られている。そして、結構よく飛ぶ。このレベルの竹とんぼを作るのは容易でない。今の子供達で親が指導しない限り作ることはしない。遊びの中にも工学の原点がある。この経験のない子供達に、色々な理科教育の実験デモを見せても意味がすくない。のではないか。

おもちゃも含めて、デジタル、反応の速さと作戦を競うゲームの世界とは異なる鮮烈な世界が、手作りおもちゃにはあったのだ。

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2007年7月27日 (金)

中国語の回路本

_1834 中国語(繁字体)の電子回路教科書

「類比」:アナログ、「電路」:回路だから、

日本語では「実践アナログ回路・解析入門」となる。

私の2冊目の本の中国語訳だ。価格360元、今の為替レートで現地の人達にとって結構高額である。若い頃には、自分も月収に匹敵する洋書を何冊も購入した。

元の本が自分の本で、主語述語、てにをはに注意して書いた本なので、これなら私にも読める。

表紙には、本文の電源回路の回路図が載っている。恐らくは訳者のセンスだろう。表紙の回路は少し部品数が多いが設計しやすく性能が出やすい。

ダイオードはニ極体、トランジスタは電晶体、抵抗は電阻、コンデンサが電容器・・・・などと訳されている。

演算増幅器は運算放大器。なんとなく、わかる。

私が序文の最後に、少しフォントを小さくして書いた部分「世代を超えて、教えていただいた人達と教わる人達に捧ぐ」は次のように訳されていた。

 願将本書献給不同年齢層的前輩及有志於進入此一領域的後起之秀。

多謝。

 この本早速知り合いのカタカナの読めない中国人の回路屋Jさんに進呈しよう。1冊だけは手元に残し、これからも出会うであろう熱心な中国の方に何冊かは提供できるはずだ。

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2007年7月23日 (月)

少なく教える教授法

_1831 ←庭に咲いた白百合の花

この花が咲くとき、多くの大学では夏学期が終わる。企業内高等専門学院で教えていた頃は、山の斜面に白百合が咲くと一区切りを迎えた。

ハンドブック的に多くを網羅した内容を駆け足で教えるか、少ない教材で自己完結した、理解に必要なバックグラウンドを開示して教えるかは、教授法の分かれ道であると考える。

多くの本は、限られたページ数でなるべく話題を詰め込もうとする。

私には、そのような本は相当周辺技術を調べないと読めない、理解できない。

凝縮された本も貴重である。しかし、自分の歩んだ技術者としての試行錯誤の中で、もっとも効率のよかったアプローチの仕方を教えることも必要なのではないか。

最初の本を書くとき、恩師の方に自分が学ぶのに要した時間の1/10で伝えるべきだ。そう、教えられた。

いまでは、そのスピードよりもっと効率のよい教授法が求められているのではないか。私は、個別部品で組むアナログ回路とその周辺技術を40年やって、ようやく自分流の説明ができるようになった。そして、最近では、代表的な課題を含む個別の回路をどのようなプロセスで部品選択、定数決定するか情熱を燃やしている。

現実世界との結びつきが深いアナログ回路では、高校物理の基礎知識をほとんどフルに活用して考える。

ハンドブック的教え方はやむを得ない部分があるが、それでも、基礎知識を越えた部分で判断しているプロセスを開示しながら教育を行いたいと考えるアナログエンジニアである。

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2007年7月18日 (水)

耐振動電子回路

_1816←庭に咲いた園芸品種の百合の花。野生の白百合が咲く頃に7月は終わる。

電子回路においても、耐振動設計が必要な場合がある。産業用の電子回路では、様々な環境条件がある。

振動条件も様々で、100ガルを越える振動を常時受ける環境が存在する。問題になりやすい部品は2本足で比較的大きい部品である。

2本足だと共振周期が相対的に長くなり、その周期に近い強い振動を受けるとリード線が疲労破断を起こす。

このように書けば、どのような電子部品が振動による損傷を受けやすいか、実物を見ればすぐにわかる。

電子部品はどんどん「軽薄短小」化され、その固有振動数は短くなる方向であるが、エネルギーを蓄積する受動部品などはそれでもなお大きい。

形、実装形態を見れば解る弱点もある。計算しなくとも、いやな感じのする設計部分は、様々な角度から検討すればほとんどの場合、技術的に対策できると考える。固有振動:厄介な問題であるが、基本的にはLCR共振の問題において、大きな電圧や電流が発生しえることと同じ形の問題と考える。

