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著作

  • 共著:「次世代センサハンドブック」培風館(2008)、「マイクロセンサ工学」技術評論社(2009.8)
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    私への講演、セミナー、技術指導などのご依頼はこちらまで↓ okayamaproあっとまーくyahoo.co.jp  あっとまーくは半角の@にしてください
  • 単独著
    アナログ電子回路設計入門 (1994.12)、コロナ社: 実践アナログ回路設計・解析入門 (2005.1)、日刊工業: オペアンプ基礎回路再入門 (2005.7)、日刊工業: ダイオード・トランジスタ回路入門 (2005.12)、日刊工業: スイッチングコンバータ回路入門 (2006.9)、日刊工業: これならわかるアナログ電子回路基礎技術 (2007.6)

専門とする事項

  • 電源を含む精密アナログ電子回路の設計・開発、およびその教育、技術指導。センサ・アクチュエータシステムの構築。電子機器の不良解析指導および再発防止指導。解析主導型設計の推進と回路シミュレータの実践的活用指導。技術的側面からのプロジェクト管理指導。

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新刊

  • 岡山 努: アナログ電子回路の基礎と入門!これ1冊

私の主張

2012年4月26日 (木)

文系・理系

文系・理系という言葉が使われるとき、多くの場合、理系はビジネスや組織を知らないと暗にいっていることが多い。

理系人間が、その言葉の背景にある文系人間の驕りを知らないとでも思っているのか!

アナログエンジニアはこの手の類型的な言い方に強く反発を感じる。文系はもっと科学技術のことを勉強して発言すべきだろう。なぜなら、現在の日本は科学技術、それも、物を作る力で成り立ち、生活の隅々までその恩恵を受けて生活しているのだから・・・・。

文系人間は確かに存在する。官僚においても、理系人間は亜流である。

理系人間が発言すれば、端的に説明するには技術用語を使わざるを得ない。それがまた、軋轢の元となる。種々の科学技術が絡む現在の日本では、定量的に物事を評価しなければ判断を誤るが、今は、そのときではないだろう。

原子力に端を発した自然力(再生可能エネルギー)発電も然り。太陽電池発電のみが途方もないお金で全量・固定で買い取られるシステムの議論が進められている。不自然極まりない。隠れた税金であるとともに、それで多額の利益を生む「経営者」が出現することだろう。

文系人間が理系人間の支配的存在になろうとする限り、日本の物つくりは安楽死の方向に向かわざるを得ないだろう。

文系人間は他人への関与に多くの時間を割くことができるが、理系人間が同じことをやろうとするなら、茨の道である。

そんな不条理な道を、理系の親は積極的に子に勧めることはできない。

数学や物理・化学を避けて通った学生の多くは文系人間の道を歩む。理系人間の多くは、研究者的訓練しか受けていない。これが日本の現状だろう。

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ここのところ、PCクラッシュ&修理中で更新ピンが打てません。よろしくお願いします。

2012年4月22日 (日)

少子高齢化

今の日本には巨大科学を推進する国力はないだろう。少子化に見合った官僚組織のスリム化の兆候もない。

それどころか、国富の源泉である物つくりは崩壊一歩手前である。科学技術に囲まれて誰もが生活しているにも拘らず、その説明責任は工学者にあるという。多くの技術者たちはチャンスを見て工学/エンジニアリングを離れている。この潮流は止めようがない。

日本有数のハイテク企業内でも同じことが起こっている。個人的に見れば、技術者として生きることはせべてを放棄し奉仕に努める道であるからである。一流国、二流国という区別があるものならば、日本は一度も一流国になったことはないのではないか。

少子化に伴う、大学全入時代は不要な研究者を多数生み出す。そして文科省のテリトリーを増やす。

アナログエンジニアは現在をそのように受け止めている。

いつの間にか、45兆円の国債+αが恒常的な財源となっている。その償還の当てはないだろう。政治屋は自分たちに不都合な制度を作らないものだ。何かといえば国がやりますというが、その財源は明らかになっていない。私の世代は、幼少の頃、すなわち最もきちんとした栄養を取るべき時期に戦後の幼少期を送っている。その付けはまもなくやってくるだろう。それと同時にもっと高齢者が費用のかかる生活に入る。それが同時に生じるのだ。

