アナログエンジニアは新米の看護婦程度には心電図を理解出来る。自分で自己判断する分には医師免許はいらない。多くの心電図ECGの本がある。ドイツ流に拘ればEKGとなる。本は誰でも手に入れることができる。医学書もそうだ。
心臓の電気的興奮は、通常は洞結節から始まる。これが基本だ。ここを起点としてPQRSTの特徴点が出る。QRSの振れは大きい。周期は脈拍と同じである。規則正しく同じ波形が繰り返されておれば、不整脈は一応無い。
洞結節で生じた興奮は右と左に分かれて伝導していく。電極の数と基準電位の取り方により違った波形となるが、特徴点は変化しないとされる。
心電図から、多くの項目の心臓の動作状態を知る情報が得られる筈だ。まず、着目する点は周期と規則性である。心電図波形に欠落部分があれば不整脈である。周期=脈拍はその日によってかなり変わる。心が穏やかで緊張していなければ、私の場合55回/minまで下がる。緊張が少し高ければ80回/minまで簡単に上がる。
私の最新のデータでは、PR間隔は約160ms、QRSは100ms弱、QT間隔は約400ms、AXISは負の値であるが医者はA判定をしている。ST部には異常はない。
かかりつけのお医者さんのところで、心電図の異常波形を見たことがある。わたしの前に受診した方のカルテに添付されていた。このECG波形、不整脈ではないですか?自分のことはさておき、どの程度重篤ですか?答えはあった。
10数年前、私は救急車で搬送されたことがある。そのとき、ほとんど体は動かないが意識は明瞭であった。心電計が救急車の中で接続される。無理な減量をした頃だったので、軽度の低血糖状態にあったらしい。乱れた心電図が見えた。
大きく不安定に波形が動いている。しかし、自分の鼓動とは同期していない。電極の接続不良か機器故障か? 安心したら意識が遠のいた。
数年前、父が逝去した。その数時間前言葉を交わすことが出来た。駆けつけることの出来た親族が集まっている。
夜半前、心電図のピッ、ピッの間隔が異常に早くなる。周期・振幅・波形も不規則になる。心室細動/粗動の兆候だ。看護婦が駆けつけ、当直医師も加わる。
手早く、救急処置がなされる。病室の心電計は心室細動と粗動を示唆する不規則な動き。たぶん、あと数分で父は心停止に至る。私の思考は冷静であるが、涙がこぼれる。夜半過ぎ、不規則な波形を描いていた心電計は突然、平坦な直線となる。しばらくして当直医は死を告げる。
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ドラマによく出てくるPQRSTの正常波形からピタと直線に変化する死の瞬間の表現、あれはありうるのだろうか。
心臓の刺激系は3重システムになっている。通常は段階を追って縮退運転するとされている。考えにくいし、わたしの立ち会った死の直前の波形変化とは異なる。
実は、この記事は私のブログ記事「PQRST(U)と全く同一題材である。書き方でこのように変化する。記述文体と書き込み方でこのような違いが生じる。興味のある方は両者を比較してください。
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