耐震設計はどのようにして行われるのだろうか。共振状態が長く続けば、Rに相当するエネルギー損失がそのピークストレスを左右する。計算が比較的簡単な電子回路においても、意外にLCR共振点近くでの過渡特性を視覚化して実感しているエンジニアは少ないような気がする。

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2007年7月 4日 (水)

ソレノイドコイルの磁場

空芯の円筒状コイルに交流電流を流すと、円筒の内側だけに磁場ができるわけではない。

磁束は円筒の内側だけにできるのではなく、外側におおよそソレノイドコイルの全長くらいまで磁束の帰線が通る。

色々な径のリング状のサーチコイルをソレノイドと同軸にして、その電圧を測定すると、サーチコイルの内側にある磁束に比例する電圧が出てくる。サーチコイルの径を円筒と同じにすると、ほぼ無限長のソレノイドの式に従う起電力が観測される。

サーチコイルを大きくすると、ソレノイドの内側の磁束と外側の磁束は反対向きなので、起電力が小さくなる。

アルミ管でソレノイドの外側を包むと、短絡された1ターンコイルであるアルミ管の渦電流が作る磁束が打ち消しあってサーチコイルの起電力は減少する。磁性体の管で包むと、磁束の帰線は磁性体の管を通るので、サーチコイルの起電力は小さくなる。

このような現象は、電子部品である閉鎖磁路を持たないコイル部品でも生じる。

鼓形のコイルのインダクタンスを測定しながら、非磁性導電性の金属を近づけるとインダクタンスは減少する。強磁性の材料を近づけると、磁気抵抗が小さくなるのでインダクタンス値が増加する。

この原理を利用した近接センサも市販されている。

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2007年7月 3日 (火)

二重積分形ADコンバータ

積分器、コンパレータ、アナログSWとカウンター2個、その他少々で構成できる。

いまでも、デジタルテスタや高分解能のADコンバータに使われる。

原理は入力電圧をあらかじめ定めた時間積分する。定められた時間が経過したら、今度は逆極性の電圧源を積分し、再び0電圧に戻る時間をクロックパルスを数えれば、その値が電圧源と入力電圧の比になる。カウンタを10進カウンターにしておけば、マイコン抜きで10進数で表示することもできる。

この方式、AD変換のビット数に応じて、クロックパルスを勘定するのでAD変換に要する時間が数ms~数10msと長い。しかし、容易に高ビットの変換ができる。自作も可能である。

積分形というからには、定められた時間、入力電圧を時間積分しているのである。この結果、あらかじめ定めた時間を商用電源の整数倍に取っておくと、ハムと呼ばれる商用周波数の周期的ノイズを完全に消去でき安定なAD変換ができる特徴がある。商用周波数の整数倍の周波数に対しても同様の効果がある。またそれ以外の周波数に対しても1次のローパスフィルタになる。

このような性質があるので、今でも高速を必要としない計測用途に使われているのだ。

商用周波数のノイズは、とくに屋内環境では高インピーダンスの電圧を測ると大きな障害になりやすい。二重積分形ADは、変換時間が長い分だけノイズに強い。

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2007年6月29日 (金)

電磁流量計

ファラデーの法則を利用する。

磁束密度をB、測定管の直径をD、流速をVとすると、BとVに対して直交する方向に起電力Eを生じる。

E=BDVの関係が成り立つ。測定対象は導電性液体、具体的には水道水から海水・下水まで多くの導電性液体の計測がこの計器の使用目的である。

多くの流量計はピンポイントの流速を元に流量を測定するが、電磁流量計は比較的流速の管内分布の影響を受けない。

管の直径は最大2000mm以上、最小は数mm程度のものが製作されている。東京都の全体の取水流量に匹敵する流量から水がぽたぽた落ちる流量までの計測ができる。

式にD=0.1m、B=0.01T、V=1m/sを代入すると起電力E=1mVとなる。

この小さな電圧を、不安定な電極と液体の接触起電力の中から測定するために、通常、磁界を商用周波数の数分の1から数10分の1の周期で反転させ、起電力Eを交流電圧として捉える。