今の制度では、その費用は次の世代、すなわち今働き盛りの世代が負担することになっている。その世代は「ゆとりの中」で育った世代である。多くのゆとり世代の人たちはしかられることに慣れていない。もうわれわれが影響力を行使できる時代は去った。

見えているのは、日本凋落と輸入すべき食糧とエネルギー源に困窮する日本の姿である。

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2012年4月20日 (金)

3世代

Img_0348 組織は少なくとも3世代を経過しないと、その体質は変わらないとアナログエンジニアは考えている。なぜなら、組織内で評価されるには、組織に自分を合わせる必要があり、その過程で自分の志が変わっていくからである。

その典型例が官僚組織であろう。いまの官僚は、自分の属する省庁の権限拡大と先輩の天下り先の確保のために法律をつくり、産・官・学を動かす。

自分を貫く有志は亜流しかなれない。

みんながこぞって、組織のために動けば、非効率的な矛盾に満ちた社会が生まれる。

国のお金は無限にあるわけではない。そして他国との相対的力関係により厳しく評価される。学は、資金の大半を間接的な場合もあるが、文科省を通じた金に頼っている。

国力に見合ったことをやるべきだが、xxx機構という名の下に何も変わっていない。その結果が、物つくりの競争力の喪失である。

資源なしなどの条件のよく似た隣国である韓国には最先端技術である半導体の多くの分野で凌駕された。他の分野でも追い抜かれつつある。正規の勤務時間は長く、儒教の伝統もある。

国内に目を向けると、多機能化・高機能化の名のもとに、信頼性の低いそして基本機能は低価格品と変わらない製品が出回っている。もう日本には基本機能を抜本的に改良する力はないだろう。

なにせ、物つくりの本質に迫れる感性と知恵を持った人材を育成できる教授者がほとんどいないからである。

東京大学でさえ、物理の補習を行っていると聞く。そして、外国人留学生を確保するため秋入学を推進している。

昨今の就職戦線の激化?は学士の品質の低下の表れでもある。院生のほとんどは企業に就職するが、研究者としての訓練は多少受けているものの、臨機応変さ・興味の幅が極端に狭い。物つくりに役立つセンスの持ち主ではないのだ。

落日の日本、そのときがまもなくやってくるだろう。

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2012年3月10日 (土)

技術の進歩した今

技術の進歩した今、科学技術に対する理解なくして、正確な判断は困難であろう。

数学、物理などの素養がない方は文系であっても、現代社会にあふれる玉石混合の情報から真贋を見分けて素早く判断する事は不可能だろう。

理系人間なら、自分の関連する現在の技術水準および近未来に実現するであろう技術の展望にも関心を払う必要がある。

そして、リーダーたる人間には、異分野の専門家の言うことの真贋を見分け、かつ種々の人間の行動様式まで理解する必要があるだろう。

また、AIJ問題などの金融商品は基本的にゼロサムゲームに近い資金のやり取りにすぎないだろう。

最近、マスメディアに登場するようになった、「特任」、準教授ではなく「助教授」達の意見、見解が正しい確率が高いとアナログエンジニアは感じている。

なぜか? その立場、不安定な立場であっても、学術村、原子力村、官僚村、各種民間組織に従属することなく発言する場合が多いからだ。

逆に、そのような行動様式をもつ由縁により、その立場になりやすいとも考える。

村社会に属し、村社会で地位を獲得するには、村の価値観にしたがわなければ、地位を得ることは、普通できない。

記録を残すこと、それを、構成メンバー名を含めて公表することは、改革の一歩であろう。

それなくして、日本の再生の道は険しいものとなる予感がしてならない。

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2012年3月 2日 (金)

