和弓と洋弓の違い
昨日、弓道の高段者の弓具を見せていただいた。当然ながら、相応の道具の筈。
まず、弓の長さ、180cm程度で長い。そして、洋弓のリムより幅は狭く軽い。弦を張らない状態では、的側に反っている。洋弓のリカーブボウと類似のカーブだ。リカーブタイプのボウは各地域で、大昔の狩猟用途の時代から使われているスタイルで、矢に比べて相対的にかなり重いリム部の運動量を、発射直後に極めて少ない状態にできる形状である。
和弓のリム部は、竹・木材・竹の3-4層のラミネート構造で、洋弓の場合は、カーボンファイバー層などを含む4-8層のラミネート構造で基本設計思想は同じだろう。
弦:動植物由来の材料ではない。合成繊維とのこと。色からするとアラミド繊維:多分ケブラーの感じ。洋弓の弦より一回り細い。矢を番える場所はやや白色の糸らしきものが巻いてあり、少し太くなっているが、ノッキングポイントの目印はない。
矢:洋弓の2倍以上の質量がある。アナログエンジニアの矢は17g。驚いたのは、矢の重心位置だ。進行方向に対して後方から約1/3の位置に重心がある。羽なしでは空力的安定性は保てない。それに伴って、羽は幅2cm以上、長さ20cm程度の大きい羽が軸対称位置についている。ポイントは形状が違う。的のバックストップが砂であることと関係しているらしい。軸の材料は竹だと思われる。漆と思われる表面処理がしてある。
弦を引く道具:上質の鹿皮製の手袋状の形状。弦を取りかける親指の部分の付け根近くに、かなり固いフック状の突起がある。射の瞬間に自然に弦が外れると言う。
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朝日新聞の3/3の記事によると、やってみたいスポーツの2.3.4位にシューテイングスポーツが入っている。サンプル数は多くないが、意外な結果だ。弓道・洋弓・ライフル射撃が入っていた。ちなみに、1位はなんと乗馬!
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和弓は基本的に形から入って形に終わる。洋弓は当てる事が総てで、工学的必然性にしたがい、極めて、合理的にできている。しかも、先端材料を使う時期も、用具スポーツの中では最も早い。
和弓の本物の弓と洋弓のコンパウンドボウは、弓としては対極にあるのかも知れない。
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