信号源インピーダンスは高く、かつ変動するので、ブートストラップ回路などのインピーダンス変換をおこなってから、本格的な信号処理を行う。

10cm立方のエリアに0.01Tの交番磁界を形成するには、100W前後のピーク電力が必要である。

交流・低周波・高インピーダンスでかつ1mVで0.1-1%レベルの増幅するにはそれなりのアナログ回路技術が必要である。

センサ信号処理の方針は、具体的数値を検討して初めてその戦略が立つ。

良く知られたファラデーの法則ではあるが、現実的な数値を代入し、電気化学的な不安定要因を考慮して信号処理を行わなければならない。

その時代、時代における具体的数値例をあげ、センサの持つ影と日向の世界を見せることが工学の世界の始まりであると考える。

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2007年6月28日 (木)

ドタキャン

土壇場で講演あるいはセミナー講師が来ないこともある。

事情により主催者側で催行がキャンセルされる場合もある。

講師は一般的に良心的であるから、突然の弔事、動けないほどの体調不良、交通手段の麻痺などがおもな原因だ。

私は、講師になることもあれば、講師を招く立場であったこともある。

講師としてのドタキャンは今のところ一度も無いが、体調不良で厳しかったこともある。

セミナーを開催する立場の時には3度ほど、講師不到着のケースもあった。そのときは、講師の事前資料を元に、自分で、数時間の演題を無理やりこなした。複数講師でセミナーを開催する場合には、各講師の持ち時間を調整する手もあるが、この方法は類似ジャンルの講師が存在しないと不可能である。

ドタキャンの対処を明示した依頼は私の場合は非常に少ない。

幸い私は数十回の講師を務めドタキャンは一度も無いが、将来にやらない保証は何も無い。

講演に参加してくれる方は、交通費・宿泊費・受講料を払って参加してくれているのだ。数10名のセミナーだと、それらの経費を自分のドタキャンで慈悲支弁するにはちょっと厳しい。

私の場合には一人で2-3日担当するケースが多く、かつ専門分野が一般的でないので代理をすぐには立てられない。

故意によるドタキャンはやるつもりは毛頭ないが、約束を実行できないケースもありえる。主催者側の都合によるドタキャンでは、その準備が総て無駄になる。12月の3日間、一人講師のプロジェクトはすでに走っている。本1/2冊分くらいの準備が必要であるが、依頼はMailのみである。自分の責任範囲を少しでも明確に出来ればな-と考えるアナログエンジニアである。

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2007年6月22日 (金)

熱電対

熱電対は2種の異なる組成の金属線を接続して構成される。

独のZeebeckが発見した効果で、金属材料の組成などを制御すれば再現性のよい熱起電圧が得られる。数少ない互換性を持った温度センサとして工業用に広く用いられている。

J(クロメル/コンスタンタン)で約0.1mV/℃の起電力が出る。

ゼーベック効果は基本的に温度差によって起電力が決まるので、1℃当たりの起電力があまり大きくなくとも精密な温度計測が可能である。

金属線Aと金属線B 2本を直列に接続し、2つの異種金属の接続点を作る。金属線Bはオペアンプのすぐ近くで接近させて回路を構成する。

接続点の片方は外気に、他方を電子回路の発熱部に接続する。

このような構成にすると、すこし信号レベル低いけれど、室温と電子部品の温度差=温度上昇を精密に測定できる。

ちょっと高級なデジボルを使えば、今の技術ではΔT=0.1℃程度の測定が確実に行えるのだ。無ければ低温度ドリフトのオペアンプでちょっと増幅すればよい。

この手段で、アナログエンジニアはいつも温度差の精密計測を行っている。ただし、私のほかには、この方法を使っている人はいなかった。基準温度接点の精度は1℃くらいがふつうなので、温度差の精密測定には不向きである。温度計も2台必要である。

差の計測にはこのほかにも種々の巧妙な手段が存在する。

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2007年6月21日 (木)

チェンジニア

本当のエンジニアなら考える。機器が故障あるいは不具合が生じたとき、ひたすら部品あるいはユニットを交換するエンジニアを揶揄すれば、「チェンジニア」

「チェンジニア」方式で修理されると、無駄が生じるだけではなく、間欠性の不具合の対策が不完全になる。

15年前のノートパソコン(プラズマ表示の物)を購入したときに実体験した。

保障期間中にマウスが効かなくなった。マウスを交換しても直らないので、その旨告げて修理依頼。その部分は直った。

しばらく使用しているうちに、内臓FDDが不調。ディスクが時々読めない。3回目もあった。

このときも保障期間中だったので、サービス拠点の所長と交渉して、点検修理に1ヶ月やる。その代わり修理後1ヶ月以内に不具合が発生したら、無償で新品と交換せよ、との念書を取った。