アナログ電子回路教育

Img_0267 玄関先の鉢植えの花。連日低温だが、春の芽吹きは始まっている。

そして、学校では新学期が間もなく始まる。

電子回路教育は、今の多くの学生のレベルを考えると、説明が易しく、短期間で回路定数まで決めるために必要な情報まで伝えることのできるオペアンプから導入する方法も考えるべきかもしれない。

従来の半導体物理からダイオード・トランジスタへと進む教え方では、アナログ電子回路での挫折者が出やすい。

オペアンプから導入すれば、理想オペアンプでの説明の際に、オームの法則(抵抗に関する法則)や、キルヒホッフの法則も復習しながら説明できるのだ。とくにオームの法則の電流の向きと電圧の向きを強く意識させる必要がある。この理解なしに、キルヒホッフの法則は正しく使うことは困難である。

自著で済まないが、この目的に沿う本に仕立てたつもりの本である。

オペアンプ回路の説明では、仮想短絡を良く使うが、理想オペアンプの説明だけでは、回路定数を決める情報は含まれていない。

オペアンプ回路本は数多くある。しかし、オペアンンプの非理想的な特性を考慮して初めて回路定数の絶対値やオペアンプの選択に必要な情報を含む記述をする必要がある。

このため、「オペアンプ基礎回路再入門」、日刊工業新聞社刊を、私は記した。

最近では、電子回路でオペアンプから、あるいはオペアンプのみに絞って教える学校も存在する。

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2012年2月28日 (火)

学歴の幻想

Img_0266 分数・平均値の判らない大学生が増えている。

なぜ、そんなレベルで大学へ行くのか、それは一つの幻想である。

非大学卒の親は、無理をして子供を大学にまで上げようとする。そして、子供は、子供たちは、それに応えようとする。

大学は大学で、AO入試、推薦入試、そしてセンター試験のみでの選抜、あるいは、中学からのエスカレーター式で進学できる大学もある。入学者が少ないと、学校経営が成り立たないからだ。

実力もないまま、社会へ出たらどうなるか。企業の多くは、一応、設計部隊や中枢的職場に配属してみるのが普通だ。そして、実力、考える力が無ければ、別のもっと易しい学力、論理能力でできる職種に配転する。しかし、それも限界にきている。

大学は大学で、研究者を育てる方式の教育しか、ふつう、やっていない。

研究とは、新しいことを、真に目的を持って追求して行く世界の筈である。それが中途半端になっている。研究職には、中途半端な人はいらない。工学なら実務も知った上で学生に、教育すべきだろう。

研究費の配分や評価方法も大幅に見直す時期に来ている。

日本以外の国では転職は当たり前、子供たちもそのような事実になれている国が多い。

日本でも、自己のキャリアを求めて転職する、できる風土に変わりつつある。

算数を教えなければならない大学は、理系文系を問わず、その存在意義は既にない。

判らない、判りようのない授業を聞くほど消耗な作業はない。アナログエンジニアも、気分転換に単純作業を延々とやることもある。それはそれで楽しいのだ。

職人さんと言って侮ってはならない。腕がたち、豊かな生活を送っている方も多く存在する。

職業に貴賤はない。

身の程、身の丈にあった職種を選べば、いくらでも仕事はある。

大学教授も、エンジニアも、学生も変わらなければならない。

また、日常生活に必要な算数の一部は科目留年(1年だけ)させる制度にも私は賛成である。日本は変わっていく。もちろん、官僚の予算肥大化は厳しくチェックするシステムが必要だろう。

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2012年2月13日 (月)

オシログラム

オシログラムはオシロスコープで記録した電子回路の波形図を指す言葉だが、デジタル時代になって以来、記録して(解析しないで)終わってしまうケースが多く見受けられる。

インスタントフィルムで撮影していた時代では、フィルム代が相対的に高価だったので、オシロスコープで観測した波形を、手書きスケッチすることが多かった。

一見、時間の無駄に見える波形のスケッチは、波形を計測するエンジニアが波形を詳細に観察し、その特徴点を定量的に把握するために必要な時間でもあるのだ。

例えば、スイッチング波形:周期、オン時間、オフ時間の数値を波形図に添えて書く。

そしてSWの際に生じるスパイク波形の出る位置の記録、オン時のベースラインのわずかな傾き、前縁、後縁にでる有限の時間、波形の最初と最後に出る事のある振動波形、必要があれば、時間軸を拡大しリンギングの周期、減衰の模様などを書き込む。