案の定、4回目の故障は修理後1ヶ月以内に発生した。ファイル操作するたびに、ひとつづつファイルが破損していく。

FAT(ファイルアロケーションテーブル)関連のハードウェアの破損らしい。当然、約束どうり新品に交換していただいた。

このような不具合が連続したのは、恐らく不完全な点検をもとに、基板単位で他の修理で戻った基板を使いまわししていたものと推察される。ユーザーの方が使用時間が長いのだ。狙いを定めた系統的点検をやらない限り、間欠性の不具合の循環となる。

最近、新聞で点検ミスの報道が続いている。点検ミスは点検項目の意味、不具合の出すメーセージに真摯に対処できなかったサービスエンジニアだけではなく組織の問題にもなりつつある。

単なるチェンジニアリングを行っている限り、機器のリスクは減らないと考える。

その前兆をアナログエンジニアは15年前に経験しているのだ。

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2007年6月 8日 (金)

有効数字

工学においては多くの場合、得られた数値は計測値である。デジタル表示された測定器の読み取り値が正しいとは限らない。

意味のある計測数値が有効数字である。2と2.0と2.00などは異なる意味を持つ。

長さであれば、物差しを使って測ればせいぜい30cmを測定して0.1-0.2mmまでが有効数字である。しかし、今は筆算で計算することはほとんど無いので、その後、電卓で計算して10桁の数値が出てくる。

長さの計測では、多くの金属材料が10^-5レベルの線膨張係数を持つので、測定温度を明記しなければ、有効数字4桁の値は意味が無い。プラスチックならもう一桁大きい温度影響を受ける。

電子回路でよく使うのはテスターであるが、もっとも測定精度の高いDC電圧レンジでも、ふつう1-2%くらいの誤差〔不確かさ)がある。電子回路の電圧測定でも、測定器の負荷効果も無視できない。100kΩの両端電圧を測定するなら、デジタルテスターで-1%程度、アナログテスタ-では使用する電圧レンジによって異なり、数%になる場合もある。

測定における有効数字の感覚なしに、定量的科学はありえないと考えるアナログエンジニアである。

測定対象そのものが過去の履歴の影響を受けたり、時間的に変動する場合もある。

ときには、桁が測定できないことすらありえるのだ。測定対象の値が10^nから10^mなどという測定もある。

測るということは、常に測定誤差および誤差の波及について考える必要がある。

測定器の表示値を盲信し、さらに演算過程で有効数字をはるかに越える計算値をだす学生も少なくない。計測に関する基礎訓練が身についていないケースが多くなっているような気がする。

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2007年6月 5日 (火)

オームの法則 1

オームの法則:電圧(V)=抵抗(R)×電流(I) の式を定性的には小学生から習っている。

多くの例題は、定性的には乾電池と豆電球の直列・並列接続で評価基準は豆電球の光具合である。

しかし、現在の乾電池でも新品の状態から例えば1Aを数秒流しただけで、電池電圧は0.1Vをはるかに越える電圧低下を起こす。そして、指数関数的に起電力は回復してくるが、新品の状態にまでは半日経過しても戻らない。

オームは100数10年前、多分ボルタの電池、現在の電池よりはるかに電流依存性の高いそして過去の履歴を持つ電圧源しかなかった時代に、この式を確立している。しかも水銀抵抗を用いての実験である。金属抵抗は長さ(L)と断面積(S)をかなり高抵抗になるようにセットしてもkΩ台のRを得ることは困難であったと推察される。

当時は電流の測定技術と温度測定技術は確立されていた時代である。電流Iが測定できて、VもRも測定手段が確立されていなかった。

オームは電圧源に熱電対の起電力を用いたとのことである。(オーム社、「新電気」5月号)

これなら太目の熱電対導線を使用して、厳密な温度管理を行えば、電圧Vを定量化できる。実験条件は現在の技術知識をもってしても、相当条件を選ばなければ出来ないと思う。抵抗率ρのイメージなくして、電圧のイメージなくして実験条件を私は選べないだろう。

現在では、たかがオームの法則として、電気・電子分野では自明の式として扱われている。しかし、工業高校レベルの方で、I=V/Rの式に変形して、電流計測を行える人は半数にも満たない。

Rが未知数であれば、簡単にはIを一定、既知としてVを計測すればよい。

Iが未知数であれば、Vを測定し、計算でI=V/Rを求めればよい。しかし、既知の抵抗で、回路に影響を与えない程度の抵抗を挿入して電流計測するトレーニングはあまり行われていないようだ。

測定のために回路を切断し既知抵抗を挿入することは、それなりの技量を要する。勇気も必要だ。

V=RI 様々な逆問題が存在する。何が今判明していて、何が今わからないか?関係する機知の物理法則は何か?その理解なくして、技術をこなせないと考えるアナログエンジニアである。

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2007年6月 4日 (月)

非常用ラジオ受信機

_1757 ←手回し発電機付きの非常用AM、FM受信機

このラジオ、いつ購入したか忘れた。低速発電機に関心を持っていた頃のはずだから、10年近く前か?

現在の日本は情報を得るには電気が欠かせない。電波を利用するからだ。このラジオを実戦で使うときには、我が家を捨てて避難するときである。

それでも、玄関のフックに掛けてある。

このラジオは一応防水仕様になっている。今日はその機能のチェックを行った。

使い捨て単三の電池電圧は1.56V、ボタン電池も生きている。電池を外して手回し発電機での受信もOK。非常灯機能も動作する。時計機能も10分ほどずれているが問題ない。

手回し発電の外国電波を受信できるラジオが閉鎖国家に普及したらどうなるだろうか。遊牧民も独裁国家も様々な影響を受けるだろう。

その一方で、わが国ではユビキタスが進行している。

私の専門であるセンサエレクトロニクスの世界でも、センサのネットワーク化の研究が進められている。情報の氾濫がある一方、情報管制が行われている社会もある。

会社生活を終えて、改めて技術世界の力学を考えているアナログエンジニアである。

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2007年5月 9日 (水)

キルヒホッフの法則

_1656 ←ライラックの花

キルヒホッフの法則を用いた回路計算は、電子回路設計では避けて通れない。しかし、多くの大卒・新人はこの法則を用いた立式が出来ない。電気・電子系学科出身の方であってもである。

キルヒホッフの法則そのものは、向きを考えて流入する電流の総和がゼロ〔電流則)、向きを考えて回路ループの電圧をループを一巡するように加えあわせるとゼロになる〔電圧則)と単純である。

立式過程では、不明な部分を適当な文字に置き換える。その値が正になるようにする必要はない。最初においた文字の値が計算の結果、負の値になれば、電流なら逆向きに流れるだけのことである。電圧・電流の向きの謝りも結構多い。

キルヒホッフの法則は、回路計算の基本である。この部分の計算ができなければ、そこから先の回路理論を知っていたとしても、役に立たない。

この辺りは、大学できちんと教育していただきたいものだ。企業内教育ではそこまでの基礎を再訓練する時間はなかなか取れないからである。立式が出来ない方の多くは、計算力もかなり低い方が多い。

分数の出来ない大学生が少なからず存在していることは承知しているが、実係数の分数計算ができなければ立式後の計算はおぼつかない。学力低下の問題は、モノつくりの現場でも深刻な問題となりつつある。

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2007年5月 3日 (木)

私の足跡

私の足跡は、インターネット上の様々なところに残っている。その足跡の多くは他の人の足跡の中に存在しているが・・・。

それで構わないと考えている。そうなることを前提に行動している。

しかし、私の足跡が残っていない活動の方が実は多い。

このブログのランキングのタイトルには「話せる本音を語る」のフレーズが入っている。話せない部分は闇に葬る。しかし、話せない部分の活動が本当のアナログエンジニアの感性を支える。

物を創るということは、エントロピーの混沌に逆らって、ふつうでは存在し得ない構造体と情報システムを形成するにある。資源も消費する。

当然、時間尺度は別として、万物、土に返る。

その土に返る時間を、「実用上」問題ないレベルに保つことがアナログエンジニアの本来の仕事である。

時間の尺度は別として、万物再び土に返る。

人が交代し、世代が代われば、そのシステムを本当に維持できるか否かも解らない。

エントロピー増大の基本原理に逆らって、エネルギーを費やして物を創る。これがエンジニアの真の姿である。

人の労力を使えば、それを支える食料と、生活環境維持のための「エネルギー」が必要になる。そのひとつの尺度が価格である。エネルギーを生むためにエネルギーを消費し、人力、その英知を費やす。その結果が価格である。ものの値段である。