いまは、そのような波形の特徴点を調べることなく、記録媒体に残してそのままとなるケースがほとんどである。

波形のスケッチ力は、観察者の技術力の賜物である。

アナログエンジニアは、単に、アナログオシロへのノスタルジーを語るつもりはない。

きちんとした訓練を自己に施さなければ、見えない世界が多くある。

伊達に、アナログオシロそれも高速ではない安価なオシロを使っている訳ではない。

20MHz程度のオシロスコープは帯域が狭いだけに、ノイズレベルが低いのだ。そして、DCレベルのシフト機能を使えば画面の1/1000は楽に分解できる。デジタルは、サンプリング周波数が高くいのでS/N比が悪い。ほとんどの場合、振幅方向の有効画素は256しかない。しかも、±1ドットは常時、ふらついているので、画面縦軸の1/100のノイズを判定できない。

サンプリング周波数以上の周波数成分が含まれていると、サンプリング周波数と信号の高周波成分が低域側に折り返されてくる。例えば、スパイクの高さが周期的に変動する場合、デジタルでは本当に生じているかどうかの判定は難しい。

アナログオシロではトリガが安定にかからず、多重書きの状態になることもあるが、これは欠点ではない。その現象が観測されれば、トリガレベルにした電圧が不規則に変動している場合もある。

いまはほとんど見かけることのないストレージオシロ、これも基本的にアナログオシロスコープで単発現象を観測するに適した機材である。

精密にアナログ回路波形を観測するには、まだまだデジタルオシロは不十分な性能しかない。性能がでる必然性は何もない。

アナログオシログラムをデジカメで電子データと残せる今は特にそうだ。

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2012年2月 2日 (木)

正確な技術会話

正確に技術的会話あるいはプレゼンテーションをするには、それなりの訓練が要る。

もっとも現実的な訓練手段は、手書きで字数制限&時間制限を設けて、起承転結を付けた文章を書くことだ。

近年はワープロの発達により、多くの文章が次の手段で作られているのではないか。

まず、自分の持っている素材を順不同でワープロで書きこむ。次にカット&ペーストで体裁を整える。その後、字数制限を気にしながら清書するというのが多くのパタンである。

これでは、論理的に筋の通った文章、会話にはならない。

そこに時間制限を付けると、多くの人はまず、まともな文章を書けない。論旨に必要な条件も欠落する。

最初の訓練法は、例えばA4 1頁の文章をてにをはと誤字脱字以外の修正は行わないで書ききることがその一つである。

この手の訓練は自分で、独力でできる。最初は大変だが、書く前のわづかに許された時間で論旨を実時間でまとめ上げる能力が半年くらいで付く。

アナログエンジニアは昔の技術士試験を受けるときに、この訓練を行った。当時は、図も含めて13000字をテーマごとに決められた字数で6時間で回答しなければならなかった。この分量、5分考えて、論旨の起承転結を付け、一気に書き上げなければまともな文章を書けない。そして30分の時間の残る5分は誤字、接続詞の点検に使うのだ。

この状況では、自分の思考過程がそのまま出る。実時間の技術コンサルテーションあるいはプレゼンテーションの質疑の能力と同質の能力だ。

今の若者も含めて、多くの研究者、技術者はこの技量を数得していないだろう。

これでは、長文の技術内容を破綻なく纏めることはおそらくできないであろう。

PCの発達により、そこそこの文章は書けるあろうが、首尾一貫した文章にはなりえない。

道具の進歩のを利用する以前の自己訓練の問題である。PCは便利だが、ない能力をお補うツールではないだろう。

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2012年1月30日 (月)