もちろん、地球温暖化防止のためには炭素などの温暖化ガスやオゾン破壊係数の大きな物質を使用しないことは当然である。廃棄物処理のコスト・エネルギーも考えなくてはならない。資源はエネルギーを費やせばかなりのレベルで回収できる。

とくに地理的に日本は将来的にみて、廃棄物の処理場所が少なく、少子化により厳しい状態にある。

労働人口が半減したら、今の日本の技術力は維持できないと考えている。エネルギーと資源問題を解決できない。2007年問題どころの騒ぎではない。

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2007年4月27日 (金)

添削の一つの方法

3d 添削は添削者と被添削者の勝負である。

技術文書の添削をおもに行う私の方法は、通常パターンがある。厳しいやり方である。給料を貰って仕事をする「プロ」が相手であるから、学生対象の添削とは異なるのが当たり前だ。

第1段階:美辞麗句、不要な形容詞、副詞句を削除する。

第2段階:数値は定量化可能であるか否か通読して全文をチェックする。

第3段階:論理的思考の流れに沿っているか、論理の飛躍のチェックを行う。

第4段階:添削の実行、ただし全文の1/2程度しか実施しない。

これを行うと、技術文書の前半と後半の調子が異なってくる。そこで被添削者に考えていただくのが、アナログエンジニア流の「プロ」に対する添削方法である。

厳しい本質的な添削手段である。

てにをは、引用の形式、送り仮名、タームの長音の使い方などは2の次である。

開発計画案の中には、この方法で添削するとほとんど何も残らない案も現実に存在する。私は、ある場所で自分では書くことが出来ないその文章を添削し、問題点を指摘した。

その開発計画は実行に移された途端、予想内の基本的な問題で頓挫した。

その事態を事前に察知して、警鐘を鳴らすことがアナログエンジニアの経営者層に対するプレゼンテーションのひとつである。

無理無駄ムラはやらない。いや、そんな仕事のやり方に、やる意欲も起きなければ、やる価値も見出さないアナログエンジニアである。

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2007年4月14日 (土)

初校正

初校正のゲラが届いた。いつものように土日が2回ある期限設定だ。

単独著なので、この間に数回自分の原稿と照合する。一人作業だ。

図表と式は、とくに要注意である。原稿データーは電子データーも添えてあるが、図と数式はトレースされているので、間違いの確率が高くなる。

符号の添え字も要注意である。最近は添え字の付け方を工夫しているので比較的楽になったが、添え字にオ-などを使うと大変である。ゼロ(0)と英大の(O)、英小の(o)そして、その立体と斜体の6種が存在する。エス(S)はまだましだが、これもゲラの段階ではかなり見難い。

初校正は、行の増減を伴う最後の機会なので、まず全体を通読し、2重打ち、文や式の過不足を確かめる。

図表はトレースされるので、様々な間違いパターンが存在する。

今回のゲラの仕上がりは比較的よさそうなので、気分的にはかなりらくである。

式の変形過程もあまり省略しなかったので、少しは点検が楽か。

ゲラが到着した昨日は、風邪気味で体調が悪かった。さあ、きょうから頑張るぞ。

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2007年4月11日 (水)

2007年問題

戦後の出生のピークに生まれた方々が定年退職を迎える年である。

同時に、その方々の就職後に起こった不況の影響も見え隠れする。

2007年問題が囁かれてから久しい。

2007年問題は質と量の問題であると同時に、技術/技能の伝承の価値評価の問題でもある。

団塊世代は様々な場面を潜り抜けてきた方が多いので、それなりのポリシーをもっている方が多い。私なりの視点からは、自己防衛のために自分の技術・技能を積極的に伝えようとしなかった世代でもあると考えている。

その後に生じた少子化=叱られ方を知らない若者達への対処に問題があったことも否めないだろう。

2007年問題は予測可能な出来事である。そして、大卒のスキルの大きな乖離も周知の事実である。

2007年問題は、教育とは、技術の伝承とは何かを深く問いかける。

瞬間、瞬間の結果だけの評価だけではなく、膨大な労力と教育を必要とする学び伝える姿勢に対する評価が現在の日本ではあまりにも低い。

学ぶ側の問題もある。基礎力に不足する人材にどのようにして企業内で教育するのか。少子化により甘えて育った若者達にいかにして自立性を持たせるか。深刻な問題である。

2007年前後に退職する活力を失っていない方々に、シルバー人材としてではなく、現役のエンジニアとして処遇する戦略なくして日本企業の存続も危ういと考えるアナログエンジニアである。

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2007年4月10日 (火)

大学全入時代

少子化に伴い、高校卒業生の数が全大学の定員とほぼ同じとなった。学部、大学名に拘らなければ、高校生は必ず大学に入れる時代ととなった。

大学の方も、応募者を確保するために様々な手段を講じてきた。

センター入試のみ、推薦、特別枠そして一番大きなインパクトは必須受験科目の緩和である。

この結果、こなさなければならないが受験生にとって負担の重い科目が高校で真面目に履修されることが少なくなった。理系科目ではその筆頭が「物理」、文系科目では「世界史」であるようだ。

物理は工学の最も基礎になる科目であるとアナログエンジニアは考えている。私は高校物理に高校化学の3倍の時間を投入した。内容のある科目である。同時に大学で専門教科書を読み解く上で必須の知識であった。

今は工学系国立大学でも物理を必修としない大学は数多くある。電気/電子あるいは機械工学を学ぶ基礎を取得していない学生が入学しているのだ。高校物理での最難関は電磁気である。高校物理を習得していないからその補填が当然必要である。ある国立大学では、常に2学年分の電磁気学の受講生がいるという。しかも、大学の休み期間に集中補講まで行っている。これでは先端技術の理解まで届かない。

一方、文系科目で重たい科目は「世界史」である。私の感覚では「日本史」の数倍の分量がある。紀元前から常に数カ国が地理的文化的条件が絡みあい、現在の世界情勢が生み出されてきた。その感覚なくして、現在の世界状況の一端を垣間見ることはかなり困難である。

現在の工学系大卒のレベルの差は激しい。

オームの法則を理解していない電気/電子系の大卒も多く存在する。文字式のままキルヒホッフの法則を用いて電子回路の入出力特性を計算できるエンジニアは10%をはるかに下回るというのが私の実感である。

ゆとりの教育は見直されつつあるが、必要な時期に必要な訓練を行うことが必要ではないだろうか。甘い入試をするならば、大学の出力である卒業生の品質保証もしてもらいたいものだ。

日本の後には、韓国、中国、インドなど学ぶ意欲に燃えた国々が控えている。そのなかで日本の科学技術教育がどうあるべきか広い局面で考え直す時期に来ていると思う。

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2007年4月 9日 (月)

圧電セラミクス

圧電セラミクスに関する本はあまり多くないようだ。

私の一番頼りにする本はこれ。

_1112 ニューケラス⑥「圧電セラミクスの応用」、学献社、¥3400+税

圧電素子は、電圧を印荷すると材料が伸び縮みするする物理現象を用いたアクチュエーターである。

古くはクリスタルイアフォンに用いられたロッシェル塩がある。

今は、アナログ回路エンジニアの立場からは積層形圧電素子が使いやすい。PZTと呼称されることも多いが、その成分はメーカー毎に異なるらしい。

積層圧電素子は、回路屋から見るとかなり大きいコンデンサ負荷に見える。電圧も回路上の困難を伴うほど高い電圧でなくとも駆動できる。

積層圧電素子は超精密位置決めなどの用途には、便利な素子である。しかし、材料の関係から圧縮応力を生じる方向の電圧をかけるのが一般的で、しかも、実用的には、圧電素子全長の0.1-0.15%程度の変位で使う必要がある。

微小位置決めでは、圧電素子のヒステリシス(電圧-変位 特性が過去の履歴の影響をうける)を考慮する必要があるが、ヒステリシスは変位が小さくなれば、急激に減少するので制御上の不安定性をもたらさないと私は考えます。

その他、圧電材料の異方性に起因する様々な現象もある。

アナログエンジニアはそれらの特性を考慮して、回路設計を行う。

材料工学・機械工学・電子回路工学の複合技術が圧電素子による精密位置決めシステムと考える。

原子サイズでの凹凸を検出するAFM(原子間力顕微鏡)の位置決めアクチュエーターにも圧電素子が使われているはずだ。

異分野工学の協調はとても大切と考える。実用のためにはそれぞれの立場で出来ること、出来ないことを明らかにしながら、知恵を結集してシステムバランスをとる必要があると思う。

それでなくとも、硬ネタのこのブログ、今日は読みにくいエントリーになってしまった。ご容赦ください。

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2007年4月 6日 (金)