電力価格

東京電力が10%を超える値上げを図ろうとしている。発電原価の算定基準年度は3-4年前との報道がある。

その後の無駄を省いた試算では少なくともない。原発事故は自らの怠慢から生じたものだから、それは算定に入れるべきではないだろう。

電力高騰による企業の海外進出の加速が懸念されているとの話もあるが、その前に、なぜ日本の電力が高いのか検証の必要があるだろう。進出先の電力価格と比較してみるがよいだろう。どこかに無駄、交渉力の欠如、エネルギー政策の無策があるはずだ。

都合のよい計算ばかりするから、誰も信用しなくなる。

原子力の議論も同様だ。

推進する側は謙虚に、リスクを高く見積もった計算をすべきである。意図的に低くリスクを見積もるから、反対派は逆に固くなりなれる側面もある。世論も味方しないだろう。

こんな計算で値上げをするような企業・官庁には原子力の安全を担保する能力はないと言わざるを得ない。

そして、さらに、高速炉FBRによるプルトニウム燃料の増産。その前にやるべきは、最終地層処分の問題だ。国有地以外に受け入れる場所はなく、また、何10万年もの間安定な地層は日本に本当にあるのか疑問だ。あったとしても、極めて長い期間、きちんとした管理が必要だ。まだ実現できていない事柄の一つだが、少なくともこれ以上の金額は必要だの算定はできるだろうが、その数値が発電原価に織り込まれているかどうか判らない。

推進派も反対派も自己の論理だけ並べ立てるから、不毛の議論を招く。

リスクと謙虚に向き合う。そして重大な結果を招く要因には最大限の安全策を講じる。これはアナログエンジニアの設計哲学でもある。結果的に安価なものとなる。

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2012年1月28日 (土)

出前理科教育

アナログエンジニアは小中の出前理科教育には参加していない。

実務者による小中学校で見せる、作る授業では、身の回りにあふれている安価で高機能な製品(ゲーム機も含めて)以上のデモあるいは作ることが出来ないからである。

しかも、子供たちは、作ることはあまりしないが、使うことに対しては大人にも負けない機器の操作能力をもつ子たちも多く存在する。そして、メーカーはその中身を直接見せることはあまり多くない。しかも、昔に比べ価格はそんなに上がっていない。安くなっているものも少なからずある。

豊かな時代の教育は変わらなければならない。自分の目でさまざまな自然現象や物を動かす原理を知るまでの道のりは遠い。

そのギャップを埋める教育とは、どんなものだろう。

私の時代には、自作できれば、そこそこ使える器具が作れた。そして、種々出会う自然現象や身の周りの装置の動作原理を垣間見ることが出来た。今は、相当な知識と訓練を施さなければ、物つくりの世界は見えない。

勉強して見える世界は、身の回りのデジタル機器までは簡単には届かない。

高校でも同じである。特に、工学の基礎となる物理は厳しい。高校数学を活用できて、初めて物理を暗記モノとしてではなく、系統だった科目となる。きちんと理解し、微分・積分の概念を使えば、ほとんど公式を覚える必要もない。高校物理で最初に習う質点系の力学も公式のオンパレードだ。これでは、使うべき式の選択が出来ない。多くの高校生がこの段階で物理苦手となる。電気・電子の基礎となる章まではなかなか届かない。

PCが普及した現在、誰でも、ふた昔前の大型計算機並みの数値計算能力を利用することが出来る。そこで、必要なのは、高校理科の正確な理解である。誰もがその能力を身につけられるとは私は思っていない。

私は気晴らしに単純作業を延々とやることもあり、そして、案外楽しくやっている。人には適性・能力・興味の対象は大きく異なる。義務教育で最低限の生活能力を教える必要があるが、それ以降は有料で多様化した教育があってもいいと思う。

職人の方で素晴らしいノウハウをお持ちの方も多く知っている。何も苦しんで、大学に行く必要はないだろう。

時代は変わった。大きく変わった。しかし、教える教科書はその時代の変化よりも大きく遅れている。大学の学部も似たような部分がある。

この頃、その元凶らしきものが見えてきた。

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