モアレ縞

2_3 ←2枚の等間隔のストライプを微小角違えて作成したモアレ縞。目を離してみると、元の縞と直角方向におおきなピッチの縞が見えます。

この場合、ストライプを上下方向に動かすと、おおきな縞は左右方向に動きます。

モアレ縞は濃淡ピッチの拡大機構になっています。

このアライメントで、ストライプ模様が正確であれば、上下方向の変位を拡大することが出来ます。

しかも、大局的に見た濃淡は正弦波状ですから、2個の光センサで移動方向を判別することができます。さらに、位相分割により縞の数分の1まで検出できます。

この方法で、例えば4μmの縞を使って、0.5μmを検出できます。

3次元的に考えると、同じピッチ、同じ傾きでも2枚が離れていると、その奥行きに依存してモアレ縞が出来ます。うまく使うと視線方向の微小変位の検出に利用できます。

モアレ縞は、ふだん見かけることの多い現象で、例えば2枚の網戸が重なった部分を眺めると、縞模様が見えます。

カラーテレビでは、縞模様の服がぎらぎらと虹色に見えることがあるのも1種のモアレでしょう。

モアレ縞は周期構造をもつ2つのパターンのビートです。

様々な場面で観察する機会があると思います。

しかし、縞のパターンは、2枚の周期構造の正確さに依存して様々に変化します。モアレパターンを見せるだけではなく、その数理的な発生原理を知らないと、「ふーん」で終わる単なるデモンストレーションになるでしょう。

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2007年4月 5日 (木)

半導体データーブック

_1619 インターネットが普及していなかったときは、回路設計に必要な半導体の特性を分厚いデーターブックを見ながら設計していた。買えば1冊数1000¥するものや、非売品もあった記憶も残っている。

今は、会社名か型式番号がわかれば、インターネット経由で簡単にデーターシートが手に入る。

インターネット以前と異なることは、データーブックの始めに記載されている用語や試験方法、信頼度データ(解説編や概要)が表面に出ていない点にある。インターネット経由でも、概要や解説編に相当する部分をダウンロードできる場合は結構あるが、若い設計者は案外見ていない。

半導体データーブックの用語がわからないとすれば、半導体デバイスの選択が出来ない。

そして、記載されている数値の意味すなわちそのパラメータが影響する回路性能との関連がわからなければ、その項目に対応するシミュレータの値を変更しその効果を調べことはできない。

多くの基本回路は、例えばnpnシリコントランジスタでありさえすれば動くことが多い。しかし、回路定数の最適化は別次元の世界である。

アナログ回路には綺麗な回路と、汚い回路がある。

汚い回路とは、回路性能を落とす部品が付いていてその悪影響を別の部品で補正している回路や、必然性のない定数選択がなされている回路である。

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2007年4月 4日 (水)

美辞麗句

技術文章あるいは開発計画書・企画書に美辞麗句は必要がないと考えるアナログエンジニアである。

実体が存在するか、論理的に一貫しているか、そしてビジョンがあるかで判断する。

美辞麗句の影には偽りがあることが多い。響きのよい言葉の羅列で経営者の関心を買う手法だ。

この手の開発計画を複数回、私の手で葬ったことがある。実態がないのだ。なにをどのようにしようとしているのかが見えない。美辞麗句の羅列で一見聞こえは良いが、具体的実現手段とビジョンがないのだ。

誇大表現。これも私が嫌う表現である。開発のどのフェーズに今あるのか?それを明らかにしないものも要注意である。原理は確認されたのか。使用する材料は目的に適っているのか。定量的に検討されているか?

開発段階で誇大表現された技術の多くは、哀れな末路と悲惨なデスマーチをもたらす。

経営判断は技術的前提の成立をその前提として成り立つ。もちろん経営者は複数の持ち駒があるからその総てが思惑どうりにならなくても良いが、エンジニアにとっては総てを賭けた戦いとなる。その背後には、多数のサポート部隊もいる。

経営者の好みにより辛い、甘いが生じることもある。そのバランスをとることもアナログエンジニアの役割と心得る。

工学とは実現することを夢見る世界である。実現しなければ自分は何もしなかったとのト同じ。あればいいなと願うことは易し。それを具体的手順と実践で目に見える形にするのがエンジニアである。

評論家は要らない。自分が総ての結果責任を負うのがプロのエンジニアの美学である。

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